オリジナル絵本 インタビュー
『くじらの夫婦』
/ 「小海」をめざして川をさかのぼるくじらの夫婦を描き、 /
山と海との深いつながりを伝える絵本。
川へ向かおうとするくじらの家族に対し、おじいちゃん、おばあちゃんのくじらが、若いころ「小海」をめざして川をのぼった話をするストーリーで、山と海は川をとおしてつながっていて、山の恵みが海へ運ばれていることを学べます。アニメーションとして制作された作品を、長野県小海町が改めて絵本として制作し、長く語り継いでほしいという思いから、お子さんのいる家庭などに配布しました。小海町役場のご担当者さまに絵本の制作秘話をうかがいました。
簡単に捨てられないもので、
子どもが手に取りやすいものは何だろうと考えたときに、
絵本というのはかなり優良かなと思いました。
「小海」という地名はこの絵本のなかにも出てきますが、小海町(こうみまち)とはどのような町なのでしょうか。
小海町は長野県東部に位置し、隣に八ヶ岳を抱えた山あいの町になります。人口は5000人に満たない小さな町で、高原野菜などの農業がさかんです。静かで過ごしやすく、とてもいい町ですので、ぜひお越しいただければと思います。
どのようなきっかけがあって、小海町でこの絵本を作ることになったのですか。
小海町に古くから伝わる『くじらの夫婦』という民話が、令和3年度に日本財団が実施している「海ノ民話のまちプロジェクト」で「海ノ民話」に認定され、「日本昔ばなし協会」にアニメーションを作っていただいたのがきっかけです。
「海ノ民話のまちプロジェクト」ですか? それはどのようなプロジェクトなのでしょうか。
海ノ民話のまちプロジェクトとは、日本中の海にまつわる民話や伝承を発掘し、アニメーションなどで「海とのつながり」と「地域の誇り」を次世代に語り継ぐプロジェクトです。私たちはこのプロジェクトの思いに共感し、まず、作っていただいたアニメーションの視聴会を、小海町の小学生に向けて行いました。そして翌令和4年度になって、町でこのアニメーションの素材を二次活用して何か作れないかという話になり、絵本を作ることが決まったのです。
アニメーションの二次活用に、どうして絵本がいいと思われたのでしょうか。
アニメーションの絵の活用というと、お菓子や食べ物のパッケージに載せるのが一般的だと思います。しかし、今回は子どもたちに語り継いでいくためのプロジェクトですから、簡単に捨てられないもので、子どもが手に取りやすいものは何だろうと考えたときに、絵本というのはかなり優良かなと思いました。
絵本に載せる絵として、アニメーションの「何分何秒の部分」と
指示を出して、切り抜いてもらいました。
この『くじらの夫婦』は、もともと小海町の皆さんには知られているお話だったのですか。
知っている方もいると思いますが、実際、若い年代では知らない方が多いようです。私も小海町出身者ではないので、「海ノ民話」に認定されてから初めて知りました。
「海ノ民話」に認定されたことで、小海町での認知度も広まったのではないでしょうか。
そうですね。アニメーションは小海町役場の入り口のところで上映していましたし、YouTubeなどでも見ることができますからね。
そのアニメーションから絵本を作るという作業は、どのようなものだったのでしょうか。
まずは絵本に載せる絵として、アニメーションの「何分何秒の部分」と指示を出して、切り抜いてもらいました。その画像をWordに貼りつけて、ナレーションを基に書いた文章を画像の下に入れます。そうしてできたデータをPDF化して「ガップリ!の絵本」さんに送り、印刷と製本をしてもらうという流れです。画像はなるべく絵で話がイメージできる場所を意識して選んだのですが、動いているアニメーションでポイントを探すのは難しかったですね。また、読みやすい文字数や文字の大きさを決めるのにも苦労しました。データ制作は自分ひとりで通常業務の合間にやったこともあって、なかなか大変な作業でした。
文章は漢字が多く使われ、フリガナが振られています。どうしてこのような形式にされたのでしょうか。
