オリジナル絵本 インタビュー
『バリアフリー戦隊ダンサナクセイバー ~心のバリアフリー編~』

/ 街の中にある「バリア」をなくすために、ヒーローが大活躍! /
楽しみながらバリアフリーを学べる絵本。
「NPO法人自立生活センターSTEPえどがわ」のスタッフが作り上げたローカルヒーロー「バリアフリー戦隊ダンサナクセイバー」が活躍する絵本です。悪と対決するヒーローというおなじみのストーリーを通じて、街のあちこちにある気づきにくい「バリア」を指摘し、どうすれば誰もが住みよい街になるかを教えてくれます。どうしてこの絵本を作ったのか、そして何を伝えようとしたのか、スタッフの井家上さんにお話をうかがいました。
インクルーシブな社会を作りたいという気持ちを抱いた子どもが増えていったら、そのそばにいる大人たちにもどんどん伝わっていくだろうと。
この絵本を作ろうと思ったきっかけはどんなことですか。
私どもの団体「自立生活センターSTEP(ステップ)えどがわ」は、障がいを持つ方が地域で暮らしていくためのサポートを行うとともに、「インクルーシブ(誰も仲間はずれにしないこと)」な、誰もが住みやすい社会を作るためにさまざまな活動をしています。その一つに、私たちが作った「バリアフリー戦隊ダンサナクセイバー」というローカルヒーローの演劇活動があります。これを通じてインクルーシブやバリアフリーの考え方を広めようと思い、長く続けてきました。その後、2017年に東京都が主催する「心のバリアフリー」動画コンテストが開催された時に、「ダンサナクセイバー」の動画を制作して応募したところ、奨励賞をいただきました。これをきっかけに、この動画のストーリーを基に絵本を作ろうということになったのです。もともと戦隊ヒーローものをはじめたのは、小さな子どもにもわかりやすく伝えたいという理由がありました。絵本も内容がわかりやすく、子どもたちにも見てもらいやすい媒体だろうということで、製作を決めました。
▲バリアフリー戦隊「ダンサナクセイバー」
小さなお子さんをターゲットに選んだ理由は何ですか。
小さな子どもが興味を持ってくれれば、自然と大人にも広がっていきます。インクルーシブな社会を作りたいという気持ちを抱いた子どもが増えていったら、そのそばにいる大人たちにもどんどん伝わっていくだろうというのが理由です。私どもが活動を通して伝えたい「障害者権利条約」や「障害者差別解消法」といったものは、子どもはもちろん、大人にとっても難しい内容です。これは簡単にいうと「誰も差別しない、誰も排除しない」という当たり前のことです。ただ、「差別ってどういうことなのか?」と深く考えていくと意外と難しくて、みなさんが無意識にやっていることや、よかれと思ってやっていることが差別になる場合もあります。そういった内容を子どもたちに向けてわかりやすく説明できればいいなと思っています。
「インクルーシブ」という考え方はどの程度広まっていますか。
例えばバリアフリーという言葉を聞けば、多くの方は段差を解消するようなことをイメージできると思います。一方、インクルーシブという言葉自体は古くからありますが、まだバリアフリーほどには広まっていません。インクルーシブの考え方の基になっているのは「社会モデル」という考え方です。以前は、障がいがある方はリハビリなどをして自ら困難を乗り越え、社会復帰しなくてはならないという考え方が一般的でした。ですが、「社会モデル」は、社会の側が障がい者を受け入れなければならず、もし受け入れられなければ、それは障がい者側の責任ではなく、社会の側に責任があるという考え方です。社会の側が障がい者を受け入れるためには、みなさんが受け入れる準備を行ったり、理解を深めたりすることが大事になっていきます。最近は、SDGsという言葉がよく聞かれるようになりました。その項目のいくつかには、「誰も排除しない」というインクルーシブな考え方と関連するものも含まれており、いよいよインクルーシブを広める環境が整ってきたと考えています。そんな状況の中で、この絵本を出せたことは非常に意味があると思います。
