インタビュー
詩画集『∀KIKO pictures and poems』

/ 「いのち」をテーマに、精細な描写の絵と /
シンプルな言葉の詩で描いた独特な精神的世界。
「いのち」を表現する画家の「∀KIKO」さんが、旅立ったパートナーに捧げるため、彼が遺したラフ構成を基に製作した詩画集です。複雑で精細な模様が描き込まれた絵に、シンプルで力強い詩が添えられ、読んでいると不思議な生命力が沸き上がります。∀KIKOさんは、ほかに「タバネッタ!」で2冊のカードブックを製作していますが、こちらはシンプルな線画がメインで、また違った一面が見られます。これらの作品を作った思いやきっかけなど、さまざまなお話をうかがいました。
すべての作品は「いのち」をテーマにしていて、
湧き上がってくるインスピレーションを絵と詩と音で表現しています。
∀KIKOさんは、いつもどんな活動をされているのですか。
▲インタビューのために来社してくださった∀KIKOさん
ふだんは絵と詩と音で「いのち」を表現する画家として活動しています。山梨県上野原市の小さなお山の頂上で、アトリエを兼ねた「nociw gallery(ノチューギャラリー)」をオープンしていて、ここには全国からお客さまが訪ねて来てくださいます。
また、いろいろな場所で展示会を開催して、「ARTGYPSY ARTSHOW」と称し作品映像の上映や自作の詩の朗読も行っています。そのほかの仕事としては、ミュージシャンのアルバムジャケットや、ロゴやラベルの制作、書籍の扉絵などの依頼を請け負うこともありますね。
▲nociw gallery(ノチューギャラリー)の写真
絵も、詩も作られていますが、一貫した創作のテーマというものはあるのでしょうか。
すべての作品は「いのち」をテーマにしていて、湧き上がってくるインスピレーションを絵と詩と音で表現しています。私の絵の特徴は、動物や植物、鉱物のなかに胎児を描いているところですが、これは、私たち人間はすべての自然界のなかで「生かされている」ということを表現しています。そのためか、私は意図していなかったのですが、作品を購入される方のなかには、出産祝いや人生の節目を迎える方へのプレゼントにされている方も多いようです。また、ご自身のものとして購入される方も、胎教に使ったり、絵を出産の場に持ちこんだり、生活のなかで絵を見ながら子育てしたりと、いのちと関わりのある使い方をしてくださっているようです。
▲原画「ふるさとの星」(左)、作品中の物語「種」(右)のいずれにも胎児が描かれている
どうして「いのち」をテーマにされているのでしょうか。
実は私は8歳から13歳までの5年間、病を患い病気の子どもたちが長期滞在する病院に入院していたんです。母が絵や詩を書いていた影響で、私も物心がついた時から絵や詩を創作していたのですが、そのお陰で入院中は、体はつらくても創作をすることで自分を癒すことができました。ですが、その病院には、おもに重病の子が入院していたので、亡くなっていく友だちもいました。そういう環境のなかで「いのち」というものにすごく不思議な感覚を持つようになり、その経験がいまの自分にも影響していると思います。
2017年故郷でのツアー中に突然NOBUYAが旅立ってしまったのです。
だからこの詩画集は彼に捧げました。
『∀KIKO pictures and poems』を作ろうと思ったきっかけは、どのようなことだったのでしょうか。