読者の対象年齢を幅広く想定しており、下は赤ちゃんくらいの子どもに、親御さんが読み聞かせをすることをイメージしていました。そのため、文章がすべてひらがなだと、かえって読みにくく、また、子どもが「この漢字はどういう意味なの?」と親に尋ねるようなコミュニケーションがあるかもしれないということで、あえて漢字をしっかり使って、フリガナを振る形式にしました。
今回、絵本の印刷・製本に「ガップリ!の絵本」を選んでいただいた理由は何だったのでしょうか。
いちばんの決め手はハードカバー製本ですね。この絵本は絶対にハードカバーで作ると決めていたのですが、最初にあたった数社からは、ページ数が少ないためにハードカバーにできないという回答がありました。それで困ってインターネットで検索したところ、たどり着いたのが「ガップリ!の絵本」さんでした。絵本は子どもが手に取るものなので、保存性の高いハードカバーは譲れないところで、そのこだわりに応えていただいたのが「ガップリ!の絵本」さんだったということです。
超高精細デジタル印刷で刷った本番は、
アニメーションの映像の色味と比べても
遜色ないほどで、でき上がった完成品にも満足しています。
絵本を作るときにこだわった点は、ハードカバー以外にもありますか。
色味はきれいに表現したいと思いました。本文用紙に関しては手でめくるものなので、どちらかというと見た目の美しさよりも、頑丈さを重視しました。そのため、紙はできるだけ厚いほうがいいと思っていましたね。
今回は、超高精細デジタル印刷で刷りました。お色味はいかがでしたでしょうか。
オンデマンド印刷の印刷サンプルでも十分きれいだったのですが、超高精細デジタル印刷で刷った本番は、それよりはるかにきれいで、よりクリアに仕上がっていたので、「すごい!」と思いました。アニメーションの映像の色味と比べても遜色ないほどで、でき上がった完成品にも満足しています。
絵本はA4サイズで作られましたが、この大きさにしたのには何か理由がありますか。
最初はA5サイズで考えていたのですが、ほかの大きなサイズの本と一緒に並べると埋もれてしまうという意見が役場内からあがりました。それで、A4サイズなら本棚に立てても目立つし、ずっと持っていてもらえるかなと思い、このサイズにしました。読み聞かせをするのにも、このぐらいの大きさのほうが読みやすいので、これでよかったかなと思います。
絵本が完成したときの感想はいかがでしたか? また、完成した絵本は、どのように活用していらっしゃいますか。
私は単純にうれしかったです。いろいろやってきた仕事が形になってよかったと思いました。完成した絵本については、まず小さいお子さんがいるご家庭にお届けしたいと考えており、今年(2023年)の4月に小海小学校の全生徒を対象に、1世帯1冊ずつ配布しました。あとは希望される親御さんにお譲りしたり、児童館や保健センターなど、町の子どもが来るような施設に置いたりしています。そのほか大人向けとして、小海町の観光案内所に「欲しい方はどうぞ」と書いて置いてあります。これは営利目的ではなく、町の魅力発信を目的としているので、無料でプレゼントしています。かなり反響があり、ハードカバーでちゃんとした作りの本なので、「本当に持っていってもいいんですか?」と尋ねる方もいたそうです。
絵本を読んだ方からは、どのようなお声が届いていらっしゃいますか。
ハードカバーのためか、本がとても立派だねという意見をいただきました。絵のクオリティについても、おほめの言葉をいただいております。
最後に、「ガップリ!の絵本」をご利用いただいた感想はいかがでしたか。
印刷がきれいに出ていて、クオリティがとても高いと思いました。また、先ほども申しましたが、ハードカバー製本を何社か断られ、困っていたところを「ガップリ!の絵本」さんに引き受けていただき、本当に助かりました。ページ数が少ない問題も、いろいろとご尽力くださり、何とか製本していただけたので大変ありがたかったです。
山あいの町に、海にまつわる民話があるというのがいいですね。
アニメーションから飛び出したハードカバーの絵本は、
小海町の子どもたちにずっと読み継がれていくのではないでしょうか。
お話、ありがとうございました。
