インタビュー
作品集『しろねずみのぼうけん』
/ 長野の思い出から始まった、10年以上の創作。 /
物語、絵、人形、歌。好きな世界を思うままに表現した一冊。
土木技術者として長年活躍してこられた「さりぃぱぁぱ」こと栁川恒之さん。家族と過ごした長野での思い出をもとに、10年以上の歳月をかけて物語、挿絵、操り人形、さらには劇中歌まで自ら手がけた大作『しろねずみのぼうけん』を完成させました。創作をはじめたきっかけや、なぜ人形や音楽まで取り入れたのか、小学校から寄せられた反響など、さまざまなお話をうかがいました。
子どもたちが大好きだった長野の思い出を
物語にしてみようと思い立ちました。
まずは、絵や物語といった創作活動を始められたきっかけから教えてください。
もともとは工業大学で土木を専攻していたのですが、実家の事情で「商売を継ぐことになるのかな」と進路に迷っていた時期があったんです。父が他界し、兄が実家を継いだことで、あらためて「自分は何をしようか」と考えるようになり、その頃、「絵が描けるような将来があってもいいかな」とふと思ったのが最初ですね。子どもの頃は外で走り回ってばかりで美術の成績も散々でしたが、昔、学校の先生が絵を褒めてくれた記憶が残っていたんです。
その後、土木のコンサルタント会社に入社し、一時は働きながら夜間に絵の勉強もしていましたが、高速道路の建設など土木の仕事が面白くなり、次第にそちらに夢中になっていきました。
土木のお仕事一筋だったところから、再び創作に向かわれた背景は?
妻を亡くし、子どもたちも手が離れた50代半ばの頃、気晴らしも兼ねて「また絵でも描こうか」とデッサン教室に通い始めたのがきっかけです。文章に関しては、昔は国語が大嫌いだったんですよ(笑)。小学生の時に先生から「クラスで一番字が下手だ」と言われて恥をかき、ふてくされて以来、ずっと嫌いでした。そんな私が変わったのは、土木の仕事で「技術士」という資格を取るための勉強を始めたことです。1日に1万2000字もの論文を書くような難しい試験で、必死に勉強しているうちに、いつの間にか文章を書くのが苦にならなくなり、むしろ好きになってしまったんですよね。
今回の物語を作ろうと思ったきっかけはどのようなことでしたか?
デッサン教室に通い始めてから、頭に湧いたイメージを絵にして、そこに物語をつけるようになりました。
そんなある日、古いスケッチブックを見返していたら、思い出深い一枚が出てきたんです。建設工事の仕事で家族と長野に住んでいた頃のもので、当時、子どもと一緒に考えた「ぶた魚」という空想の魚と、イカダに乗った三匹のねずみが格闘している絵が描かれていました。それが本当に懐かしくて、この場面の絵をもとに、子どもたちが大好きだった長野の思い出を物語にしてみようと思い立ちました。
▲旅の途中でしろねずみたちがガマ親分と出会ったワンシーン
どのようにして創作されたのですか?
今回は長野の思い出をもとに、地図で名所や史跡を調べてアイデアを練り、絵とストーリーを同時に進めました。かつて家族と過ごした千曲川沿いの風景や、戸隠、野沢温泉など、実際に訪れた場所やその歴史も物語に組み込んでいます。
絵を描いては文章を書き直すという試行錯誤を繰り返しながら、自分がイカダに乗ったつもりで物語を紡いでいきました。頭の中のイメージがデッサンとして描き上がった瞬間が、一番ワクワクしましたね。
物語や絵だけでなく、操り人形や劇中歌までご自身で作られたのですか?
