オリジナル絵本 インタビュー
『うまれもった ひかり』 / 『アゴのはずれた くるみわりにんぎょう』
/ 柔らかいタッチの絵と、 /
ちょっと不思議で優しいストーリーが魅力の2作の絵本。
絵本作家の「えのもと かずき」さんが制作したのは、ランタンをめぐる子どもとおじいさんの話『うまれもった ひかり』と、なぜかアゴが外れてクルミを割れなくなったくるみ割り人形が主人公の『アゴのはずれた くるみわりにんぎょう』の2作品。保育の仕事の関係で、子どもの好みもよく知っているため、いずれも大人も子どもも楽しめる作品となっています。えのもとさんの絵本づくりについて語っていただきました。
ぼくには「作品にメッセージを込めたい」という想いがあって、
締め切りが続く漫画では、自分にはそれができないと思ったんです。
えのもとさんは、ふだんはどのような活動をされていらっしゃるのですか。
基本は絵本を作っていて、喫茶店などに絵本を置かせてもらったりしています。また、幼稚園の保育のアルバイトをしているので、その時に自分で作った絵本などを子どもに読み聞かせしています。
絵本はいつごろから描き始めたのでしょうか。
もともと漫画を模写するのが好きでした。ぼくは中学の時に学校に行かなくなって、家にずっといたんですね。その時、やることがなかったので、描くことに没入しました。絵本を描き始めたのは23歳くらいの時です。最初は漫画を描こうとしていたのですが、ぼくには「作品にメッセージを込めたい」という想いがあって、締め切りが続く漫画では、自分にはそれができないと思ったんです。それで、知り合いに「絵本はどう?」と言われたのをきっかけに、絵本に切りかえました。絵本は期限をあまり気にせず、一つの作品に集中して、質にこだわって作れるところが自分には向いているのかなと思います。
メッセージを伝えるために絵本を描かれているのですね。それでは、絵本自体の魅力とはどんなところだと思われますか。
絵本はわかりやすいですよね。たとえば小説は文章だけですが、絵本は絵で伝えられるし、文章もあります。手に取ってもらいやすいし、ページ数も多くないので、あまり体力を使わずに読めます。それが魅力かなと思います。ぼくは自分の絵本がどのジャンルに属するだろうと考えた時に、どこにも入らず、それなら自分でと「アンティーク絵本」という新しいジャンルを作りました。アンティークのように「百年後も愛される絵本」ということなのですが、そういう絵本を作り、広めていきたいですね。
『うまれもった ひかり』という作品を作ろうと思ったきっかけは何ですか。
ちょうどコロナ禍が始まった時期で、家にいないといけなかったから、絵本を制作する時間がたくさんありました。それで、ぼくの作品は基本的に「愛情」をコンセプトとすることが多いのですが、今回は改めて愛情というものを深く考えたいなと思って、「愛することの大切さ」をテーマに描いてみようと思ったのがきっかけでした。人を愛する時にその人の機能(スペック)を愛するのか、人格を愛するのか、それをモノでたとえればわかりやすいのかなって。スペックではなく、そのモノ自体が大切であるということを伝えたくて作りました。
喫茶店に来たお客さまが、コーヒーを飲みながら絵本を読んで
ホッと一息ついてくれればいいなと思っています。
この作品でこだわった点や制作上で難しかった点はありますか。
こだわった点はアンティーク感です。絵の具で描いているのですが、白を使うと発色がよくなってしまうので、あまり白色は使わず、代わりに肌色(ペールオレンジ)を使ったり、ちょっと色を濁してレトロ感を出したりしました。難しかった点は、僕はもともと漢字を使うことが多かったので、全部ひらがなにするのが単純に大変でした。また、コンセプトが抽象的な「愛情」を扱っているので、文章を平たくしながら、わかりやすく伝えるというところが難しかったですね。
アンティーク感はそうやって出していたのですね。では、絵本ができ上がった際の感想はいかがでしたか。
形になったものはやはり違うと思いました。パソコン上で文字を打って作った完成品を見るよりも、本という形になったものを手に取って、ページをめくったほうが、「ああ、できたんだな」という実感がわくので、とてもうれしかったです。
完成後の絵本は、どのように活用されているのでしょうか。
喫茶店などに置いていただいたりしています。この絵本はランタンが出てくるので、ランタンを置くような感じで小さなイーゼルに絵本をのせ、お店に展示しました。喫茶店に来たお客さまが、コーヒーを飲みながら絵本を読んでホッ一息ついてくれればいいなと思っています。喫茶店では、原画展や個展を開いて、そこで絵本を販売したりもしています。
もちろん、保育のお仕事のほうでも、この絵本を読み聞かせしているんですよね?