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山と海との深いつながりを伝える絵本。
川へ向かおうとするくじらの家族に対し、おじいちゃん、おばあちゃんのくじらが、若いころ「小海」をめざして川をのぼった話をするストーリーで、山と海は川をとおしてつながっていて、山の恵みが海へ運ばれていることを学べます。アニメーションとして制作された作品を、長野県小海町が改めて絵本として制作し、長く語り継いでほしいという思いから、お子さんのいる家庭などに配布しました。小海町役場のご担当者さまに絵本の制作秘話をうかがいました。
簡単に捨てられないもので、
子どもが手に取りやすいものは何だろうと考えたときに、
絵本というのはかなり優良かなと思いました。
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小海町は長野県東部に位置し、隣に八ヶ岳を抱えた山あいの町になります。人口は5000人に満たない小さな町で、高原野菜などの農業がさかんです。静かで過ごしやすく、とてもいい町ですので、ぜひお越しいただければと思います。
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小海町に古くから伝わる『くじらの夫婦』という民話が、令和3年度に日本財団が実施している「海ノ民話のまちプロジェクト」で「海ノ民話」に認定され、「日本昔ばなし協会」にアニメーションを作っていただいたのがきっかけです。
「海ノ民話のまちプロジェクト」ですか? それはどのようなプロジェクトなのでしょうか。
海ノ民話のまちプロジェクトとは、日本中の海にまつわる民話や伝承を発掘し、アニメーションなどで「海とのつながり」と「地域の誇り」を次世代に語り継ぐプロジェクトです。私たちはこのプロジェクトの思いに共感し、まず、作っていただいたアニメーションの視聴会を、小海町の小学生に向けて行いました。そして翌令和4年度になって、町でこのアニメーションの素材を二次活用して何か作れないかという話になり、絵本を作ることが決まったのです。
アニメーションの二次活用に、どうして絵本がいいと思われたのでしょうか。
アニメーションの絵の活用というと、お菓子や食べ物のパッケージに載せるのが一般的だと思います。しかし、今回は子どもたちに語り継いでいくためのプロジェクトですから、簡単に捨てられないもので、子どもが手に取りやすいものは何だろうと考えたときに、絵本というのはかなり優良かなと思いました。
絵本に載せる絵として、アニメーションの「何分何秒の部分」と
指示を出して、切り抜いてもらいました。
この『くじらの夫婦』は、もともと小海町の皆さんには知られているお話だったのですか。
知っている方もいると思いますが、実際、若い年代では知らない方が多いようです。私も小海町出身者ではないので、「海ノ民話」に認定されてから初めて知りました。
「海ノ民話」に認定されたことで、小海町での認知度も広まったのではないでしょうか。
そうですね。アニメーションは小海町役場の入り口のところで上映していましたし、YouTubeなどでも見ることができますからね。
そのアニメーションから絵本を作るという作業は、どのようなものだったのでしょうか。
まずは絵本に載せる絵として、アニメーションの「何分何秒の部分」と指示を出して、切り抜いてもらいました。その画像をWordに貼りつけて、ナレーションを基に書いた文章を画像の下に入れます。そうしてできたデータをPDF化して「ガップリ!の絵本」さんに送り、印刷と製本をしてもらうという流れです。画像はなるべく絵で話がイメージできる場所を意識して選んだのですが、動いているアニメーションでポイントを探すのは難しかったですね。また、読みやすい文字数や文字の大きさを決めるのにも苦労しました。データ制作は自分ひとりで通常業務の合間にやったこともあって、なかなか大変な作業でした。
文章は漢字が多く使われ、フリガナが振られています。どうしてこのような形式にされたのでしょうか。