▲自作の操り人形「ピースカ」
好奇心旺盛な性格なものですから、物語と絵だけでは物足りなくなってしまって(笑)。昔テレビで観ていた『ひょっこりひょうたん島』のように、人形や歌もあったらもっと面白いんじゃないかと思ったんです。
プロの創作なら分業するところですが、私は趣味の活動なので、時間をかけて自分の思うままに、やってみたいことをどこまでも試すことができました。
主人公のしろねずみたちを木で彫って内部に仕掛けを作り、出張先の海辺を散歩しながら作詞をして、その歌詞をヤマハ音楽教室へ持っていき、先生に曲作りの基本を教わりながら、作曲を進めていきました。
ここまで来るのに10年以上かかりましたが、物語、挿絵、操り人形、音楽と少しずつ創作の幅を広げながら、オリジナリティのある作品に仕上げることができたと思っています。
▲作曲した楽譜の一部
絵に関しては、「線」が印象的な作品が多いですが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?
「線で空間や奥行きを表現できないか」と挑戦していた時期があったんです。動物や静物を線だけで描いてみたりと、線による表現の可能性を探っていました。最初はデッサンの線だけで完成させたくて、色をつけることに少し抵抗もあったんですよね。でも次第にアクリル絵の具を塗ってみたり、Wordで色を変えてみたりと、いろいろ試すようになりました。Wordは画素数が少ない分、色の変更がすごく楽なんですよ(笑)。そうして、線による表現に加えて、色も取り入れるようになりました。
▲線画と着彩後
本の後半には、操り人形の設計図も掲載されていますね。
そうなんです。あの操り人形は、上から糸で吊るすのではなく、下から棒で操作して、手足や顔、耳が動くオリジナルの仕組みなんですよ。本を寄贈した学校の子どもたちが「自分たちも人形劇をやってみたい」と思ったときに再現できるよう、構造や設計図を記録として残しておきたかったんです。
我が家には大工さんからもらった木材の端材がたくさんありますから、作ってみたいという学校があれば木を寄贈して、私自身が作り方や動かし方を教えに行きたいなと思っていて。子どもたちに新しい登場人物を考えてもらい、みんなで人形劇を演じてもらうのが、今の私の夢ですね。
Wordで作成したデータを、B5サイズのまま印刷できるオンデマンド印刷の
会社を探して、ガップリ!さんのホームページにたどり着きました。
長い年月をかけて作り溜めた作品を、最終的に「本」という形にまとめようと思われた理由を教えてください。
最初はまとめるつもりなんて全くなかったのですが、今の年齢になって「コンクールに出してみようか」「一度きちんと形にして誰かに見てもらいたい」という気持ちが芽生えてきたんです。ただ、この作品群を、どうすれば人に見てもらえるのか、かなり悩みましたね。本とDVD、あるいは楽譜との組み合わせなど、さまざまな方法を検討しました。
最終的には、本に「物語・挿絵・歌詞・素描集・操り人形の設計図」を収め、劇中歌や操り人形の動きは動画に仕上げて楽譜と一緒にUSBメモリへ収録し、本とセットにするという方法に行き着きました。
そして、いよいよ本を出版することになるんですね!
私は高速道路を建設している土木技術者ですから、本づくりに関しては全くの素人なんです。手始めに大手出版社へ相談に行き見積もりを出してもらったのですが、自費出版だと最低部数の制限が厳しく、予算も合いませんでした。別の会社では原稿データを細かく見てもらったものの、鉛筆の素描をスキャンしてWordで着色した画像は画素数が低いため、B5サイズは難しく、A5サイズならと言われ、困ってしまって。サイズが小さくなると絵が見えにくくなるので、ある程度の大きさは欲しかったんです。そこで、Wordで作成したデータを、B5サイズのまま印刷できるオンデマンド印刷の会社を探して、ガップリ!さんのホームページにたどり着きました。
ガップリ!を選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?
少部数から対応してもらえて仕様も細かく設定でき、過去の製作事例が豊富だったことですね。ただ一番懸念していたのは、先ほどもお話に出た「スキャンしたモノクロの素描にWordで着色したデータ」の色が、実際の印刷でイメージ通りに出るかという点でした。そこで挿絵の「試し刷り」をお願いして、印刷の品質を確認させてもらったんです。
そうしたら私の想像を超える仕上がりで、色合いの美しさはもちろん、文字の太さやサイズ、フォントの選び方などについても親身にアドバイスをいただけたので、「ここにお願いしよう」と決めました。
ハードカバーやブックカバーを採用されていますが、仕様にはどのようなこだわりがありましたか?