35年間、ずっと一緒にいた最愛のパートナーNOBUYAが旅立ったことです。彼とは幼稚園からの幼馴染で、中学卒業の時、「君には才能がある。僕は男と女としてだけじゃなく、人間対人間として君と付き合っていきたい」と告白され、高校卒業と同時に2人で上京しました。その後NOBUYAは絵で忙しくなった私をサポートするために美容師を辞め、それから2人で「ARTGYPSY」というユニットを立ち上げました。2010年から毎年、「ARTGYPSY TOUR」と称して日本全国をめぐり、DJでもあったNOBUYAの音と私の絵と詩で表現するツアーを行っていたのですが、2017年故郷でのツアー中に突然NOBUYAが旅立ってしまったのです。だからこの詩画集は彼に捧げました。彼は生前、ツアーに来てくださったお客さまの「ARTSHOWに出てくる絵や詩がセットになった本が欲しい」という声を形にしようとしていました。私が描いたたくさんの絵と詩をもとに、構成を組み立て、ラフを作ってくれていたんです。この詩画集は、その残してくれたラフに新たに三つの詩を加えて完成させました。彼への愛と感謝とファンの方への感謝の気持ちをこめています。
▲∀KIKOさんとNOBUYAさんのご親友
本を作るうえで、特にこだわった点はありますか。
いままでも何冊か本を出版していますが、いつも自分の世界観がきちんと伝わるものにしたいと思っているので構成にこだわっています。特に「いのち」という一番大切なテーマが分かるように、伝わりやすさ、見やすさ、理解しやすさに気を付けてシンプルを心がけています。今回は、はじめて絵も詩も自分のものを使った完全オリジナルな作品集でしたから、私としても特別な思いがありました。
製本方法や、判型、用紙など、本の仕様につて、選んだ理由をお聞かせください。
この本はNOBUYAに捧げる特別なもの、というコンセプトがあったので、高級感があるものにしたいと思ってハードカバー(上製本)にしました。ブックカバーも付けたのですが、過去にカバー付きの書籍を作ったことがなかったので、折角ならいままでとは違うタイプにしようと思い、カバーも付けることにしました。判型に関しては、正方形が私の好きな形だからです。作品も正方形や正円形が多いんですよ。用紙は、質感が感じられるマット紙が好きなので、表紙の紙に選びました。本文の用紙は実際に見ないで決めてしまったのですが、今度はもっときちんと選ぼうと思っています。やはり本は一度作ってみないと、イメージがつかみにくくて、わからない部分が多いですね。
▲∀KIKOさんのこだわりで選んだサイズや製本、ブックカバー
作品集ができ上がった時の感想はいかがでしたか。
NOBUYAが作ろうとしていたものが形になってとにかくうれしかったです。NOBUYAの体はもうここにはないけれど、彼の魂に捧げることができて大きな喜びとなりました。私たちは「アートによる世界平和」を望んでいました。今この世界にいる私は、その思いを形にしながら今回の人生を全うしていきたいと思います。
この作品集は300部作られましたが、どのように活用されているのでしょうか。
nociw galleryや個展会場などで販売しています。あとは、東京・青山の「ブッククラブ回」という書店で取り扱われています。
▲製作した詩画集の個展で朗読会を行う∀KIKOさん
作品集の反響はいかがでしょうか。
私とNOBUYAの関係性を知っている方々は、「本当におめでとう」「形になってよかったね!」と喜んでくれました。また、奄美出身の友人が島へ帰った際、そこで出会った方が「僕の人生を変えた本です!」と見せてくれたのがこの詩画集だったそうなんです。そんなうれしいエピソードを聞くたび、創作に励みが出ますね。
このカードブックの絵は、塗り絵としても人気があるんです。
自由に色を塗って世界で一冊の自分だけの作品集にするのも素敵だと思います。
この作品集のあとに、「タバネッタ!」を利用して2冊のカードブックを製作されていますね。
「タバネッタ!」を知った時の感想と、作品の内容についてお聞かせください。
