オリジナル絵本 インタビュー
『ぼくのおかあさんはおつきさまにいる-ひとりじゃないよ-』

/ ファンタジックなストーリーのなかに描かれた、 /
交通事故で親を失った子どもたちへの支援活動。
この絵本を制作した「あいの会」様は、交通犯罪で家族を奪われた遺族たちが結成した団体です。講演活動や交通犯罪被害者支援など、さまざまな活動を行っており、この絵本も遺族となった子どもたちに向けて制作されました。物語にはかわいい動物のキャラクターなどが登場し、ファンタジックな世界観で描かれていますが、そのなかには、「グリーフケア」の具体的な活動内容も織り込まれています。この絵本の制作に携わった日本パッケージデザイン株式会社の小野一左さんにお話をうかがいました。
子どもたちの心に寄り添い、伝えたい思いを形にする方法として、
絵本という手段を選ばれたのだと思います。
まず、「あいの会(一般社団法人 関東交通犯罪遺族の会)」代表を務める小沢さんが、絵本を作ろうと思ったきっかけや目的はどのようなことだったのでしょうか?
▲「あいの会」代表理事の小沢樹里さん
やはり、子どもたちに読んでもらいたいという思いがあったのだと思います。親を交通事故で亡くした子どもたちの気持ちは、社会や家庭の中でも意外と見過ごされがちです。その心に寄り添い、伝えたい思いを形にする方法として、絵本という手段を選ばれたのだと思います。
▲「あいの会」様のホームページ
絵本のストーリーは、どのようにして作られたのですか?
▲絵本のラフ案
「あいの会」代表理事の小沢さんは、いろいろとインスピレーションが降りてくるタイプの方なんです。絵本の制作にあたっては、子どもの視点を大切にしながら、グリーフケア※やキャラクター、絵本の特性をどのように活かすか、さまざまな想いを巡らせていたそうです。そして、ある日突然、構想が浮かび、一気に書き上げたと聞いています。その原稿は走り書きのような状態でしたが、絵本化の過程で表記や表現を丁寧に整え、完成に至りました。
※大切な人を亡くして深く悲しんでいる人に寄り添い、サポートを行うこと。
小野さんは、どのような経緯で絵本制作に携わることになったのですか?
▲小沢さんが法務省矯正局研修で講演する様子
私は「あいの会」の会員ではありませんが、ご縁があり、活動のお手伝いをしています。具体的には、ホームページの制作や、交通遺族の手記をまとめた冊子の作成、活動の歴史を記録する冊子の制作などに携わってきました。そのため、小沢さんが絵本を作ろうと思ったとき、自然な流れで最初に私に声をかけてくださったのだと思います。最初は「何か来たな」という感覚でしたが、話を聞くうちに意義のあるプロジェクトだと感じました。正直、難しそうだとも思いましたが、それをネガティブに捉えることなく、どう形にしていくかを考えました。
そこから約1年間、月1回のミーティングを重ねながら制作を進めました。たとえば、「次回までにこの見開きページを考えよう」といったように、少しずつ作り上げていきました。対面で打ち合わせをすることもありましたが、ちょうどコロナ禍が始まったこともあり、オンラインミーティングも取り入れながら進めました。
今回の絵本で、小野さんは構成を担当されていますが、具体的にはどのような作業をされたのでしょうか?
今回はプロデューサー的な立場で参加し、絵本全体の構成や、本を世に出すまでのプロセスを、私の会社のスタッフと一緒に進めました。具体的には、小沢さんが書かれた原作をもとにページ割りを考えたり、それに合わせて文章を書き改めたりしました。また、絵本の装丁も自分で手を動かして仕上げています。
絵本に登場するキャラクターは、どのようにして生まれたのですか?
▲作中に登場する「あいの会」公式キャラクター
絵本に登場する動物のキャラクターは、「あいの会」の公式キャラクターで、絵本を作る前から存在していました。基本デザインは私が手がけましたが、最終的な仕上げは、キャラクターデザインとして絵本に名前が掲載されている皆月みなみさんにお願いしました。
このキャラクターを使い、作画を担当してくださったのは、私の仕事の取引先に勤めていた椀谷さんです。私が「やってみない?」と声をかけてお願いしました。私自身が作画を担当する選択肢もありましたが、絵のタッチや自分の仕事とのバランスを考え、椀谷さんにおまかせすることにしました。
「ハードカバーの絵本がいい」という強いこだわりが決め手となり、
ハードカバーで作ることになりました。
絵本の制作をスタートしてから、完成するまで何年ぐらいかかったのですか?