▲布クロスにブルーの箔押しを施した表紙
この本は絵本というより小説に近いと思っています。対象は小学校高学年と考えていて、図書室などから自宅へ持ち帰って読んでもらうことも想定していました。
ソフトカバーのような柔らかい表紙だと、繰り返し読んだり持ち運んだりするうちに、どうしても破れてボロボロになってしまいますよね。ですから、長く読んでもらえる硬い表紙の「ハードカバー(上製本)」を選びました。
また、手が汚れていても大丈夫なように、保護用の「ブックカバー」も絶対につけたい仕様の一つでした。
▲ブックカバー付きの仕様
「大変だった」と感じる工程は一つもないですね。趣味ですから(笑)。
全体を通して一番大変だった工程はどこですか?
「大変だった」と感じる工程は一つもないですね。趣味ですから(笑)。
途中で話が行き詰まったり絵が描けなくなったりしても、締め切りがあるわけではないので、そのまま放っておくんです。そうやって普段通り仕事をしながら時間を置くと、不思議と壁を乗り越えられて「あ、こうすればいいんだ」とアイデアが湧いてくる。時間がすべて解決してくれましたね。
完成した本を手にした際のご感想と、その活用法について教えてください。
原稿はWordのデータでしたが、想像していた以上の素晴らしい本に仕上げていただき、本当に感謝しています。完成した本と動画入りのUSBのセットは、転勤族だった我が家の子どもたちがお世話になった小学校や、沖縄の親友の母校、そして物語の舞台となった長野県や新潟県の小学校に寄贈させていただきました。
寄贈された学校や地域からは、どのような反響がありましたか?
学校の先生からお礼の手紙、電話やメールをいただいたり、教育委員会からお手紙等を頂戴したりしました。
なかでも印象に残っているのは、かつて私が建設に携わった高速道路の近くにある小学校の校長先生からのお手紙です。
「とても楽しく、ワクワクしながら読み進むことができました。川中島の亡霊やダイダラボッチなどが登場してくる設定も面白いと思いました」といった感想とともに、さくらんぼまで送ってくださって。
「子どもたちに伝えていきたい」と書いてくださったことも、本当に嬉しかったですね。
▲ダイダラボッチのシーン
これから作品を作ろうとしている方へのメッセージや、今後の抱負があればお願いします。
いやあ、メッセージなんて滅相もないです(笑)。自分の時間を自由に使って、好きなように、気が済むところまで作ってみてください、ということくらいですね。
今回はしろねずみの「イカダの冒険」でしたが、実はもう次回作の構想を進めています。次は、しろねずみが飛行機を作って北アルプスを飛び越え、富山湾の蜃気楼を見に行く冒険の話です。今、それをまとめているところです。
最後に、ガップリ!のサービスをご利用になった感想をお聞かせください。
本の仕上がりについての要望もいろいろと親身に聞いてもらえましたし、良い品質で作っていただけました。ガップリ!さんにお願いして良かったと思っています。
自分のペースでじっくりと、好きな世界を形にされた栁川さん。
本や動画を通して、寄贈先の子どもたちにも創作の楽しさが伝わればいいですね。
楽しいお話をありがとうございました。
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- 橋本 伸也 様
- 作品集『234m』
- ゆの 様
- 写真集『CARLO SERGIO SIGNORI』
- 安部 大雅 様
- 記念誌『士別市立多寄小学校開校120周年記念誌』
- 藤澤 信吾 様
- 作品集『SMILE GAKU IGARASHI初作品集』
- 株式会社六り 様
- ART BOOK『Someday, Somewhere, Someone』