最初はお楽しみ会のちょっとした出し物からはじまったのですが、
まさか絵本まで作るようになるとは、と驚いています。
「STEPえどがわ」様では、主にどのような活動をされていますか。
中心となるのは障がいを持つ方の自立を支援する活動になります。例えば、長いあいだ施設で暮らしていた方が、自立して地域での一人暮らしをスタートしようとした時に、それまで一人暮らしの経験がなく、何からはじめていいかわからないということがあります。そういう場合、新生活のサポートをするために、ヘルパーの派遣や一人暮らしの相談などといった活動を行っています。また、その活動の一つとして、障がいを持つ方が地域に受け入れられやすくするために、地域住民に対する啓発活動にも力を入れています。
「ダンサナクセイバー」は、コンテスト映像を作る以前は、どのような活動をされていたのですか。
▲演劇で活躍する「ダンサナクセイバー」
最初はお楽しみ会のちょっとした出し物からはじまったのですが、やがて衣装を作って、地域のお祭りで演劇をするなどの活動を細々と続けていました。その後、少しずつ活動の幅が広がって、さまざまな場所へ呼ばれるようになり、ラジオなどにも出演するようになりました。そしてコンテストへの動画出品から、それをそのまま絵本にできたらいいねという流れで今回の絵本製作となりました。まさか絵本まで作るようになるとは、と驚いています。
絵本を作るにあたって、こだわった点や難しかった点はありますか。
障がいを持つ方々や、より多くの方に見てもらうためには、どのように作ればいいのかと悩みました。点字を入れたいとか、要望は多岐にわたっていたのですが、いろいろと調べた結果、やりたいことのすべてを盛り込むのは無理だとわかりました。いろいろ葛藤はありましたが、絵本という媒体では、あらゆる人にとって見やすいものにするのは難しいという結論に至ったのです。とはいえ、文字は見やすいゴシック体にしたり、弱視の方にとっては見えにくい配色があるので、色に気をつけたりするなど、できるかぎりのことはやろうとしました。
▲イラストの色合いや文章のフォントを工夫し、見やすさを重視
キャラクター作りや絵の制作はどういった方が担当したのですか。
演劇をしていた時と同じように、キャラクターやストーリーは、素人ながらみんなでアイデアや意見を出しあって制作しました。登場人物の中には車いすの博士がいますが、絵本ではベビーカーを押すお母さんも登場させて、障がいを持っている方だけではなく、さまざまな人が困っているということがわかるストーリーになっています。絵を担当したのも私どものスタッフで、絵の仕事を専門としている人ではありません。絵の得意な人がいたら描いてほしいとスタッフに声をかけて、お願いをしました。
▲様々なアイデアから生まれたキャラクターやストーリー
ハードカバーがついたものは予算的に作れないと思っていたのですが、
ここまでしっかりした質の絵本に仕上がって感動しました。
絵本が完成したときの感想をお聞きかせください。
絵本の印刷会社を選ぶ際に、最初はネットで調べて、いろいろな印刷会社をあたって検討しました。しかし、今回は予算や制作期間が最初から決まっていたため、質を落として部数を増やすか、質を上げて少部数で出すかしか選択肢がなく、悩んでいました。そんな時に「ガップリ!の絵本」さんのWebサイトを見つけたのです。サイトに載っていた絵本を見て、これだけの質のものが本当にこの金額でできるのか疑問だったのですが、サイトの説明を読んで納得し、絵本の印刷・製本を依頼しました。絵本の完成品をはじめて手に取った時は、最初に思っていたよりもきちんとしたものが、この予算でできたということに驚きました。ハードカバーがついたものは予算的に作れないと思っていたのですが、ここまでしっかりした質の絵本に仕上がって感動しました。制作に携わったスタッフのみんなも、理想どおりの絵本ができ上がったことに喜んでいたので、よかったと思います。
▲しっかりとした仕上がりが特徴のハードカバー表紙
絵本は今、どのように活用されていますか?
