オリジナル絵本インタビュー
『Happy Sora no Osanpo』

/ オカメインコのはっぴいが絵本から飛び出して、 /
かわいいベビーカステラになりました。

オカメインコのはっぴいが空をお散歩する絵本「Happy Sora no Osanpo」。15年ぶりにインスピレーションが降りてきて絵本を作ったというmu-maさんは、新たなインスピレーションを得て2021年5月、はっぴいのカステラを販売するお店を開店したそうです。mu-maさんにお話をうかがいました。

15年ぶりになんかこうブワーッと降りてきたから、
今回は作品として描いて本にしたいなって。

絵本を作ろうと思ったきっかけは何ですか。

2005年に絵本を出版したことがあったんですが、そのあと全然描けなくなっちゃって。降りてこないと描けないんですよ。それで、15年ぶりになんかこうブワーッと降りてきたから、今回は作品として描いて本にしたいなって思ったのと、ちょうどその時に母親の誕生日が近かったので、何かプレゼントしたいなっていうのもあって絵本の製作をお願いしました。私、ずっと個展とかもやってたんですけど、ある時からその方向性がどうなのかなっていう時期に突入して個展もできなかったんですね、描こうっていう意欲もなかったし。そんな状況が続いた中で、ずっと応援してくれていた友だちとか家族とか、個展に来てくれていた方とか、何かやっぱり返したいじゃないですけど、そういうのもあって今回作った感じですね。

単語だけでお話のない絵本ですが、テーマやコンセプトは？

私、もともと絵本は海外の絵本から入ったんですよ。その絵本というのがやっぱり字が少なくて、「Wow」とか一言で終わるような絵本だったんですね。で、やっぱり海外って絵とか色とかも全然違うし、すごいなというふうに思ったんですよ。日本の絵本って「むかしむかし」みたいに字が多くて、それはそれでいいと思うんですが私的には面白くないなと思っていて。ボランティアで読み聞かせに行ったことがあったんですが、子どもって勝手に作品を作っていくんですよね、文章を。だから私は自分で作っていく絵本じゃないですけど、そういう本を作りたかったんですね。それと、今回の作品に関しては私、雲がすごく好きで。落ち込んだ時とか空を見上げたりするんですけど。上を見たら景色が変わるっていうか。だから雲をテーマにしたっていうのかな。私、8年前に乳がんになって闘病していた時期があったんですけど、その時の出会いとか、そういう人に向けて描きたいとか、届けたいとか、そういう思いもありましたね。

「あれ、もうちょっと何とかなりませんか」って相談したことを快くやってくれて。
言ったら即、動いてくれたんで、すごいなと思いました。

「ガップリ！の絵本」を選んだ理由や、利用した感想をお聞かせください。

▲表紙の文字バランスや色味は相談しつつ当社で調整

なんかねえ、ホームページの感じがすごく良くて。信用できるかなって、上から目線で申し訳ないですけど。そういうのをすごく感じて、ここで作りたいなって思ったんです。ほかも結構見たんですけど、そういうインスピレーションが全く感じられなかったんですよね。製作中も「あれ、もうちょっと何とかなりませんか」って相談したことを快くやってくれて。位置ってあるじゃないですか、字のバランスとか。電話だとここって言っても伝わらないんですよ、特に私みたいなタイプは(笑)。それでもドンピシャにちゃんとしてくれて。そういう対応もホントに早くて言ったら即、動いてくれたんで、すごいなと思いました。

絵本製作で難しかったり、こだわった点はありますか。

▲印刷では再現が難しい色えんぴつの色合いも美しく表現

色えんぴつって印刷になるとすごく難しくて、やっぱり原画の色が出ないことが多いので、それがちょっとネックだったりするんですけど。でも今回はすごくそれに近いものを出していただいたんで、よかったというかありがたいなって思いました。サイズは原画を描いたスケッチブックのサイズがよくて同じ大きさで作りました。このサイズが持ちやすくて好きなんです、私は。規格外になるので悩んだんですけど、サイズ感も変わっちゃうってことで横182縦145mmのサイズにしました。今回は妥協せずに、よりよいものを作りたいなっていうのがあったんですね。それで実際「ガップリ！の絵本」さんに伺って、紙質とか触らせてもらったり、試しに印刷して発色とかいろいろ教えていただいたので、気に入った紙を選ぶことができました。前回の出版では印刷されてきたものしか見れなかったので、だからそれもすごいことだなって。

完成した絵本が届いた時の感想や、周りの方からの反応はいかがですか。

思った以上の出来だったので、すごく嬉しかったですね。それしか言えないです(笑)。安っぽい本とは思ってなかったんですけど、色とかに関しては多分出ないかなと思っていたので。でも、それが全然出てたし、本当にきれいに製本もされてたから、よかったなって。すごい泣いちゃいましたもん。本当に感動し感激しました。母には印刷前の最終チェックとかもやってもらっていて共同制作のようなかたちだったので、届いてびっくりとかはなかったんですが、すごく喜んでましたね。贈った方からは、やっと来たかっていう感じで言われました。ずっと待っててくれた人たちに渡したので、そういう気持ちの方が多かったんだと思います。

絵本の主人公がオカメインコのはっぴいっていうんですけど、
その子のキャラクターのお店みたいなのを作ったんですよ、カフェみたいな。

絵本はどのように活用されていますか。

▲カステラ屋『はっぴぃかすてーら』

どうしても欲しいという方がいて、2冊だけ販売しました。あとは自分の知り合いとかに差し上げたって感じですね。で、その知り合いが誰かに絵本を贈りたいから売って欲しいって結構言ってくれるんですけど、残りがもう3冊しかないんですよ。だから、絵本を増刷するためにがんばって動いていこうかなと思っていたら、まさかの『はっぴいかすてーら』が降りてきちゃって。それでカステラ屋みたいになってるんですよ、いま。私もベビーカステラの専門店なんて作るとは思ってなかったんですが。よくわからないけどインスピレーションがきて、なんかそんなことになってます(笑)。やっと最近、自分がお店を出したんだなってことに気づいた感じです。

絵本からインスピレーションを得て、カステラ屋さんになったんですか！？

▲絵本の原画と書きま帳+のメモ帳（販売品）

そう、もう降りてきたらやらなきゃいけないみたいな感じで (笑)。絵本の主人公がオカメインコのはっぴいっていうんですけど、その子のキャラクターのお店みたいなのを作ったんですよ、カフェみたいな。中でも飲食ができるようになっているから、そこに絵本も置いたりしてるんですが、店内には絵本の原画も飾ってあるので来たお客さんが絵本も欲しいってなっちゃって。でも、もう3冊しかないから非売品にしてるんですけどね。ほかにもはっぴいのバッグとかコップとかトレーナーとかいろいろグッズがあって、「書きま帳＋」で作ってもらったメモ帳も販売しています。お店はもう気持ち悪いくらいに、はっぴいだらけですね(笑)。近頃はいろんなオファーも来るようになったんですよ、インターネット販売とかマルシェとか。すごく来てるんですが、なかなか追いついていかないんですよね。

それでは次回作どころではないですね。

まだ降りてきてないので全然。お店のデザインとか内装とか全部自分でやったんですよ。壁塗って、床張って、クロス貼って、外の周りとかいろいろ、1カ月かけて全部自分でやったんです。だから、そこで完全燃焼しちゃったんで、作品なんか絶対出てこないですよね、いまは(笑)。でも、いつ降りてくるかわからないので。とりあえずはこの「Happy Sora no Osanpo」をもっと多く作って販売したいなとは思っています。