- yui yoshimura 様・yoshitaka furukawa 様・tomoko ogawa 様
- 図版『大正、阿佐ケ谷、高円寺。影印版杉並町誌附町名鑑』
- 図版研レトロ図版博物館 様
- スケッチブックシアター『いちかわのかぞえうた。』
- 「いちかわ かぞえうた」プロジェクト 様
- 画集『熊倉 雅 画集』
- 熊倉 雅 様
- 詩画集『∀KIKO pictures and poems』
- ∀KIKO 様
- 写真集『創立60周年記念写真集』
- 全日本写真連盟浦和支部 様
- 絵本『すてきなおとどけもの』
- 絵・神田瑞季 様 文・かのりんか 様
- 写真集『existence』
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- 作品集『OUYO』/『空中オルガン』他
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- 株式会社スタジオ366 様
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- ムジカリーナ 松本由美子 様
- 写真集『DIAMANTAIN』
- 黒木式 様
- にゃーご こうえんへいく
- 株式会社blue dreamプランニング ずむずむ®絵本 真下直子 様
- My Friends
- 作/くりくり 様 絵/ふっかー 様
- ありしろ雑貨店&ILLUSTRATORSポストカードブック
- ありしろ雑貨店 様
- IGA☆GURIO CALENDER
- いが☆グリオ実行委員会 様
- パンダのひこまろカレンダー Life / パンダのひこまろ うちわ
- パンダのひこまろ 様
- MONSTER'S STORY BOOK
- TOMASON 様
- のりまき のりちゃん
- 絵本とおひるね舎 甲斐 絵里(エリック ウーリ)様
- 平田五郎
- りふdeおは梨 様
- うまれもった ひかり / アゴのはずれた くるみわりにんぎょう
- えのもと かずき 様
- のりまき のりちゃん
- 絵本とおひるね舎 甲斐 絵里(エリック ウーリ)様
- Kalligrafien壁掛けカレンダー
- 蘆野ゆり子 様
- 『モノクロリウム』
- 未早 様
- 魔女のレストラン
- 株式会社グラフィッコ 様
- WHAT'S THIS?
- SAKURA 様
- たのしみながら少しづつ
- 山下 泰 様
- 「カレンダー」「手帳」「カードブック」
- yojibee 様
- ここに生まれてきたんだよ
- 伊敷トゥートリサ 様
- やぎちゃんと秘密の線香
- 八木 宏幸 様
- Fantasy
- Yuri Alfrancaix 様
- ちびおるめのひと駅の大冒険
- 社会芸術ラボORINAS 佐原香織 様
- 『itonami』
- はたらきアリ出版(著者 浜野かもめ)様
- C4 DESIGN LABEL CALENDAR
- 株式会社シーフォーデザインレーベル 様
- 智代の絵手紙(食)(心)(花)
- 虹色工房 様
- 日めくりカレンダー
- 有限会社アーデルバッティングドーム 様
- GARO
- クニプ― 様
- EVER GREEN / だいじょうぶ
- Fleurbrahman Art 様
- てふ ひらり はたり
- Akiko.B.Mimura様/スゲノマロ 様
- いちにち
- 横瀬芽実依 様
- 育てるタオル 育てる暮らし
- 株式会社 英瑞 様
- イトウってなーんだ?
- 猿払イトウの会 様
- てんぷら!声を聞かせて
- 社会医療法人同仁会 耳原総合病院 様
- バリアフリー戦隊ダンサナクセイバー ~心のバリアフリー編~
- NPO法人自立生活センターSTEPえどがわ 様
- いったい どうなっているんだぃ?
