オリジナル絵本インタビュー
『EVER GREEN』/『だいじょうぶ』

Fleurbrahman Art様製作のオリジナル絵本『EVER GREEN』/『だいじょうぶ』

/ モノクロだけどカラフル、完成形だけど未完成。 /
読者と作者で作り上げる塗り絵用絵本です。

普段から、花と動物をモチーフにアート活動をするFleurbrahman Artさん。モノクロの作品では伝えきれない部分を「塗り絵の本」で表現しようと、クラウドファンディングを活用して、これまで2冊の絵本を製作されました。「人と人との心の距離を近づけるきっかけを作りたい」と語るFleurbrahman Artさんのアートコンセプトや今後のプロジェクトをお伺いしました。

大切な人と一緒に僕の絵に色を塗ることで、素敵な思い出を作ってほしい。
日ごろ伝えられない気持ちや、夢に向かう人を
応援するような思いを込めました。

1作目の『EVER GREEN』を作ったきっかけや目的を教えてください。

僕は、画家・アーティストとして活動していて、モノクロで絵を描いています。でも、絵だけだと意図や内容が思うように伝わらないことがあって…。それで「絵本という形なら作品の意図も伝わりやすいし、自分の表現にしっくりくるのかな？」と思い、絵本を作ることにしたんです。それで「ガップリ！の絵本」さんの用紙見本帳を取り寄せたのですが、「アラモード」という紙が、塗り絵用の絵本としてぴったりだと感じたところもあり、これで絵本を作ってみようと思いました。

▲塗り絵用の紙としても使いやすい本文用紙アラモード

塗り絵にしようと思った理由は？

僕とお客さんで一緒に塗り絵の本を“完成”させたかったんです。つまり僕が描いたペン画に、お客さんが色を付ける“共同作業”です。それで、大切な人と一緒に僕の絵に色を塗ることが、大切な人へ愛を伝えるきっかけとなり、素敵な思い出になれば…と思ったんです。実際きれいに塗ってくれる方もいますし、お子さんにプレゼントしたら、その子の塗り絵が上手だったという話を聞いて、お客さんと作品を作るっていいな、って思いました。もちろん「このままでいい」という方もいらっしゃいます。ぬり絵をしなくても飾って楽しめるようなクオリティに仕上げました。

2作目の『だいじょうぶ』は1作目よりページが増えてサイズも大きくなりましたね。

『だいじょうぶ』は『EVER GREEN』と違って、ちゃんと起承転結が含まれたストーリー仕立ての作品にしたかったので、自然とページ数が増えました。大きさは『だいじょうぶ』の細かな絵が潰れないように、30ｃｍ四方の原画に近い21ｃｍ角の大きさにしました。ちなみにこのサイズにした理由は、3の倍数が縁起がいいと聞いたことがあるからです(笑)。

▲細かい絵をしっかり印刷できるよう、原画に近い変形サイズに

『EVER GREEN』と『だいじょうぶ』のテーマは何ですか？

『EVER GREEN』は「日ごろ伝えられない感謝や愛情を伝えよう」というテーマで作りました。どちらの作品もクラウドファンディングを活用して製作したのですが、たまたま『EVER GREEN』の販売を開始する2月はヴァレンタインがあり、やはり想いを伝えるイベントなので、それに合わせて「チョコレートもいいけど、絵本で気持ちを伝えるのもありじゃない？」っていう感じで。『だいじょうぶ』のテーマは「応援歌みたいな絵本」です。僕はサラリーマンの経験があるので、それを踏まえて「あと一歩を踏み出せば、夢のスタート地点に立てるから大丈夫だよ！」と背中を押したかったんです。

アート活動をはじめた時から、岡本太郎さんへのリスペクトを込めて花を描いています。
いつか、僕の作品が誰かに感動を与えられたらいいな、と思ったんです。

2作品に共通する「花」と「動物」には理由がありますか？

▲絵の随所に散りばめられた花

花を描いているのには理由があります。大好きな芸術家・岡本太郎さんの自叙伝の中に、徴兵の訓練で、泥だらけで這いつくばった先に見えた花のキレイさに感動した、というようなエピソードがあるんです。そのエピソードに感動しちゃって…。いつか、僕の作品が誰かに感動を与えられたらいいなと思い、それ以来、岡本さんへのリスペクトを込めて花を描いています。そういう思いを大切にしています。動物に関しては、見たこともない動物を絵にしたくて、以前から体に花をちりばめた動物を描いています。みんな動物が好きだと思うし、心に響きやすいかなって。絵本の中では「僕の作品たちが実際動いたり、活動したりするとこうなるよ」ということを表現したくて、街や動物にも花を溢れさせました。それと、『だいじょうぶ』の主人公“カエル”と“アヒル”は、インスタグラムのフォロワーさんたちからの人気投票で決まりました。

背景もヨーロッパっぽいですね。グリム童話に出てきそう。

そう、まさに舞台はドイツなんです。実は一緒に頑張っているアーティストがドイツで活動しているんですが、その人の話では「日本とドイツって精神的な部分で通じるものがあるんじゃないか」って。それで「生活スタイルも似ているところがあるし、もしかしたら日本人の心に響くものがあるのかもしれないな」と思って背景にドイツの街並みを採用しました。

▲『EVER GREEN』に描かれたドイツの街並み

絵本を作るにあたってこだわった点はありますか？

構図です。特に『だいじょうぶ』カエルとアヒルの見せ方にこだわりました。実は絵本って平面で退屈な構図になりがちなんです。動画や映画のように立体的な構図を違和感なく絵にする、っていうのがポイントでした。

▲キャラクターと背景の立体感を意識した絵の構図

はじめて絵本を手にした時は、映画を観て心を動かされた時みたいな気持ちになりました！
今年は海外にも出展するので、空気感を体感してインスピレーションをもらいたいです。

「ガップリ！の絵本」を選ばれた理由をお聞かせください。

インターフェースがよくて、サイトに力を入れている感じだったし、料金が良心的だったからです。絵本を作るのははじめてで、色々な会社のサイトと見比べたのですが、ここは見やすかったし、作り方もフィーリングでできそうだったので、作りやすさもポイントでした。

絵本が完成した時のお気持ちはいかがでしたか？

本当に感激しました！　『EVER GREEN』は特に。サンプルをいただいて「こういう風に絵本になっていくんだ～」って思っていたのですが、絵本が実際に手元に来た時は、映画を観て心を動かされた時みたいな気持ちになって、人生で5本の指に入るくらい感動しました。『だいじょうぶ』は2作目で、すでに安心感があったので「今度は僕がこの絵本を発信していくんだ」というモチベーションになりました。

絵本の活用方法や、絵本を手にされた方からの反応をお伺いできますか？

ネット販売のほか、アートイベントや個展で展示・販売もしています。「大切にします！」と言って絵本を買ってくださる方がいらっしゃったり「こんな絵本見たことない」って画力や絵の細かさを褒められたりします。あと、ストーリーや温かいメッセージに「素敵です」と喜んでいただけることも多くてありがたいです。

今後のご予定は？

以前から、生涯で4部作構成の絵本を作ると決めていて、既に構想は頭の中にあるんです。1作目は「想いを伝える」、2作目は「背中を押す」がテーマだったので、3作目はラブストーリーで「チンチラくんと花ネズミさんの恋物語」にしようかなって。ヴァレンタインに合わせて、いまゴリゴリの恋の話を描いている最中です。あと、今年は海外の企画展にも出展する機会があり、10月にはフランスで2か所展示できそうです。その時には、その場の空気感を体感して、インスピレーションをもらいたいです。