「タバネッタ!」を知った時、私の作品がこのカードブックになるというイメージが湧いて、すぐに作ってみたいと思いました。絵は2冊ともシンプルな線画です。以前、絵を描きすぎて腱鞘炎になってしまい、しばらく絵が描けない時期がありました。そんな時、NOBUYAが「最初は手慣らしでシンプルなラインで描いたらいいよ」とアドバイスをくれて、かつて描いていたような線画を再び描き始めるようになったんです。私はとにかく描けることがうれしかったのですが、「SUPER PEACE★REAL」というテーマでARTGYPSY TOURをしていた時に、このカードブックのような線画のイメージがパーッと出てきたんです。でも、そのツアー中にNOBUYAが旅立ってしまい、そういうこともあってこの絵しかないとチョイスしました。
▲詩画集とカードブックの表紙
カードブックができた時の感想はいかがでしたか。
「やった!」という感じです。こんないいものを作っていただいて、「もう最高だ!」と思いました。今後、ワークショップのお話があったら、このカードのなかからお客さまに好きなものを選んでもらって、一緒に塗り絵をしてみたいと思っています。
カードブックの反響はいかがでしょうか。
▲自由に色を塗って楽しむこともできるポストカードブック
『E TO KOTODAMA』に入れた言葉はシンプルなので「言霊カードみたいだな」と思って作ったのですが、購入してくださった方は「オラクルカード」として使ったりもしているようです。あと、このカードブックの絵は、塗り絵としても人気があるんです。子どもも大人も自由に色を塗って世界で一冊の自分だけの作品集にするのも素敵だと思います。『SUPER PEACE★REAL』のほうも、色を塗ってお友だちに送ってくださる方もいれば、受け取った方が色を塗れるようにと、そのまま送る方もいらっしゃるようです。
次回作も予定されているとのことですが、次はどのような感じの作品になるのでしょうか。
友人の写真と私の詩で本を作ろうと思っています。屋久島にいる親友が遊びにきてくれた時に撮った写真があまりにも良かったので、私の詩と合わせてみたいなと思ったんです。ちょうどNOBUYAが旅立って5年が経ち、彼に捧げる作品集第2弾を作りたいと思っていたので、この写真との出会いがいいきっかけになりました。撮影場所は小富士という富士山を近くに感じられるとても素敵なところです。
昔からNOBUYAも我が家のオオカミ犬DONも大好きでよく行っていた思い出の場所です。DONも老犬になってきたので、愛するDONとの思い出も残しておきたいという気持ちもありました。写真とコラボするのははじめての試みです。絵と写真は全然違うので、どういう感じに仕上がるのか、それが見る人にどういう感覚を与えるのかがとても興味深いです。
最後に、「ガップリ!」のサービスをご利用になられた感想をお願いします。
DTPの知識は全くなかったのですが、お手伝いを頼んだ友人が「ガップリ!」さんを探して教えてくれました。いまとなっては、本当にいいところを見つけてくれたと思います。こんないい人たちとご縁ができて感謝しています!
いまもNOBUYAさんとの思い出を大切に創作活動に励まれている∀KIKOさん。
これからも「いのち」を感じる作品を作り続けてください。とても素敵なお話、ありがとうございました。
他のインタビューを見る
- 記念誌『士別市立多寄小学校開校120周年記念誌』
- 藤澤 信吾 様
- 作品集『SMILE GAKU IGARASHI初作品集』
- 株式会社六り 様
- ART BOOK『Someday, Somewhere, Someone』
- yui yoshimura 様・yoshitaka furukawa 様・tomoko ogawa 様
- 図版『大正、阿佐ケ谷、高円寺。影印版杉並町誌附町名鑑』
- 図版研レトロ図版博物館 様
- スケッチブックシアター『いちかわのかぞえうた。』
- 「いちかわ かぞえうた」プロジェクト 様
- 画集『熊倉 雅 画集』
- 熊倉 雅 様
- 写真集『創立60周年記念写真集』
- 全日本写真連盟浦和支部 様
- 絵本『すてきなおとどけもの』
- 絵・神田瑞季 様 文・かのりんか 様