完成した絵本も読み聞かせしていますが、いつも子どもたちには、作っている途中の段階で手作り製本したものを読み聞かせ、その反応を見て書き直したりしています。
子どもたちはアドバイザーですね。ほかに絵本を読んだ方々からの反響はいかがですか。
原画展を開いた時に、「絵本としても楽しめるし、絵画としても楽しめる」と言っていただいたことがありました。絵本を読んだ感想としては、「大人向けだね」と言われたり、逆に「絵だけ見て子どもが楽しんでいる」と言う方もいたりして、一概に大人向けとして受け止められているわけではないんだなと感じました。
チャイコフスキーの『くるみ割り人形』を聴いた時に、
いろいろな音が絵本のように表現されている印象を受けました。
続いて『アゴのはずれた くるみわりにんぎょう』についてですが、この作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
チャイコフスキーの『くるみ割り人形』を聴いた時に、いろいろな音が絵本のように表現されている印象を受けました。そのなかで、軽い感じの音を聴いて、なんとなくトイピアノ(子ども向け玩具の小さいピアノ)を思い浮かべたんです。単純におもしろいとか、パッとひらめいたものを絵本にしようとしていた時期で、くるみ割り人形がトイピアノを弾いたらおもしろいだろうなと思って、それを絵本にしてみようと思ったのがきっかけでした。
単純におもしろいと思ったことを絵本にされたということですが、メッセージは何かあるのでしょうか。
強いて言うなら「気にしない」ということですかね。たとえば、その人が深刻に捉えていることを、他人が直接的に「気にしすぎだよ」と伝えると、本人は少し嫌な気持ちになると思うんです。反対に本人が気にしていないことでも、周りの人から同情されることもあって、それも嫌だなと思うんです。その辺りをユーモアを交えて物語で伝えられればいいかなと思っています。
ストーリーと絵のタッチが合っていると思うのですが、どうして色鉛筆で描かれたのですか。
保育の仕事をしている時に紙芝居を作ったのですが、色鉛筆を使ってみたら周りの評判がけっこう良かったんです。また、色鉛筆で描いた絵を見た方から、「柔らかいタッチだね」「優しい雰囲気だね」と言われたので、それで一回作ってみようと思い、物語より先に画材(色鉛筆)を決めてしまいました。漫画を描いていたこともあり、絵の具よりもペンや鉛筆で描くほうが慣れているので、とても描きやすくて楽でした。
画材のほかに、この絵本を作る時に、こだわった点はありますか。
こだわったのは、とにかく「楽しい絵本にしよう」と思ったのと、「余分な絵」を取り入れたことです。「余分な絵」というのは、この絵本だと、くるみ割り人形とリスがやりとりする後ろで、ちょこちょこ動いているキャラクターのことです。子どもにいろいろな絵本の読み聞かせをしていて、子どもがこういった「余分な絵」に反応することに気づきました。この要素が多ければ多いほど、子どもはそこに目がいって、何回読んでも子どもによっても印象に残るところが毎回違ってくるんです。この絵本ではその「余分な絵」を取り入れました。
絵本を作って、広めてといった活動をしながら、
「アンティーク絵本」という新しいジャンルも定着させていければいいなと思っています。
読み聞かせをしている方ならではのアイデアですね。この絵本が完成した時の感想はいかがでしたか。
今回は色鉛筆で描いていたので、きちんと発色するかどうか心配だったのですが、いい感じに仕上がってきたのでよかったです。喫茶店で絵本を読んだお客さまからも、「いいね」と言っていただきました。
好評なのですね! ほかにも、この絵本を読んだ方からの声は届いていらっしゃいますか。
いろいろな意味で「おもしろいね」と言われます。絵本の内容のおもしろい部分を捉えて言う方もいれば、メッセージの部分を捉えて言う方もいます。また、絵本の内容以外にも、インテリアとして飾れるように絵本を作っているのが「おもしろい」と言う方もいました。喫茶店で、絵本を購入されたお客さまにたまたま会った際に、「家に飾っているよ」と言われたのも、とてもうれしかったです。
「ガップリ!の絵本」は、どうやって探しましたか?また、利用した感想はいかがでしたか?