読者の対象年齢を幅広く想定しており、下は赤ちゃんくらいの子どもに、親御さんが読み聞かせをすることをイメージしていました。そのため、文章がすべてひらがなだと、かえって読みにくく、また、子どもが「この漢字はどういう意味なの?」と親に尋ねるようなコミュニケーションがあるかもしれないということで、あえて漢字をしっかり使って、フリガナを振る形式にしました。
今回、絵本の印刷・製本に「ガップリ!の絵本」を選んでいただいた理由は何だったのでしょうか。
いちばんの決め手はハードカバー製本ですね。この絵本は絶対にハードカバーで作ると決めていたのですが、最初にあたった数社からは、ページ数が少ないためにハードカバーにできないという回答がありました。それで困ってインターネットで検索したところ、たどり着いたのが「ガップリ!の絵本」さんでした。絵本は子どもが手に取るものなので、保存性の高いハードカバーは譲れないところで、そのこだわりに応えていただいたのが「ガップリ!の絵本」さんだったということです。
超高精細デジタル印刷で刷った本番は、
アニメーションの映像の色味と比べても
遜色ないほどで、でき上がった完成品にも満足しています。
絵本を作るときにこだわった点は、ハードカバー以外にもありますか。
色味はきれいに表現したいと思いました。本文用紙に関しては手でめくるものなので、どちらかというと見た目の美しさよりも、頑丈さを重視しました。そのため、紙はできるだけ厚いほうがいいと思っていましたね。
今回は、超高精細デジタル印刷で刷りました。お色味はいかがでしたでしょうか。
オンデマンド印刷の印刷サンプルでも十分きれいだったのですが、超高精細デジタル印刷で刷った本番は、それよりはるかにきれいで、よりクリアに仕上がっていたので、「すごい!」と思いました。アニメーションの映像の色味と比べても遜色ないほどで、でき上がった完成品にも満足しています。
絵本はA4サイズで作られましたが、この大きさにしたのには何か理由がありますか。
最初はA5サイズで考えていたのですが、ほかの大きなサイズの本と一緒に並べると埋もれてしまうという意見が役場内からあがりました。それで、A4サイズなら本棚に立てても目立つし、ずっと持っていてもらえるかなと思い、このサイズにしました。読み聞かせをするのにも、このぐらいの大きさのほうが読みやすいので、これでよかったかなと思います。
絵本が完成したときの感想はいかがでしたか? また、完成した絵本は、どのように活用していらっしゃいますか。
私は単純にうれしかったです。いろいろやってきた仕事が形になってよかったと思いました。完成した絵本については、まず小さいお子さんがいるご家庭にお届けしたいと考えており、今年(2023年)の4月に小海小学校の全生徒を対象に、1世帯1冊ずつ配布しました。あとは希望される親御さんにお譲りしたり、児童館や保健センターなど、町の子どもが来るような施設に置いたりしています。そのほか大人向けとして、小海町の観光案内所に「欲しい方はどうぞ」と書いて置いてあります。これは営利目的ではなく、町の魅力発信を目的としているので、無料でプレゼントしています。かなり反響があり、ハードカバーでちゃんとした作りの本なので、「本当に持っていってもいいんですか?」と尋ねる方もいたそうです。
絵本を読んだ方からは、どのようなお声が届いていらっしゃいますか。
ハードカバーのためか、本がとても立派だねという意見をいただきました。絵のクオリティについても、おほめの言葉をいただいております。
最後に、「ガップリ!の絵本」をご利用いただいた感想はいかがでしたか。
印刷がきれいに出ていて、クオリティがとても高いと思いました。また、先ほども申しましたが、ハードカバー製本を何社か断られ、困っていたところを「ガップリ!の絵本」さんに引き受けていただき、本当に助かりました。ページ数が少ない問題も、いろいろとご尽力くださり、何とか製本していただけたので大変ありがたかったです。
山あいの町に、海にまつわる民話があるというのがいいですね。
アニメーションから飛び出したハードカバーの絵本は、
小海町の子どもたちにずっと読み継がれていくのではないでしょうか。
お話、ありがとうございました。
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