▲この絵本は、赤い羽根福祉基金 特別プログラム「被害者やその家族等への支援活動助成」事業の助成金により作成されました。
制作のスタートは2020年か、2021年のはじめ頃だったと思います。2020年に私が「あいの会」の方と知り合い、その年の7月頃にホームページが完成しました。その半年後くらいに絵本制作の話が持ち上がり、2020年末頃から本格的にスタートしました。完成までには約4年かかり、2024年に至っています。実は2022年頃には制作自体はほぼ完成していたのですが、印刷費用の調達に時間がかかりました。資金面で助成金などを検討し、ようやくめどが立ってから印刷に進むことができました。
絵本を作る際に、「ガップリ!の絵本」を選んでいただいた理由は何だったのですか?
ハードカバーの絵本を少部数で印刷してくれるところがほとんどなかったのが、一番の理由ですね。それに、4、5年ほど前に別の案件で第一資料印刷さんに相談したことがあるんです。その経験があったので、今回も安心してお願いできました。
ハードカバーで絵本を作りたいと思った理由は何だったのでしょうか?
実はそこが最後まで決まらなくて、「冊子でもいいのでは?」という話も出ていました。料金面で冊子のほうが安くできることから、議論が白熱したんです。でも最終的には、小沢さんの「ハードカバーの絵本がいい」という強いこだわりが決め手となり、ハードカバーで作ることになりました。
総ページ数が40ページというのは、絵本としてはやや多めかと思いますが、その理由をお聞かせいただけますか?
もともとは、1ページの上半分に絵、下半分に文章を配置する予定で、現在の半分弱のページ数を想定していました。しかし、最終的なページ構成を決める段階で、絵と文章を左右の2ページに分けてレイアウトすることにしたため、ページ数が一気に増えました。情報量が多い内容だったこともあり、この構成の方が見やすく、読みやすいと判断しました。
▲初期のページ構成案
絵本のサイズを一辺182ミリの正方形にしたのは、どのような理由ですか?
絵本のサイズは、ほかの絵本を参考にして決めました。小沢さんに、「絵本はどれくらいの大きさにしますか?」とたずねたところ、小沢さんが自身のお気に入りの絵本、いぬいさえこさんの『きみのことがだいすき』を例に挙げられたので、サイズは少し異なりますが、その本を参考にしました。あまり大きすぎても扱いづらいし、最終的にはこのサイズがちょうどよかったと思います。
制作過程でとくに苦労されたことや大変だった点はありますか?
私自身は、本編の文章を絵に合わせて再構成する作業に苦労しました。言葉づかいに細心の注意を払う必要がありましたし、文章がやや説明的だったため、読んでもらえるようにいかにシンプルにまとめるかが大きな課題でした。
絵に関しては、椀谷さんから次のようなコメントをいただきました。
「交通事故で親を失った子どもたちのグリーフケアが絵本のテーマだったため、できるだけ心が癒される絵を描きたいと考えました。現実のテーマを扱いながらも重くなりすぎず、心に寄り添える絵を表現することが難しかったです。とくに、ラフ案でいただいた「雲の上にいるような」ファンタジーの世界を、グリーフケアというリアルなテーマに違和感なく組み込むことに苦労しました。色合いやキャラクター、小物のデザインにもこだわり、世界観に合うように細かく調整を重ねました。」
▲シンプルな文章とウサギのかわいいキャラクターでレイアウトされた本文中のページ
印刷の仕上がりには非常に満足しています。
色の再現も素晴らしく、誰からも不満の声はありませんでした。
完成した絵本を手にしたときの率直な感想をお聞かせください。また、絵の繊細な表現も美しく再現する超高精細デジタル印刷を採用していますが、仕上がりの印象はいかがでしたか?