- 群馬医療福祉大学 村山明彦様 山口智晴 様
- マジック用絵本
- RYU(大迫龍太) 様
- 夏休みの思い出
- 緒方悠輝也 様
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ガップリ!で印刷・製本した作品をご紹介「ガップリ!ギャラリー」
「ガップリ!ギャラリー」では、ガップリ!で印刷・製本したお客さまの製作事例をご紹介しています。
ギャラリーでは、作品の写真だけではなく、仕様や特徴、お客さまインタビューなども掲載しています。検索機能もあり、「製本タイプ」「サイズ」「用途」「オプション加工」「業種」から絞り込んで、素早く見たい製作事例が探せます。
「ガップリ!ではどんなことができるのか過去の作品を確認したい」「本づくりのヒントが欲しい」という方には参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
物語、絵、人形、歌。好きな世界を思うままに表現した一冊。
土木技術者として長年活躍してこられた「さりぃぱぁぱ」こと栁川恒之さん。家族と過ごした長野での思い出をもとに、10年以上の歳月をかけて物語、挿絵、操り人形、さらには劇中歌まで自ら手がけた大作『しろねずみのぼうけん』を完成させました。創作をはじめたきっかけや、なぜ人形や音楽まで取り入れたのか、小学校から寄せられた反響など、さまざまなお話をうかがいました。
子どもたちが大好きだった長野の思い出を
物語にしてみようと思い立ちました。
まずは、絵や物語といった創作活動を始められたきっかけから教えてください。
もともとは工業大学で土木を専攻していたのですが、実家の事情で「商売を継ぐことになるのかな」と進路に迷っていた時期があったんです。父が他界し、兄が実家を継いだことで、あらためて「自分は何をしようか」と考えるようになり、その頃、「絵が描けるような将来があってもいいかな」とふと思ったのが最初ですね。子どもの頃は外で走り回ってばかりで美術の成績も散々でしたが、昔、学校の先生が絵を褒めてくれた記憶が残っていたんです。
その後、土木のコンサルタント会社に入社し、一時は働きながら夜間に絵の勉強もしていましたが、高速道路の建設など土木の仕事が面白くなり、次第にそちらに夢中になっていきました。
土木のお仕事一筋だったところから、再び創作に向かわれた背景は?
妻を亡くし、子どもたちも手が離れた50代半ばの頃、気晴らしも兼ねて「また絵でも描こうか」とデッサン教室に通い始めたのがきっかけです。文章に関しては、昔は国語が大嫌いだったんですよ(笑)。小学生の時に先生から「クラスで一番字が下手だ」と言われて恥をかき、ふてくされて以来、ずっと嫌いでした。そんな私が変わったのは、土木の仕事で「技術士」という資格を取るための勉強を始めたことです。1日に1万2000字もの論文を書くような難しい試験で、必死に勉強しているうちに、いつの間にか文章を書くのが苦にならなくなり、むしろ好きになってしまったんですよね。
今回の物語を作ろうと思ったきっかけはどのようなことでしたか?
デッサン教室に通い始めてから、頭に湧いたイメージを絵にして、そこに物語をつけるようになりました。
そんなある日、古いスケッチブックを見返していたら、思い出深い一枚が出てきたんです。建設工事の仕事で家族と長野に住んでいた頃のもので、当時、子どもと一緒に考えた「ぶた魚」という空想の魚と、イカダに乗った三匹のねずみが格闘している絵が描かれていました。それが本当に懐かしくて、この場面の絵をもとに、子どもたちが大好きだった長野の思い出を物語にしてみようと思い立ちました。
▲旅の途中でしろねずみたちがガマ親分と出会ったワンシーン
どのようにして創作されたのですか?
今回は長野の思い出をもとに、地図で名所や史跡を調べてアイデアを練り、絵とストーリーを同時に進めました。かつて家族と過ごした千曲川沿いの風景や、戸隠、野沢温泉など、実際に訪れた場所やその歴史も物語に組み込んでいます。
絵を描いては文章を書き直すという試行錯誤を繰り返しながら、自分がイカダに乗ったつもりで物語を紡いでいきました。頭の中のイメージがデッサンとして描き上がった瞬間が、一番ワクワクしましたね。
物語や絵だけでなく、操り人形や劇中歌までご自身で作られたのですか?