この絵本を製作するにあたって、東京都江戸川区の社会福祉協議会から助成金をいただいており、地域の図書館や小学校、お店に配布していく予定です。また、江戸川区の障害者福祉課に完成した絵本を持っていったところ、高い評価をいただきました。そして、非常にいいものができたということで、区の教育委員会にも薦めていただくなど、話が広がっていっています。
周りの方の絵本を読んだ感想はいかがですか。
▲子どもへの読み聞かせにも活用
読んでいただいた方にアンケートをお願いしたのですが、とてもよかったというような反応が多かったです。中でも小さな子どもを持つお母さんからは、こういう絵本を小さな時から読ませて、インクルーシブな考えが持てるような子に育ってほしいというようなご意見もいただきました。
今後、作ってみたいものは何かありますか。
すべての人に対応したものにするのが目標なので、普通の絵本だけではなく、さまざまな媒体に広げていこうとしています。例えば点字対応はもちろん、触って楽しめる絵本や、弱視の方にも見えやすいような色合いにするなど、いろいろなパターンのものを作り、あらゆる人が楽しめるものにチャレンジしていきたいと思っています。
「ガップリ!の絵本」を利用した感想や、印象に残ったことは何かありますか。
一番印象に残っていることは、データ入稿のあとにお電話をいただきまして、見開きのページに関して、「今のデータのままだと、この部分が見えにくくなったり、ここの絵の端が切れたりしてしまいます」とアドバイスしていただいたことです。こちらではわからない専門的なことでしたが、事前に修正できたので、とても助かりました。そのお陰で、製作後に後悔することがまったくありませんでした。また、印刷を行う前に、サンプルで仕上がりを確認できたことも安心しました。
ダンサナクセイバーの今後の活躍にも期待したいですね。お話、ありがとうございました。
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- なにがあっても
- 作/倉本ななこ様
画/谷口マリエ様
- おーい、仲間に入れてよ。
- 有限会社オフィスユキ 様
- あこちゃんとひみつのごはん
- 徳永陶磁器株式会社 様
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- 三瀬読み語りの会ホンホン(佐賀市) 大江登美子 様
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- tricolor(トリコロール) 様
- くじらの夫婦
- 小海町役場 様
- うずまきぐるぐる
- catable(きゃっとえいぶる) 様
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- MUGI BOOK PROJECT 様
- こねずみたちのサプライズ/粋な3人組
- 女子美術大学 保育美術研究会 代表 細矢智寛 様
- あこがれ世界の音楽室1 海底より
- 作/橘山まさお様
絵/sea-no様
- おもいはめぐる
- sakko様
- さると木
- 文/なかいずみ とうま様
絵/ハセガワ直子様
- うちのママってヘンなんだ
- あずきみるく様
- おはなしのもり
- 任意団体「デフシル-DEAF SHIRU-」様
- ひとつの森
- ハシケン様
- TASCぎふコラボ展vol.8 虹色の木の下で
- 作/丹賀澤賢様
絵/naomi様・金田典子様
- とのととどまる。~殿 ニューヨークへ行く~
- 作/とどまる様
絵/あきばたまみ様・かんのあき様
- かぞくです
- 作/鈴木まど佳様・弓﨑也美様・Jennifer Martin様
絵/AKITO HOSHINO様
- にゃーご こうえんへいく
- 株式会社blue dreamプランニング ずむずむ®絵本
真下直子様
- My Friends
- 作/くりくり様 絵/ふっかー様
- MONSTER'S STORY BOOK
- TOMASON様
- 平田五郎
- りふdeおは梨様
- うまれもった ひかり / アゴのはずれた くるみわりにんぎょう
- えのもと かずき様
- のりまき のりちゃん
- 絵本とおひるね舎 甲斐 絵里(エリック ウーリ)様
- 魔女のレストラン
- 株式会社グラフィッコ様
- WHAT'S THIS?
- SAKURA様
- たのしみながら少しづつ
- 山下 泰様
- ここに生まれてきたんだよ
- 伊敷トゥートリサ様
- やぎちゃんと秘密の線香
- 八木 宏幸様
- Fantasy
- Yuri Alfrancaix様
- ちびおるめのひと駅の大冒険
- 社会芸術ラボORINAS 佐原香織様
- EVER GREEN / だいじょうぶ
- Fleurbrahman Art様
- てふ ひらり はたり
- Akiko.B.Mimura様/スゲノマロ様
- いちにち
- 横瀬芽実依様
- 育てるタオル 育てる暮らし
- 株式会社 英瑞様
- イトウってなーんだ?
- 猿払イトウの会様
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- 社会医療法人同仁会 耳原総合病院様
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- 群馬医療福祉大学 村山明彦様 山口智晴様
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- 緒方悠輝也様
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- 中根富美代様
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- あてま森と水辺の教室ポポラ様
オリジナル絵本 無料サンプルセット プレゼント中!
ガップリ!の絵本では、はじめて絵本を作成する方でも安心してご注文いただけるよう、オリジナル絵本の無料サンプルセットをプレゼントしています!