▲絵本表紙のクリアPP加工
やはり感無量でした。「ついに、完成した!」という思いでいっぱいでした。中でも、小沢さんが一番喜んでいたと思います。
印刷の仕上がりには非常に満足しています。色の再現も素晴らしく、誰からも不満の声はありませんでした。ただ、これはこちら側の問題なのですが、表紙の色をもう少し明るくしたいと思い、PP加工をマットからクリアへ変更しました。マットでは色がより沈んで見える可能性があったためです。仕上がりを見て「変更して正解だった」と実感し、柔軟に対応していただけたことにも感謝しています。
この絵本は、どのように活用されていますか? また、実際に読んだ方からはどのような感想が寄せられていますか?
東京都豊島区に1,000冊寄贈しました。区立の幼稚園や小中学校に配布される予定です。子どもたちの感想はまだ届いていませんが、寄贈後に豊島区から感謝状をいただいた際、絵本を読んだ区の関係者の方々から感想をいただきました。「子どもがこんなことを考えているなんて気づかなかった」という声や、「子どもだけでなく親にもぜひ読んでほしい」という意見が寄せられ、それを聞いてとてもうれしく感じました。
▲豊島区から感謝状を授与された際の様子(左)と、交通犯罪遺族の方からの温かい応援を受ける様子(右)
最後に、「ガップリ!の絵本」サービスをご利用いただいた感想をお聞かせください。
担当者の方が細かくサポートしてくださり、とても助かりました。はじめてのハードカバー絵本の制作だったので、わからないこともあったのですが、丁寧に説明していただき安心して進められました。「こうしたい」という要望に対しても、的確なアドバイスをいただき、進行スケジュールもきちんとフォローしてくれました。納品時の輸送に関しても、御社が豊島区に近いことから「こういうトラックで届きます」とか、「ダンボールが何十箱もありますが大丈夫ですか?」といった細かな情報を事前に共有していただき、スムーズに対応できました。
大切な人を亡くして悲しみを感じる気持ちは、大人も子どもも同じです。
この絵本を通じて、悲しみをうまく表現できない子どもの気持ちを理解し、思いやることの大切さや、
「グリーフケア」の重要性が広く認識されることを願っています。お話をありがとうございました。
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- MUGI BOOK PROJECT 様
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- 女子美術大学 保育美術研究会 代表 細矢智寛 様
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- 作/橘山まさお様
絵/sea-no様
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- 文/なかいずみ とうま様
絵/ハセガワ直子様
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- あずきみるく様
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絵/あきばたまみ様・かんのあき様
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オリジナル絵本 無料サンプルセット プレゼント中!
ガップリ!の絵本では、はじめて絵本を作成する方でも安心してご注文いただけるよう、オリジナル絵本の無料サンプルセットをプレゼントしています!
交通事故で親を失った子どもたちへの支援活動。
この絵本を制作した「あいの会」様は、交通犯罪で家族を奪われた遺族たちが結成した団体です。講演活動や交通犯罪被害者支援など、さまざまな活動を行っており、この絵本も遺族となった子どもたちに向けて制作されました。物語にはかわいい動物のキャラクターなどが登場し、ファンタジックな世界観で描かれていますが、そのなかには、「グリーフケア」の具体的な活動内容も織り込まれています。この絵本の制作に携わった日本パッケージデザイン株式会社の小野一左さんにお話をうかがいました。
子どもたちの心に寄り添い、伝えたい思いを形にする方法として、
絵本という手段を選ばれたのだと思います。
まず、「あいの会(一般社団法人 関東交通犯罪遺族の会)」代表を務める小沢さんが、絵本を作ろうと思ったきっかけや目的はどのようなことだったのでしょうか?
▲「あいの会」代表理事の小沢樹里さん
やはり、子どもたちに読んでもらいたいという思いがあったのだと思います。親を交通事故で亡くした子どもたちの気持ちは、社会や家庭の中でも意外と見過ごされがちです。その心に寄り添い、伝えたい思いを形にする方法として、絵本という手段を選ばれたのだと思います。

▲「あいの会」様のホームページ
絵本のストーリーは、どのようにして作られたのですか?