- 写真集『existence』
- 松元康明 様
- 植田祥月作品集『風にふかれて』
- BEKKO BOOKS 様
- 作品集『OUYO』/『空中オルガン』他
- 堀田展造 様
- 写真集『366Happy’s』
- 株式会社スタジオ366 様
- 教本『ママとあかちゃんのための りとぷち』
- ムジカリーナ 松本由美子 様
- 写真集『DIAMANTAIN』
- 黒木式 様
- にゃーご こうえんへいく
- 株式会社blue dreamプランニング ずむずむ®絵本 真下直子 様
- My Friends
- 作/くりくり 様 絵/ふっかー 様
- ありしろ雑貨店&ILLUSTRATORSポストカードブック
- ありしろ雑貨店 様
- IGA☆GURIO CALENDER
- いが☆グリオ実行委員会 様
- パンダのひこまろカレンダー Life / パンダのひこまろ うちわ
- パンダのひこまろ 様
- MONSTER'S STORY BOOK
- TOMASON 様
- のりまき のりちゃん
- 絵本とおひるね舎 甲斐 絵里(エリック ウーリ)様
- 平田五郎
- りふdeおは梨 様
- うまれもった ひかり / アゴのはずれた くるみわりにんぎょう
- えのもと かずき 様
- のりまき のりちゃん
- 絵本とおひるね舎 甲斐 絵里(エリック ウーリ)様
- Kalligrafien壁掛けカレンダー
- 蘆野ゆり子 様
- 『モノクロリウム』
- 未早 様
- 魔女のレストラン
- 株式会社グラフィッコ 様
- WHAT'S THIS?
- SAKURA 様
- たのしみながら少しづつ
- 山下 泰 様
- 「カレンダー」「手帳」「カードブック」
- yojibee 様
- ここに生まれてきたんだよ
- 伊敷トゥートリサ 様
- やぎちゃんと秘密の線香
- 八木 宏幸 様
- Fantasy
- Yuri Alfrancaix 様
- ちびおるめのひと駅の大冒険
- 社会芸術ラボORINAS 佐原香織 様
- 『itonami』
- はたらきアリ出版(著者 浜野かもめ)様
- C4 DESIGN LABEL CALENDAR
- 株式会社シーフォーデザインレーベル 様
- 智代の絵手紙(食)(心)(花)
- 虹色工房 様
- 日めくりカレンダー
- 有限会社アーデルバッティングドーム 様
- GARO
- クニプ― 様
- EVER GREEN / だいじょうぶ
- Fleurbrahman Art 様
- てふ ひらり はたり
- Akiko.B.Mimura様/スゲノマロ 様
- いちにち
- 横瀬芽実依 様
- 育てるタオル 育てる暮らし
- 株式会社 英瑞 様
- イトウってなーんだ?
- 猿払イトウの会 様
- てんぷら!声を聞かせて
- 社会医療法人同仁会 耳原総合病院 様
- バリアフリー戦隊ダンサナクセイバー ~心のバリアフリー編~
- NPO法人自立生活センターSTEPえどがわ 様
- いったい どうなっているんだぃ?
- 群馬医療福祉大学 村山明彦様 山口智晴 様
- マジック用絵本
- RYU(大迫龍太) 様
- 夏休みの思い出
- 緒方悠輝也 様
- あまのいわと
- 岡山県神社庁 様
- だって、くまだもの~歯医者さんへいく~
- コンシェルクリニックグループ 様
- クロとシロ
- 横尾勇樹 様
- れいぞうこさんちのおおげんか
- 佐久間千恵子 様・山本夏子 様
- Andre’s Wonderful Adventure1・2・3
- 森 マリエ 様
- さばくと少年
- 阿賀嶺壮志 様
- 一人じゃない あなたもだれかのLINK
- なぁちゃ 様
- Happy Sora no Osanpo
- mu-ma 様
- うしのあし ひとのあし
- 国立大学法人東北大学・東北アジア研究センター 様
- うみのなかってどんなとこ?