▲自作の操り人形「ピースカ」
好奇心旺盛な性格なものですから、物語と絵だけでは物足りなくなってしまって(笑)。昔テレビで観ていた『ひょっこりひょうたん島』のように、人形や歌もあったらもっと面白いんじゃないかと思ったんです。
プロの創作なら分業するところですが、私は趣味の活動なので、時間をかけて自分の思うままに、やってみたいことをどこまでも試すことができました。
主人公のしろねずみたちを木で彫って内部に仕掛けを作り、出張先の海辺を散歩しながら作詞をして、その歌詞をヤマハ音楽教室へ持っていき、先生に曲作りの基本を教わりながら、作曲を進めていきました。
ここまで来るのに10年以上かかりましたが、物語、挿絵、操り人形、音楽と少しずつ創作の幅を広げながら、オリジナリティのある作品に仕上げることができたと思っています。
▲作曲した楽譜の一部
絵に関しては、「線」が印象的な作品が多いですが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?
「線で空間や奥行きを表現できないか」と挑戦していた時期があったんです。動物や静物を線だけで描いてみたりと、線による表現の可能性を探っていました。最初はデッサンの線だけで完成させたくて、色をつけることに少し抵抗もあったんですよね。でも次第にアクリル絵の具を塗ってみたり、Wordで色を変えてみたりと、いろいろ試すようになりました。Wordは画素数が少ない分、色の変更がすごく楽なんですよ(笑)。そうして、線による表現に加えて、色も取り入れるようになりました。
▲線画と着彩後
本の後半には、操り人形の設計図も掲載されていますね。
そうなんです。あの操り人形は、上から糸で吊るすのではなく、下から棒で操作して、手足や顔、耳が動くオリジナルの仕組みなんですよ。本を寄贈した学校の子どもたちが「自分たちも人形劇をやってみたい」と思ったときに再現できるよう、構造や設計図を記録として残しておきたかったんです。
我が家には大工さんからもらった木材の端材がたくさんありますから、作ってみたいという学校があれば木を寄贈して、私自身が作り方や動かし方を教えに行きたいなと思っていて。子どもたちに新しい登場人物を考えてもらい、みんなで人形劇を演じてもらうのが、今の私の夢ですね。
Wordで作成したデータを、B5サイズのまま印刷できるオンデマンド印刷の
会社を探して、ガップリ!さんのホームページにたどり着きました。
長い年月をかけて作り溜めた作品を、最終的に「本」という形にまとめようと思われた理由を教えてください。
最初はまとめるつもりなんて全くなかったのですが、今の年齢になって「コンクールに出してみようか」「一度きちんと形にして誰かに見てもらいたい」という気持ちが芽生えてきたんです。ただ、この作品群を、どうすれば人に見てもらえるのか、かなり悩みましたね。本とDVD、あるいは楽譜との組み合わせなど、さまざまな方法を検討しました。
最終的には、本に「物語・挿絵・歌詞・素描集・操り人形の設計図」を収め、劇中歌や操り人形の動きは動画に仕上げて楽譜と一緒にUSBメモリへ収録し、本とセットにするという方法に行き着きました。
そして、いよいよ本を出版することになるんですね!
私は高速道路を建設している土木技術者ですから、本づくりに関しては全くの素人なんです。手始めに大手出版社へ相談に行き見積もりを出してもらったのですが、自費出版だと最低部数の制限が厳しく、予算も合いませんでした。別の会社では原稿データを細かく見てもらったものの、鉛筆の素描をスキャンしてWordで着色した画像は画素数が低いため、B5サイズは難しく、A5サイズならと言われ、困ってしまって。サイズが小さくなると絵が見えにくくなるので、ある程度の大きさは欲しかったんです。そこで、Wordで作成したデータを、B5サイズのまま印刷できるオンデマンド印刷の会社を探して、ガップリ!さんのホームページにたどり着きました。
ガップリ!を選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?
少部数から対応してもらえて仕様も細かく設定でき、過去の製作事例が豊富だったことですね。ただ一番懸念していたのは、先ほどもお話に出た「スキャンしたモノクロの素描にWordで着色したデータ」の色が、実際の印刷でイメージ通りに出るかという点でした。そこで挿絵の「試し刷り」をお願いして、印刷の品質を確認させてもらったんです。
そうしたら私の想像を超える仕上がりで、色合いの美しさはもちろん、文字の太さやサイズ、フォントの選び方などについても親身にアドバイスをいただけたので、「ここにお願いしよう」と決めました。
ハードカバーやブックカバーを採用されていますが、仕様にはどのようなこだわりがありましたか?