楽しみながらバリアフリーを学べる絵本。
「NPO法人自立生活センターSTEPえどがわ」のスタッフが作り上げたローカルヒーロー「バリアフリー戦隊ダンサナクセイバー」が活躍する絵本です。悪と対決するヒーローというおなじみのストーリーを通じて、街のあちこちにある気づきにくい「バリア」を指摘し、どうすれば誰もが住みよい街になるかを教えてくれます。どうしてこの絵本を作ったのか、そして何を伝えようとしたのか、スタッフの井家上さんにお話をうかがいました。
インクルーシブな社会を作りたいという気持ちを抱いた子どもが増えていったら、そのそばにいる大人たちにもどんどん伝わっていくだろうと。
この絵本を作ろうと思ったきっかけはどんなことですか。
私どもの団体「自立生活センターSTEP(ステップ)えどがわ」は、障がいを持つ方が地域で暮らしていくためのサポートを行うとともに、「インクルーシブ(誰も仲間はずれにしないこと)」な、誰もが住みやすい社会を作るためにさまざまな活動をしています。その一つに、私たちが作った「バリアフリー戦隊ダンサナクセイバー」というローカルヒーローの演劇活動があります。これを通じてインクルーシブやバリアフリーの考え方を広めようと思い、長く続けてきました。その後、2017年に東京都が主催する「心のバリアフリー」動画コンテストが開催された時に、「ダンサナクセイバー」の動画を制作して応募したところ、奨励賞をいただきました。これをきっかけに、この動画のストーリーを基に絵本を作ろうということになったのです。もともと戦隊ヒーローものをはじめたのは、小さな子どもにもわかりやすく伝えたいという理由がありました。絵本も内容がわかりやすく、子どもたちにも見てもらいやすい媒体だろうということで、製作を決めました。

▲バリアフリー戦隊「ダンサナクセイバー」
小さなお子さんをターゲットに選んだ理由は何ですか。
小さな子どもが興味を持ってくれれば、自然と大人にも広がっていきます。インクルーシブな社会を作りたいという気持ちを抱いた子どもが増えていったら、そのそばにいる大人たちにもどんどん伝わっていくだろうというのが理由です。私どもが活動を通して伝えたい「障害者権利条約」や「障害者差別解消法」といったものは、子どもはもちろん、大人にとっても難しい内容です。これは簡単にいうと「誰も差別しない、誰も排除しない」という当たり前のことです。ただ、「差別ってどういうことなのか?」と深く考えていくと意外と難しくて、みなさんが無意識にやっていることや、よかれと思ってやっていることが差別になる場合もあります。そういった内容を子どもたちに向けてわかりやすく説明できればいいなと思っています。
「インクルーシブ」という考え方はどの程度広まっていますか。
例えばバリアフリーという言葉を聞けば、多くの方は段差を解消するようなことをイメージできると思います。一方、インクルーシブという言葉自体は古くからありますが、まだバリアフリーほどには広まっていません。インクルーシブの考え方の基になっているのは「社会モデル」という考え方です。以前は、障がいがある方はリハビリなどをして自ら困難を乗り越え、社会復帰しなくてはならないという考え方が一般的でした。ですが、「社会モデル」は、社会の側が障がい者を受け入れなければならず、もし受け入れられなければ、それは障がい者側の責任ではなく、社会の側に責任があるという考え方です。社会の側が障がい者を受け入れるためには、みなさんが受け入れる準備を行ったり、理解を深めたりすることが大事になっていきます。最近は、SDGsという言葉がよく聞かれるようになりました。その項目のいくつかには、「誰も排除しない」というインクルーシブな考え方と関連するものも含まれており、いよいよインクルーシブを広める環境が整ってきたと考えています。そんな状況の中で、この絵本を出せたことは非常に意味があると思います。

最初はお楽しみ会のちょっとした出し物からはじまったのですが、
まさか絵本まで作るようになるとは、と驚いています。
「STEPえどがわ」様では、主にどのような活動をされていますか。
中心となるのは障がいを持つ方の自立を支援する活動になります。例えば、長いあいだ施設で暮らしていた方が、自立して地域での一人暮らしをスタートしようとした時に、それまで一人暮らしの経験がなく、何からはじめていいかわからないということがあります。そういう場合、新生活のサポートをするために、ヘルパーの派遣や一人暮らしの相談などといった活動を行っています。また、その活動の一つとして、障がいを持つ方が地域に受け入れられやすくするために、地域住民に対する啓発活動にも力を入れています。
「ダンサナクセイバー」は、コンテスト映像を作る以前は、どのような活動をされていたのですか。

