インタビュー 『とうきび畑からのおくりもの 丘の妖精たち 嵯城幸子とうきび人形作品集』|オンデマンド印刷・製本印刷なら【ガップリ!】

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オンデマンド印刷・製本印刷なら【ガップリ!】 > 製作者インタビュー > インタビュー 『とうきび畑からのおくりもの 丘の妖精たち 嵯城幸子とうきび人形作品集』

インタビュー 
『とうきび畑からのおくりもの 丘の妖精たち 嵯城幸子とうきび人形作品集』

『とうきび畑からのおくりもの 丘の妖精たち 嵯城幸子とうきび人形作品集』

/ 美瑛町のお土産づくりから始まった、とうきび人形。 /
丘の風景に溶け込む妖精たちの息づかいを一冊に。

北海道・美瑛町の豊かな自然の中で、トウモロコシの皮から生まれる「とうきび人形」。その素朴で愛らしい姿を収めた作品集『丘の妖精たち』が完成しました。1998年に出版した第一作目の作品集から時を経て、「もう一度、自分の作品をきちんと一冊の本として残したい」という著者の嵯城幸子さんの想いをどう形にするか。今回、はじめての本格的な本づくりに挑んだ編集担当の竹内さんに、作品集制作の舞台裏を詳しくうかがいました。

思い出からまれた「美瑛らしいお土産
とうきび人形物語

今回、とうきび人形の作品集を制作されましたが、まずは著者の嵯城さんと、とうきび人形について教えていただけますか?

嵯城さんが制作した実際のとうきび人形たち

▲嵯城さんが制作した実際のとうきび人形たち

嵯城さんは、もともと美瑛町で酪農を営まれていた方です。子どもの頃、身近にあったトウモロコシの皮でおばあさんが簡単な人形を作ってくれた、そんな思い出がずっと心に残っていたそうです。
それから月日が経ち、1980年代になると、写真家・前田真三さんの作品によって、美瑛の丘の風景が全国的に注目されるようになります。今でこそ多くの観光客が訪れる美瑛ですが、当時はまだ、これといった名産品もありませんでした。
そこで、「美瑛らしいお土産を」と考えた嵯城さんが、幼い頃の記憶を辿り、みなさんに喜んでもらえる品として完成させたのが、とうきび人形の始まりです。

とうきび人形に囲まれながら制作に勤しむ嵯城さん

▲とうきび人形に囲まれながら制作に勤しむ嵯城さん

1998年以来、改めて作品集を作ろうと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

嵯城さんご本人が「自分の作品を、もう一度本にまとめたい」という気持ちを抱かれたことがきっかけです。
1998年に最初の作品集を出した後も人形づくりは続けておられましたが、日々の忙しさもあり、しばらく個展などは開催されていませんでした。それがコロナ禍になり、世の中が不安に包まれる中で「作品を見てほっこりしてほしい」と町内で個展を開催されたんです。その際、「やはり自分の作品を、本という形にして残したい」という想いが改めて強まったとうかがっています。

2021年に開催した個展の作品と嵯城さん(左)、個展入口のポスター(右)

▲2021年に開催した個展の作品と嵯城さん(左)、個展入口のポスター(右)

竹内さんが編集担当として携わることになった経緯を教えてください。

嵯城さんには、仕事や大学の課題で取材をさせていただくなど、以前からお世話になっていました。私がローカル誌の編集やホームページ制作に携わってきたことをご存じで、「彼女なら本も作れるのでは」と思い、依頼してくださったそうです。
ただ、Webや誌面の編集と、一冊の本を編む作業は、似ているようでいて実は勝手が違う部分が多くあります。私自身、本を丸ごと一冊手がけるのは、はじめての経験でしたが、幸い、周囲に出版や編集に精通している方々がいたおかげで、完成までの流れはイメージできていました。
そこで、「ぜひ、一緒にやりましょう」とお引き受けし、自分も勉強しながらのスタートとなりました。

アットホームチームる、
美瑛四季妖精たち

作品集を作るにあたって、テーマやコンセプトなどは最初に設定されていたのですか?