▲布クロスにブルーの箔押しを施した表紙
この本は絵本というより小説に近いと思っています。対象は小学校高学年と考えていて、図書室などから自宅へ持ち帰って読んでもらうことも想定していました。
ソフトカバーのような柔らかい表紙だと、繰り返し読んだり持ち運んだりするうちに、どうしても破れてボロボロになってしまいますよね。ですから、長く読んでもらえる硬い表紙の「ハードカバー(上製本)」を選びました。
また、手が汚れていても大丈夫なように、保護用の「ブックカバー」も絶対につけたい仕様の一つでした。
▲ブックカバー付きの仕様
「大変だった」と感じる工程は一つもないですね。趣味ですから(笑)。
全体を通して一番大変だった工程はどこですか?
「大変だった」と感じる工程は一つもないですね。趣味ですから(笑)。
途中で話が行き詰まったり絵が描けなくなったりしても、締め切りがあるわけではないので、そのまま放っておくんです。そうやって普段通り仕事をしながら時間を置くと、不思議と壁を乗り越えられて「あ、こうすればいいんだ」とアイデアが湧いてくる。時間がすべて解決してくれましたね。
完成した本を手にした際のご感想と、その活用法について教えてください。
原稿はWordのデータでしたが、想像していた以上の素晴らしい本に仕上げていただき、本当に感謝しています。完成した本と動画入りのUSBのセットは、転勤族だった我が家の子どもたちがお世話になった小学校や、沖縄の親友の母校、そして物語の舞台となった長野県や新潟県の小学校に寄贈させていただきました。
寄贈された学校や地域からは、どのような反響がありましたか?
学校の先生からお礼の手紙、電話やメールをいただいたり、教育委員会からお手紙等を頂戴したりしました。
なかでも印象に残っているのは、かつて私が建設に携わった高速道路の近くにある小学校の校長先生からのお手紙です。
「とても楽しく、ワクワクしながら読み進むことができました。川中島の亡霊やダイダラボッチなどが登場してくる設定も面白いと思いました」といった感想とともに、さくらんぼまで送ってくださって。
「子どもたちに伝えていきたい」と書いてくださったことも、本当に嬉しかったですね。
▲ダイダラボッチのシーン
これから作品を作ろうとしている方へのメッセージや、今後の抱負があればお願いします。
いやあ、メッセージなんて滅相もないです(笑)。自分の時間を自由に使って、好きなように、気が済むところまで作ってみてください、ということくらいですね。
今回はしろねずみの「イカダの冒険」でしたが、実はもう次回作の構想を進めています。次は、しろねずみが飛行機を作って北アルプスを飛び越え、富山湾の蜃気楼を見に行く冒険の話です。今、それをまとめているところです。
最後に、ガップリ!のサービスをご利用になった感想をお聞かせください。
本の仕上がりについての要望もいろいろと親身に聞いてもらえましたし、良い品質で作っていただけました。ガップリ!さんにお願いして良かったと思っています。
自分のペースでじっくりと、好きな世界を形にされた栁川さん。
本や動画を通して、寄贈先の子どもたちにも創作の楽しさが伝わればいいですね。
楽しいお話をありがとうございました。
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ガップリ!で印刷・製本した作品をご紹介「ガップリ!ギャラリー」
「ガップリ!ギャラリー」では、ガップリ!で印刷・製本したお客さまの製作事例をご紹介しています。
ギャラリーでは、作品の写真だけではなく、仕様や特徴、お客さまインタビューなども掲載しています。検索機能もあり、「製本タイプ」「サイズ」「用途」「オプション加工」「業種」から絞り込んで、素早く見たい製作事例が探せます。
「ガップリ!ではどんなことができるのか過去の作品を確認したい」「本づくりのヒントが欲しい」という方には参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
