▲絵本のラフ案
「あいの会」代表理事の小沢さんは、いろいろとインスピレーションが降りてくるタイプの方なんです。絵本の制作にあたっては、子どもの視点を大切にしながら、グリーフケア※やキャラクター、絵本の特性をどのように活かすか、さまざまな想いを巡らせていたそうです。そして、ある日突然、構想が浮かび、一気に書き上げたと聞いています。その原稿は走り書きのような状態でしたが、絵本化の過程で表記や表現を丁寧に整え、完成に至りました。
※大切な人を亡くして深く悲しんでいる人に寄り添い、サポートを行うこと。
小野さんは、どのような経緯で絵本制作に携わることになったのですか?
▲小沢さんが法務省矯正局研修で講演する様子
私は「あいの会」の会員ではありませんが、ご縁があり、活動のお手伝いをしています。具体的には、ホームページの制作や、交通遺族の手記をまとめた冊子の作成、活動の歴史を記録する冊子の制作などに携わってきました。そのため、小沢さんが絵本を作ろうと思ったとき、自然な流れで最初に私に声をかけてくださったのだと思います。最初は「何か来たな」という感覚でしたが、話を聞くうちに意義のあるプロジェクトだと感じました。正直、難しそうだとも思いましたが、それをネガティブに捉えることなく、どう形にしていくかを考えました。
そこから約1年間、月1回のミーティングを重ねながら制作を進めました。たとえば、「次回までにこの見開きページを考えよう」といったように、少しずつ作り上げていきました。対面で打ち合わせをすることもありましたが、ちょうどコロナ禍が始まったこともあり、オンラインミーティングも取り入れながら進めました。
今回の絵本で、小野さんは構成を担当されていますが、具体的にはどのような作業をされたのでしょうか?
今回はプロデューサー的な立場で参加し、絵本全体の構成や、本を世に出すまでのプロセスを、私の会社のスタッフと一緒に進めました。具体的には、小沢さんが書かれた原作をもとにページ割りを考えたり、それに合わせて文章を書き改めたりしました。また、絵本の装丁も自分で手を動かして仕上げています。
絵本に登場するキャラクターは、どのようにして生まれたのですか?
▲作中に登場する「あいの会」公式キャラクター
絵本に登場する動物のキャラクターは、「あいの会」の公式キャラクターで、絵本を作る前から存在していました。基本デザインは私が手がけましたが、最終的な仕上げは、キャラクターデザインとして絵本に名前が掲載されている皆月みなみさんにお願いしました。
このキャラクターを使い、作画を担当してくださったのは、私の仕事の取引先に勤めていた椀谷さんです。私が「やってみない?」と声をかけてお願いしました。私自身が作画を担当する選択肢もありましたが、絵のタッチや自分の仕事とのバランスを考え、椀谷さんにおまかせすることにしました。
「ハードカバーの絵本がいい」という強いこだわりが決め手となり、
ハードカバーで作ることになりました。
絵本の制作をスタートしてから、完成するまで何年ぐらいかかったのですか?
▲この絵本は、赤い羽根福祉基金 特別プログラム「被害者やその家族等への支援活動助成」事業の助成金により作成されました。
制作のスタートは2020年か、2021年のはじめ頃だったと思います。2020年に私が「あいの会」の方と知り合い、その年の7月頃にホームページが完成しました。その半年後くらいに絵本制作の話が持ち上がり、2020年末頃から本格的にスタートしました。完成までには約4年かかり、2024年に至っています。実は2022年頃には制作自体はほぼ完成していたのですが、印刷費用の調達に時間がかかりました。資金面で助成金などを検討し、ようやくめどが立ってから印刷に進むことができました。
絵本を作る際に、「ガップリ!の絵本」を選んでいただいた理由は何だったのですか?
ハードカバーの絵本を少部数で印刷してくれるところがほとんどなかったのが、一番の理由ですね。それに、4、5年ほど前に別の案件で第一資料印刷さんに相談したことがあるんです。その経験があったので、今回も安心してお願いできました。
ハードカバーで絵本を作りたいと思った理由は何だったのでしょうか?
実はそこが最後まで決まらなくて、「冊子でもいいのでは?」という話も出ていました。料金面で冊子のほうが安くできることから、議論が白熱したんです。でも最終的には、小沢さんの「ハードカバーの絵本がいい」という強いこだわりが決め手となり、ハードカバーで作ることになりました。
総ページ数が40ページというのは、絵本としてはやや多めかと思いますが、その理由をお聞かせいただけますか?