明確なコンセプトをあらかじめ決めていたわけではありませんが、嵯城さんの中には「今ある作品をすべて載せたい」という想いがあったようです。
ただ、さすがにすべてを一冊に収めるのは難しいため、最終的には「美瑛の四季」を感じられる構成を軸に据え、その中から特にお気に入りの作品をセレクトしていくというかたちをとりました。

制作はどのように進められたのでしょうか?

基本的な流れとしては、まず嵯城さんがお人形を作り、それを写真家の守谷さんがお預かりして撮影します。写真が仕上がったところで、嵯城さんの娘さんが文章を添えるという順序ですね。
お人形は、楽器やお花を持たせたりグループにしたりと、嵯城さんがある程度のイメージを持って制作されます。撮影を担当された守谷さんは、その作品から受けたインスピレーションを大切に、ご自身の感性を重ねながら、美瑛の自然の中でポーズを工夫したり場所を変えたりと、試行錯誤しながらシャッターを切ってくださいました。
そうして写真と文章が揃ったところで、最後に私が全体の構成やレイアウトを手がけ、一冊の形にまとめていきました。

作品集の写真撮影を担当した守谷さん

▲作品集の写真撮影を担当した守谷さん

制作メンバーは、とてもアットホームな顔ぶれですね。

文章を担当された嵯城さんの娘さんは、特に書くお仕事をされているわけではないのですが、1作目から本当に素敵な言葉を寄せてくださっています。
お人形の衣装を染色されている妹さんは、手仕事や料理、パンづくりなども得意とされている、とても器用な方です。その腕を見込まれて、制作に加わっていただいたそうです。
そして写真の守谷さんは、地元で三代続く写真館を営みながら、個展も精力的に開かれている写真家さん。マタニティやファミリーフォトなども幅広く手がけていらっしゃいますが、何より女性を美しく撮ることに定評のある方ですね。

前作『丘の妖精たち あのね おかあさん』と比べると、今回はどのような点に違いがあるのでしょうか?

前作『丘の妖精たち あのね おかあさん』

▲前作『丘の妖精たち あのね おかあさん』

前回の制作には私は携わっていなかったのですが、当時も文章は娘さん、写真は守谷さんが担当されていました。その中からいくつかの作品を、今回の作品集にも収録しています。以前はコンパクトなソフトカバーでしたが、今回は判型や製本方法を変え、また違ったかたちで作品の魅力を伝えられるようにしました。
実は、ガップリ!さんに最初に見積もりをお願いしてから、制作が1年ほど延びてしまったんです。ただ、その間も嵯城さんはお人形を作り続けていらしたので、新しい写真が増えていき、結果としてページ数も当初の予定より多くなりました。時間をかけて制作したことで、新旧さまざまな時期の作品が響き合い、より充実した一冊になったと思います。

「ガップリ!」実現した理想
変形サイズこだわり仕様

ガップリ!を選んでいただいた理由はどのようなことでしょうか?

まず、規格サイズに縛られず、自分たちが作りたい形を自由に選べることが大きな決め手になりました。嵯城さんのご希望をうかがった際、すでに具体的なサイズのイメージをお持ちでしたので、実際にお手本とされた本から寸法を測り、今回の判型を決定しました。そうした経緯もあり、変形サイズに対応いただける点は非常に重要でした。
また、Webサイトの制作事例が充実していたのも、「ここなら安心してお任せできそうだ」と判断した理由のひとつです。

用紙や細かい仕様についても、入念に検討されたそうですね。

表紙には、柔らかさの中にも凛とした表情がある「OKフェザーワルツ 若草」を選びました。この作品集は赤や青というイメージではなく、もっと穏やかなトーンが似合うと感じていたんです。優しい黄色とも迷ったのですが、最終的にはこの甘すぎない緑がベストな選択だと考えました。
また、花布(はなぎれ)の色についても、自宅にあるハードカバーの本を何冊も見比べながら、何色が映えて、何色がなじむのかをじっくり検討しました。それまでは意識したこともなかった部分ですが、考え抜いた結果、最終的に「白」を採用することに決めました。

ブックカバーの下の表紙には、柔らかい色合いのセレクト用紙をチョイス

▲ブックカバーの下の表紙には、柔らかい色合いのセレクト用紙をチョイス

ハードカバー製本や糸かがり綴じへのこだわりは、当初からあったのでしょうか?