▲演劇で活躍する「ダンサナクセイバー」
最初はお楽しみ会のちょっとした出し物からはじまったのですが、やがて衣装を作って、地域のお祭りで演劇をするなどの活動を細々と続けていました。その後、少しずつ活動の幅が広がって、さまざまな場所へ呼ばれるようになり、ラジオなどにも出演するようになりました。そしてコンテストへの動画出品から、それをそのまま絵本にできたらいいねという流れで今回の絵本製作となりました。まさか絵本まで作るようになるとは、と驚いています。
絵本を作るにあたって、こだわった点や難しかった点はありますか。
障がいを持つ方々や、より多くの方に見てもらうためには、どのように作ればいいのかと悩みました。点字を入れたいとか、要望は多岐にわたっていたのですが、いろいろと調べた結果、やりたいことのすべてを盛り込むのは無理だとわかりました。いろいろ葛藤はありましたが、絵本という媒体では、あらゆる人にとって見やすいものにするのは難しいという結論に至ったのです。とはいえ、文字は見やすいゴシック体にしたり、弱視の方にとっては見えにくい配色があるので、色に気をつけたりするなど、できるかぎりのことはやろうとしました。

▲イラストの色合いや文章のフォントを工夫し、見やすさを重視
キャラクター作りや絵の制作はどういった方が担当したのですか。
演劇をしていた時と同じように、キャラクターやストーリーは、素人ながらみんなでアイデアや意見を出しあって制作しました。登場人物の中には車いすの博士がいますが、絵本ではベビーカーを押すお母さんも登場させて、障がいを持っている方だけではなく、さまざまな人が困っているということがわかるストーリーになっています。絵を担当したのも私どものスタッフで、絵の仕事を専門としている人ではありません。絵の得意な人がいたら描いてほしいとスタッフに声をかけて、お願いをしました。

▲様々なアイデアから生まれたキャラクターやストーリー
ハードカバーがついたものは予算的に作れないと思っていたのですが、
ここまでしっかりした質の絵本に仕上がって感動しました。
絵本が完成したときの感想をお聞きかせください。
絵本の印刷会社を選ぶ際に、最初はネットで調べて、いろいろな印刷会社をあたって検討しました。しかし、今回は予算や制作期間が最初から決まっていたため、質を落として部数を増やすか、質を上げて少部数で出すかしか選択肢がなく、悩んでいました。そんな時に「ガップリ!の絵本」さんのWebサイトを見つけたのです。サイトに載っていた絵本を見て、これだけの質のものが本当にこの金額でできるのか疑問だったのですが、サイトの説明を読んで納得し、絵本の印刷・製本を依頼しました。絵本の完成品をはじめて手に取った時は、最初に思っていたよりもきちんとしたものが、この予算でできたということに驚きました。ハードカバーがついたものは予算的に作れないと思っていたのですが、ここまでしっかりした質の絵本に仕上がって感動しました。制作に携わったスタッフのみんなも、理想どおりの絵本ができ上がったことに喜んでいたので、よかったと思います。
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▲子どもへの読み聞かせにも活用
読んでいただいた方にアンケートをお願いしたのですが、とてもよかったというような反応が多かったです。中でも小さな子どもを持つお母さんからは、こういう絵本を小さな時から読ませて、インクルーシブな考えが持てるような子に育ってほしいというようなご意見もいただきました。
今後、作ってみたいものは何かありますか。
すべての人に対応したものにするのが目標なので、普通の絵本だけではなく、さまざまな媒体に広げていこうとしています。例えば点字対応はもちろん、触って楽しめる絵本や、弱視の方にも見えやすいような色合いにするなど、いろいろなパターンのものを作り、あらゆる人が楽しめるものにチャレンジしていきたいと思っています。
「ガップリ!の絵本」を利用した感想や、印象に残ったことは何かありますか。
一番印象に残っていることは、データ入稿のあとにお電話をいただきまして、見開きのページに関して、「今のデータのままだと、この部分が見えにくくなったり、ここの絵の端が切れたりしてしまいます」とアドバイスしていただいたことです。こちらではわからない専門的なことでしたが、事前に修正できたので、とても助かりました。そのお陰で、製作後に後悔することがまったくありませんでした。また、印刷を行う前に、サンプルで仕上がりを確認できたことも安心しました。
ダンサナクセイバーの今後の活躍にも期待したいですね。お話、ありがとうございました。
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