もともとは、1ページの上半分に絵、下半分に文章を配置する予定で、現在の半分弱のページ数を想定していました。しかし、最終的なページ構成を決める段階で、絵と文章を左右の2ページに分けてレイアウトすることにしたため、ページ数が一気に増えました。情報量が多い内容だったこともあり、この構成の方が見やすく、読みやすいと判断しました。

▲初期のページ構成案
絵本のサイズを一辺182ミリの正方形にしたのは、どのような理由ですか?
絵本のサイズは、ほかの絵本を参考にして決めました。小沢さんに、「絵本はどれくらいの大きさにしますか?」とたずねたところ、小沢さんが自身のお気に入りの絵本、いぬいさえこさんの『きみのことがだいすき』を例に挙げられたので、サイズは少し異なりますが、その本を参考にしました。あまり大きすぎても扱いづらいし、最終的にはこのサイズがちょうどよかったと思います。
制作過程でとくに苦労されたことや大変だった点はありますか?
私自身は、本編の文章を絵に合わせて再構成する作業に苦労しました。言葉づかいに細心の注意を払う必要がありましたし、文章がやや説明的だったため、読んでもらえるようにいかにシンプルにまとめるかが大きな課題でした。
絵に関しては、椀谷さんから次のようなコメントをいただきました。
「交通事故で親を失った子どもたちのグリーフケアが絵本のテーマだったため、できるだけ心が癒される絵を描きたいと考えました。現実のテーマを扱いながらも重くなりすぎず、心に寄り添える絵を表現することが難しかったです。とくに、ラフ案でいただいた「雲の上にいるような」ファンタジーの世界を、グリーフケアというリアルなテーマに違和感なく組み込むことに苦労しました。色合いやキャラクター、小物のデザインにもこだわり、世界観に合うように細かく調整を重ねました。」

▲シンプルな文章とウサギのかわいいキャラクターでレイアウトされた本文中のページ
印刷の仕上がりには非常に満足しています。
色の再現も素晴らしく、誰からも不満の声はありませんでした。
完成した絵本を手にしたときの率直な感想をお聞かせください。また、絵の繊細な表現も美しく再現する超高精細デジタル印刷を採用していますが、仕上がりの印象はいかがでしたか?
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やはり感無量でした。「ついに、完成した!」という思いでいっぱいでした。中でも、小沢さんが一番喜んでいたと思います。
印刷の仕上がりには非常に満足しています。色の再現も素晴らしく、誰からも不満の声はありませんでした。ただ、これはこちら側の問題なのですが、表紙の色をもう少し明るくしたいと思い、PP加工をマットからクリアへ変更しました。マットでは色がより沈んで見える可能性があったためです。仕上がりを見て「変更して正解だった」と実感し、柔軟に対応していただけたことにも感謝しています。
この絵本は、どのように活用されていますか? また、実際に読んだ方からはどのような感想が寄せられていますか?
東京都豊島区に1,000冊寄贈しました。区立の幼稚園や小中学校に配布される予定です。子どもたちの感想はまだ届いていませんが、寄贈後に豊島区から感謝状をいただいた際、絵本を読んだ区の関係者の方々から感想をいただきました。「子どもがこんなことを考えているなんて気づかなかった」という声や、「子どもだけでなく親にもぜひ読んでほしい」という意見が寄せられ、それを聞いてとてもうれしく感じました。

▲豊島区から感謝状を授与された際の様子(左)と、交通犯罪遺族の方からの温かい応援を受ける様子(右)
最後に、「ガップリ!の絵本」サービスをご利用いただいた感想をお聞かせください。
担当者の方が細かくサポートしてくださり、とても助かりました。はじめてのハードカバー絵本の制作だったので、わからないこともあったのですが、丁寧に説明していただき安心して進められました。「こうしたい」という要望に対しても、的確なアドバイスをいただき、進行スケジュールもきちんとフォローしてくれました。納品時の輸送に関しても、御社が豊島区に近いことから「こういうトラックで届きます」とか、「ダンボールが何十箱もありますが大丈夫ですか?」といった細かな情報を事前に共有していただき、スムーズに対応できました。
大切な人を亡くして悲しみを感じる気持ちは、大人も子どもも同じです。
この絵本を通じて、悲しみをうまく表現できない子どもの気持ちを理解し、思いやることの大切さや、
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