- まなべやすこ 様
- たびするウミガメ~これからのウミはどんなウミ?~
- 井出美藍 様
- くるくるおじさん
- Sakuchi(BOTTO) 様
- ジャンのきいろいリュック
- 中根富美代 様
- Peace of Harmony and Love
- たきざわたかこ 様
- 私たちの伝えたい日本のマナー
- 品川女子学院 様
- アイリス あてまの森のニホンリス
- あてま森と水辺の教室ポポラ 様
ガップリ!で印刷・製本した作品をご紹介「ガップリ!ギャラリー」
「ガップリ!ギャラリー」では、ガップリ!で印刷・製本したお客さまの製作事例をご紹介しています。
ギャラリーでは、作品の写真だけではなく、仕様や特徴、お客さまインタビューなども掲載しています。検索機能もあり、「製本タイプ」「サイズ」「用途」「オプション加工」「業種」から絞り込んで、素早く見たい製作事例が探せます。
「ガップリ!ではどんなことができるのか過去の作品を確認したい」「本づくりのヒントが欲しい」という方には参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
シンプルな言葉の詩で描いた独特な精神的世界。
「いのち」を表現する画家の「∀KIKO」さんが、旅立ったパートナーに捧げるため、彼が遺したラフ構成を基に製作した詩画集です。複雑で精細な模様が描き込まれた絵に、シンプルで力強い詩が添えられ、読んでいると不思議な生命力が沸き上がります。∀KIKOさんは、ほかに「タバネッタ!」で2冊のカードブックを製作していますが、こちらはシンプルな線画がメインで、また違った一面が見られます。これらの作品を作った思いやきっかけなど、さまざまなお話をうかがいました。
すべての作品は「いのち」をテーマにしていて、
湧き上がってくるインスピレーションを絵と詩と音で表現しています。
∀KIKOさんは、いつもどんな活動をされているのですか。

▲インタビューのために来社してくださった∀KIKOさん
ふだんは絵と詩と音で「いのち」を表現する画家として活動しています。山梨県上野原市の小さなお山の頂上で、アトリエを兼ねた「nociw gallery(ノチューギャラリー)」をオープンしていて、ここには全国からお客さまが訪ねて来てくださいます。
また、いろいろな場所で展示会を開催して、「ARTGYPSY ARTSHOW」と称し作品映像の上映や自作の詩の朗読も行っています。そのほかの仕事としては、ミュージシャンのアルバムジャケットや、ロゴやラベルの制作、書籍の扉絵などの依頼を請け負うこともありますね。

▲nociw gallery(ノチューギャラリー)の写真
絵も、詩も作られていますが、一貫した創作のテーマというものはあるのでしょうか。
すべての作品は「いのち」をテーマにしていて、湧き上がってくるインスピレーションを絵と詩と音で表現しています。私の絵の特徴は、動物や植物、鉱物のなかに胎児を描いているところですが、これは、私たち人間はすべての自然界のなかで「生かされている」ということを表現しています。そのためか、私は意図していなかったのですが、作品を購入される方のなかには、出産祝いや人生の節目を迎える方へのプレゼントにされている方も多いようです。また、ご自身のものとして購入される方も、胎教に使ったり、絵を出産の場に持ちこんだり、生活のなかで絵を見ながら子育てしたりと、いのちと関わりのある使い方をしてくださっているようです。

▲原画「ふるさとの星」(左)、作品中の物語「種」(右)のいずれにも胎児が描かれている
どうして「いのち」をテーマにされているのでしょうか。
実は私は8歳から13歳までの5年間、病を患い病気の子どもたちが長期滞在する病院に入院していたんです。母が絵や詩を書いていた影響で、私も物心がついた時から絵や詩を創作していたのですが、そのお陰で入院中は、体はつらくても創作をすることで自分を癒すことができました。ですが、その病院には、おもに重病の子が入院していたので、亡くなっていく友だちもいました。そういう環境のなかで「いのち」というものにすごく不思議な感覚を持つようになり、その経験がいまの自分にも影響していると思います。
2017年故郷でのツアー中に突然NOBUYAが旅立ってしまったのです。
