オリジナル絵本インタビュー
『Andre’s Wonderful Adventure　1・2・3』

森　マリエ様製作のオリジナル絵本『Andre’s Wonderful Adventure　1・2・3』

/ ちょっとおとぼけな主人公アンドレが、 /
旅先で冒険を繰り広げる絵本の三部作

『Andre’s Wonderful Adventure』は、旅好きなフランス人のおじさんアンドレが、第1部でエジプト、第2部でアマゾニア、第3部でアラスカを旅する三部作の絵本です。当初「ガップリ！」で各30冊、その後「ガップリ！の絵本」で各180冊製作された、イラストレーターの森マリエさんにお話をうかがいました。

大学の3、4年の時にキャラクターデザインの授業をとっていて、
その中で主人公のアンドレというキャラクターが生まれました。

この絵本を作ろうと思ったきっかけは何ですか。

大学4年生の時に、卒業制作で絵本を作りたいと思ったのがきっかけです。卒業制作では第1部のエジプト編を作り展示しましたが、卒業後もアマゾニア編、アラスカ編に取り組み、３年かけて描いたものを2019年に「ガップリ！」さんで30冊ずつ印刷していただきました。

卒業制作で絵本を作ったのはなぜですか。

▲絵本の主人公として登場するアンドレ

大学3、4年の時にキャラクターデザインの授業をとっていて、その中で主人公のアンドレというおじさんのキャラクターが生まれました。それで、卒業制作ではこのキャラクターを使って何かストーリーのあるものを作りたいなと思ったんです。アニメーションも考えましたが、1枚の絵にじっくり時間をかけられる方が自分には向いていると思って、最終的に絵本を選びました。

卒業制作展での絵本の反響はいかがでしたか。

自分で手製本した絵本を展示しました。文字のない絵本なので内容がうまく伝わるかどうか少し不安がありましたが、みなさんそれぞれ独自の解釈で読んでくださって、面白いと言ってくださいました。

はじめから旅ものの三部作にしようと思っていたのですか。

旅好きなフランス人のおじさんというのがこのキャラクターの設定でしたので、大自然の中を旅する物語にしようと思ったんです。旅の中でいろいろなものを見たり、ハプニングにあったりするようなストーリーを考えました。アマゾニア編とアラスカ編は、卒業制作時には表紙のポスターしかできていませんでしたが、いずれ絵本として完成させたいなと思っていました。

絵本製作でこだわった点は色味でした。
印刷では三部作それぞれの特徴ある色彩を再現していただきました。

「ガップリ！の絵本」に第２刷をご注文いただきましたが。

▲見開きでイラストがよく見える糸綴じ製本

2019年に「ガップリ！」さんで印刷していただいた第1刷は、記念として形に残したくて製作をお願いしました。親しい方やお世話になった方などにもお渡ししたのですが、その時の評判が思いのほか良かったので増刷したいと思っていました。そこで2021年に第2刷として「ガップリ！の絵本」さんに180冊ずつ注文させていただきました。今回は糸かがり綴じでページが開きやすく、見開き中央部分の絵柄までしっかりと見えるようになったので、文字のない絵本には大変ありがたいと思いました。

「ガップリ！」を選んだ理由を教えてください。

「ガップリ！」さんのことはインターネットで知りました。ほかの印刷会社さんと比べて紙の種類が多く、印刷が美しくて製本が丁寧な印象を持ちました。Webサイトのギャラリーで、今までに製作されたお客さまの作品を見ることができ安心感もありましたね。サンプルをいただいたのですが、予想以上の発色と装丁で実際の出来上がりを想像できたので、製作をお願いすることにしました。サイズもA4やB4など規格サイズだけではなくオリジナルのサイズで作れるという点がよかったですね。

絵本製作でとくにこだわった点はありますか。

絵本製作でこだわった点は色味でした。私の絵本は冒険物語なのですが、3作の色味を変えることによって異なる地域を描いています。砂色のエジプト、原色のアマゾニア、透明感のアラスカという風に。例えばエジプト編では砂漠の乾燥した空気を表現するために表紙も本文も茶色っぽい色で統一したり、それぞれの色にこだわっていて、印刷ではその特徴ある色彩を再現していただきました。

絵だけで文章を入れなかったのはなぜですか。

映画が好きで、映画をスクリーンで観ているような感覚の絵本を作れたらと思い文字をなくしました。それと、文章に縛られずに描くとどうなるのかという好奇心もありました。ただ、絵だけでどこまでストーリーを伝えられるかが課題で、一度描いたページをなくしたり、新たにシーンを追加したりと、試行錯誤しましたね。

▲イラストだけでストーリーが伝わるよう試行錯誤されたページ

見返し印刷と変形サイズのオプションを付けられていますね。

▲絵本の世界観を感じさせる見返し印刷

私が小さい頃に読んだ絵本の見返しにも、これから始まる物語を想像させるような絵がさらっと描かれていて、表紙をめくった時にわくわくしました。映画でもオープニングは心が躍りますが、絵本でいうとその部分が見返しになるのではと思い、見返し印刷はぜひやってみたいと思っていました。サイズについては、映画のスクリーンのような横長の形にしたくて、横256ｍｍ縦188ｍｍのサイズにしました。

自分の描いたデータの絵が実際に形になって、
パラパラとページをめくることができた時は嬉しかったです。

絵本が完成した時のお気持ちはいかがでしたか。

自分の描いたデータの絵が実際に絵本という形になり、パラパラとページをめくることができた時は嬉しかったです。仕上がりも予想以上で、大学の時は自分で手製本しましたが、やはりプロの手によるとこんなにきれいに仕上がるのかと感動しました。ずっと見ていたくなるような仕上がりでした。

絵本はどのように活用されていますか。また、絵本の評判や反応はいかがですか。

イラストレーターさんや作家さんが集まるイベントや、ギャラリーでの展示会、オンラインショップでの販売がメインになっています。ストーリーの解釈は読んでくださる方の数だけあるので面白いですね。でも、みなさんちょっとおとぼけの主人公を気に入ってくださっているようです。表紙の鮮やかな発色と高級感のあるマットな仕上げが大変きれいなので、インテリアとしてお部屋に飾ってくださる方も多くいらっしゃいます。

「ガップリ！の絵本」をご利用いただいた感想などお聞かせください。

いつもとても親切に対応してくださるので、大変感謝しています。メールや電話で質問した際もすぐにお返事をくださいますし、本当にありがたいです。梱包に関してもとても丁寧で感動しました。絵本に限らず紙の印刷物は角の潰れが気になるところですが、クッション材をしっかり入れていただいていたので、運送途中で箱が多少潰れてしまったにも関わらず、中身はまったく破損なく届き、とても助かりました。

カレンダーもご注文いただきましたが、今後、作ってみたいものはありますか。

▲台紙に名入れをした素敵な壁掛けカレンダー

壁掛けカレンダーは、岡山の実家のリフォームをお願いした建設会社さんからの製作依頼ですが、とても評判がよかったそうです。今後は、文章のある絵本や子どものための絵本、詩や短い文にイラストを添えたりしてみたいです。それと、これまでに描いた作品をまとめた作品集のようなものも作ってみたいです。絵本三部作の続編はまだ描いていませんが、いずれ時間ができたら描きたいなと思っています。

続編も気になるところですが、まったく新しい森さんの作品もぜひ見てみたいですね。