製本方法については当初決めていませんでしたが、ページ数が増えていく中で、やはりハードカバーがしっくりくると感じるようになりました。ガップリ!さんの制作事例を拝見したことも、大きな後押しになりましたね。
綴じ方についても、これだけの厚みが出るなら少し予算は上がっても丈夫な「糸かがり綴じ」にして、長く愛されるものを作ろうと考えました。私の方で仕様を調べて提案し、嵯城さんと相談しながら進めていきました。
また、汚れを防ぐためにブックカバーも付けたのですが、せっかくならカバーと本体のデザインを変えようと考えました。実は、カバーを外した本体の表紙にだけ、嵯城さんの直筆文字を入れているんです。もしかしたら、手に取った方は中が違うデザインになっていることに、まだ気づいていないかもしれませんね。

104ページとボリュームがありますが、デザインやレイアウトで苦労された点はありますか?

レイアウトは私が担当しました。「えいやっ」と思い切って配置していきましたが、単調にならないよう、写真を大きくはみ出させたり見開きで見せたりと、リズムを作るためのアクセントには気を配りました。
ただ、技術的な作業以上に苦労したのは、はじめての経験だったため、仕上がりが予想できなかったことです。「見開きページの中央に配置した写真は、実物でもきれいに繋がって見えるのか」「ズレを防ぐための調整がどの程度必要なのか」といった加減がわからず、実は「納品前サンプル」が届くまでは本当にドキドキしていました。

ったふんわりみ、んでもらえる一冊に。

作品集が完成した時の、ご自身や制作メンバーの感想はいかがでしたか?

嵯城さんはもちろん、制作メンバーのみなさんが完成を喜んでくださいました。私自身は、お預かりした予算も含め責任の重さを感じていたので、まずは「無事に形になって良かった」という安堵の方が大きかったですね。
「納品前サンプル」もいただきましたが、その時点ではまだ表紙と本文が別々の状態でした。それでも、お見せした嵯城さんの妹さんから「これはいいね」「完成を楽しみにしている」と言っていただき、少しホッとしたのを覚えています。

完成した作品集と嵯城さん

▲完成した作品集と嵯城さん

完成した作品集は、どのように活用されていらっしゃいますか?

関係者の方々にお配りするほか、町内にある守谷さんの写真館や、嵯城さんが主宰されている「アトリエぽぷり」での販売も始めています。また、地元の教育委員会や図書館にもお届けしたので、これからより多くの方に手に取っていただける機会が増えていくと思います。さらに新しい試みとして、先日、自費出版のコンテストにも応募しました。この一冊が、ここからまた新しいかたちで広がっていくことを、私自身も楽しみにしています。

完成後、周囲からはどのような反響がありましたか?

お世話になった方々にお配りしたり、写真館などで販売したりしていますが、「本当に良いものができたね」という声をたくさんいただいています。なかでも、入院中の方がこの本を手に取って「心が和んだ」と喜んでくださったというお話を聞いた時は、うれしかったですね。また、嵯城さんの知人で作家の湯本香樹実さんからもお褒めの言葉をいただいたそうで、嵯城さんも大変喜んでいらっしゃいました。

この本が、手に取った方にとってどのような存在になってほしいですか?

「癒し」という言葉はあまり好きではないのですが、手に取った方の気持ちが「ふんわり」と和んで、喜んでもらえる一冊になればうれしいですね。
よく見ていただくとわかるのですが、このお人形たちには、あえて目が描かれていないんです。「見る人のその時々の心境で、自由に表情を感じてほしい」という嵯城さんの思いが、美瑛の美しい景色とともに、読者へ伝わればいいなと思っています。

最後に、ガップリ!のサービスを利用した感想をお聞かせください。

写真の印刷といえばCMYKというイメージがあり、Web媒体で使うRGBデータとは扱いが違うことは知っていましたが、具体的にどう変換すればいいのか分からず不安だったんです。それをお電話で相談した際に、「RGBデータのままで大丈夫ですよ」と言っていただけた時は、本当に助かりました。自分で変換して変な色になってしまったら……という心配をせず制作を進められたのは、何よりありがたかったですね。

美瑛の四季の美しさと妖精たちのかわいらしさはもちろん、
嵯城さんを支える方々の温かな想いも、竹内さんのお話の端々から伝わってくるようでした。
素敵なお話をありがとうございました。

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