だからこの詩画集は彼に捧げました。
『∀KIKO pictures and poems』を作ろうと思ったきっかけは、どのようなことだったのでしょうか。
35年間、ずっと一緒にいた最愛のパートナーNOBUYAが旅立ったことです。彼とは幼稚園からの幼馴染で、中学卒業の時、「君には才能がある。僕は男と女としてだけじゃなく、人間対人間として君と付き合っていきたい」と告白され、高校卒業と同時に2人で上京しました。その後NOBUYAは絵で忙しくなった私をサポートするために美容師を辞め、それから2人で「ARTGYPSY」というユニットを立ち上げました。2010年から毎年、「ARTGYPSY TOUR」と称して日本全国をめぐり、DJでもあったNOBUYAの音と私の絵と詩で表現するツアーを行っていたのですが、2017年故郷でのツアー中に突然NOBUYAが旅立ってしまったのです。だからこの詩画集は彼に捧げました。彼は生前、ツアーに来てくださったお客さまの「ARTSHOWに出てくる絵や詩がセットになった本が欲しい」という声を形にしようとしていました。私が描いたたくさんの絵と詩をもとに、構成を組み立て、ラフを作ってくれていたんです。この詩画集は、その残してくれたラフに新たに三つの詩を加えて完成させました。彼への愛と感謝とファンの方への感謝の気持ちをこめています。

▲∀KIKOさんとNOBUYAさんのご親友
本を作るうえで、特にこだわった点はありますか。
いままでも何冊か本を出版していますが、いつも自分の世界観がきちんと伝わるものにしたいと思っているので構成にこだわっています。特に「いのち」という一番大切なテーマが分かるように、伝わりやすさ、見やすさ、理解しやすさに気を付けてシンプルを心がけています。今回は、はじめて絵も詩も自分のものを使った完全オリジナルな作品集でしたから、私としても特別な思いがありました。
製本方法や、判型、用紙など、本の仕様につて、選んだ理由をお聞かせください。
この本はNOBUYAに捧げる特別なもの、というコンセプトがあったので、高級感があるものにしたいと思ってハードカバー(上製本)にしました。ブックカバーも付けたのですが、過去にカバー付きの書籍を作ったことがなかったので、折角ならいままでとは違うタイプにしようと思い、カバーも付けることにしました。判型に関しては、正方形が私の好きな形だからです。作品も正方形や正円形が多いんですよ。用紙は、質感が感じられるマット紙が好きなので、表紙の紙に選びました。本文の用紙は実際に見ないで決めてしまったのですが、今度はもっときちんと選ぼうと思っています。やはり本は一度作ってみないと、イメージがつかみにくくて、わからない部分が多いですね。

▲∀KIKOさんのこだわりで選んだサイズや製本、ブックカバー
作品集ができ上がった時の感想はいかがでしたか。
NOBUYAが作ろうとしていたものが形になってとにかくうれしかったです。NOBUYAの体はもうここにはないけれど、彼の魂に捧げることができて大きな喜びとなりました。私たちは「アートによる世界平和」を望んでいました。今この世界にいる私は、その思いを形にしながら今回の人生を全うしていきたいと思います。
この作品集は300部作られましたが、どのように活用されているのでしょうか。
nociw galleryや個展会場などで販売しています。あとは、東京・青山の「ブッククラブ回」という書店で取り扱われています。

▲製作した詩画集の個展で朗読会を行う∀KIKOさん
作品集の反響はいかがでしょうか。
私とNOBUYAの関係性を知っている方々は、「本当におめでとう」「形になってよかったね!」と喜んでくれました。また、奄美出身の友人が島へ帰った際、そこで出会った方が「僕の人生を変えた本です!」と見せてくれたのがこの詩画集だったそうなんです。そんなうれしいエピソードを聞くたび、創作に励みが出ますね。
このカードブックの絵は、塗り絵としても人気があるんです。
自由に色を塗って世界で一冊の自分だけの作品集にするのも素敵だと思います。
この作品集のあとに、「タバネッタ!」を利用して2冊のカードブックを製作されていますね。
「タバネッタ!」を知った時の感想と、作品の内容についてお聞かせください。
「タバネッタ!」を知った時の感想と、作品の内容についてお聞かせください。
「タバネッタ!」を知った時、私の作品がこのカードブックになるというイメージが湧いて、すぐに作ってみたいと思いました。絵は2冊ともシンプルな線画です。以前、絵を描きすぎて腱鞘炎になってしまい、しばらく絵が描けない時期がありました。そんな時、NOBUYAが「最初は手慣らしでシンプルなラインで描いたらいいよ」とアドバイスをくれて、かつて描いていたような線画を再び描き始めるようになったんです。私はとにかく描けることがうれしかったのですが、「SUPER PEACE★REAL」というテーマでARTGYPSY TOURをしていた時に、このカードブックのような線画のイメージがパーッと出てきたんです。でも、そのツアー中にNOBUYAが旅立ってしまい、そういうこともあってこの絵しかないとチョイスしました。

▲詩画集とカードブックの表紙
カードブックができた時の感想はいかがでしたか。
「やった!」という感じです。こんないいものを作っていただいて、「もう最高だ!」と思いました。今後、ワークショップのお話があったら、このカードのなかからお客さまに好きなものを選んでもらって、一緒に塗り絵をしてみたいと思っています。
カードブックの反響はいかがでしょうか。

▲自由に色を塗って楽しむこともできるポストカードブック
『E TO KOTODAMA』に入れた言葉はシンプルなので「言霊カードみたいだな」と思って作ったのですが、購入してくださった方は「オラクルカード」として使ったりもしているようです。あと、このカードブックの絵は、塗り絵としても人気があるんです。子どもも大人も自由に色を塗って世界で一冊の自分だけの作品集にするのも素敵だと思います。『SUPER PEACE★REAL』のほうも、色を塗ってお友だちに送ってくださる方もいれば、受け取った方が色を塗れるようにと、そのまま送る方もいらっしゃるようです。
次回作も予定されているとのことですが、次はどのような感じの作品になるのでしょうか。
友人の写真と私の詩で本を作ろうと思っています。屋久島にいる親友が遊びにきてくれた時に撮った写真があまりにも良かったので、私の詩と合わせてみたいなと思ったんです。ちょうどNOBUYAが旅立って5年が経ち、彼に捧げる作品集第2弾を作りたいと思っていたので、この写真との出会いがいいきっかけになりました。撮影場所は小富士という富士山を近くに感じられるとても素敵なところです。
昔からNOBUYAも我が家のオオカミ犬DONも大好きでよく行っていた思い出の場所です。DONも老犬になってきたので、愛するDONとの思い出も残しておきたいという気持ちもありました。写真とコラボするのははじめての試みです。絵と写真は全然違うので、どういう感じに仕上がるのか、それが見る人にどういう感覚を与えるのかがとても興味深いです。
最後に、「ガップリ!」のサービスをご利用になられた感想をお願いします。
DTPの知識は全くなかったのですが、お手伝いを頼んだ友人が「ガップリ!」さんを探して教えてくれました。いまとなっては、本当にいいところを見つけてくれたと思います。こんないい人たちとご縁ができて感謝しています!

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これからも「いのち」を感じる作品を作り続けてください。とても素敵なお話、ありがとうございました。
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- アイリス あてまの森のニホンリス
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ガップリ!で印刷・製本した作品をご紹介「ガップリ!ギャラリー」
「ガップリ!ギャラリー」では、ガップリ!で印刷・製本したお客さまの製作事例をご紹介しています。
ギャラリーでは、作品の写真だけではなく、仕様や特徴、お客さまインタビューなども掲載しています。検索機能もあり、「製本タイプ」「サイズ」「用途」「オプション加工」「業種」から絞り込んで、素早く見たい製作事例が探せます。
「ガップリ!ではどんなことができるのか過去の作品を確認したい」「本づくりのヒントが欲しい」という方には参考になると思いますので、ぜひご覧ください。