インターネットで、少ない冊数から印刷できるところを探していて見つけました。ハードカバーで少部数でもできるというのが決め手でしたね。出来栄えに関しては、非常に満足しています。一冊目の時の紙がとても良くて、勧めていただいてありがたかったです。
今後はどのような活動をされていかれるのでしょうか。
活動の中心軸は絵本でいこうと思っています。ぼくは絵本を作るために、架空の街を作っているんです。街の地図を作って、風景を一枚一枚絵に起こして、住人のキャラクターも考えています。だから、今回の2作品もそうなのですが、これから作る絵本も全部その同じ街で起こる物語というように考えていて、その世界観を好きになってくれる人を増やしたいなと思っています。それで、絵本を作って、広めてといった活動をしながら、「アンティーク絵本」という新しいジャンルも定着させていければいいなと思っています。
架空の街の住人が増えていって、新しい絵本がつぎつぎに生まれることを楽しみにしています。
お話、ありがとうございました。
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ぼくには「作品にメッセージを込めたい」という想いがあって、
締め切りが続く漫画では、自分にはそれができないと思ったんです。
えのもとさんは、ふだんはどのような活動をされていらっしゃるのですか。
基本は絵本を作っていて、喫茶店などに絵本を置かせてもらったりしています。また、幼稚園の保育のアルバイトをしているので、その時に自分で作った絵本などを子どもに読み聞かせしています。
絵本はいつごろから描き始めたのでしょうか。
もともと漫画を模写するのが好きでした。ぼくは中学の時に学校に行かなくなって、家にずっといたんですね。その時、やることがなかったので、描くことに没入しました。絵本を描き始めたのは23歳くらいの時です。最初は漫画を描こうとしていたのですが、ぼくには「作品にメッセージを込めたい」という想いがあって、締め切りが続く漫画では、自分にはそれができないと思ったんです。それで、知り合いに「絵本はどう?」と言われたのをきっかけに、絵本に切りかえました。絵本は期限をあまり気にせず、一つの作品に集中して、質にこだわって作れるところが自分には向いているのかなと思います。
メッセージを伝えるために絵本を描かれているのですね。それでは、絵本自体の魅力とはどんなところだと思われますか。
絵本はわかりやすいですよね。たとえば小説は文章だけですが、絵本は絵で伝えられるし、文章もあります。手に取ってもらいやすいし、ページ数も多くないので、あまり体力を使わずに読めます。それが魅力かなと思います。ぼくは自分の絵本がどのジャンルに属するだろうと考えた時に、どこにも入らず、それなら自分でと「アンティーク絵本」という新しいジャンルを作りました。アンティークのように「百年後も愛される絵本」ということなのですが、そういう絵本を作り、広めていきたいですね。
『うまれもった ひかり』という作品を作ろうと思ったきっかけは何ですか。
ちょうどコロナ禍が始まった時期で、家にいないといけなかったから、絵本を制作する時間がたくさんありました。それで、ぼくの作品は基本的に「愛情」をコンセプトとすることが多いのですが、今回は改めて愛情というものを深く考えたいなと思って、「愛することの大切さ」をテーマに描いてみようと思ったのがきっかけでした。人を愛する時にその人の機能(スペック)を愛するのか、人格を愛するのか、それをモノでたとえればわかりやすいのかなって。スペックではなく、そのモノ自体が大切であるということを伝えたくて作りました。
喫茶店に来たお客さまが、コーヒーを飲みながら絵本を読んで
ホッと一息ついてくれればいいなと思っています。
この作品でこだわった点や制作上で難しかった点はありますか。
こだわった点はアンティーク感です。絵の具で描いているのですが、白を使うと発色がよくなってしまうので、あまり白色は使わず、代わりに肌色(ペールオレンジ)を使ったり、ちょっと色を濁してレトロ感を出したりしました。難しかった点は、僕はもともと漢字を使うことが多かったので、全部ひらがなにするのが単純に大変でした。また、コンセプトが抽象的な「愛情」を扱っているので、文章を平たくしながら、わかりやすく伝えるというところが難しかったですね。
アンティーク感はそうやって出していたのですね。では、絵本ができ上がった際の感想はいかがでしたか。
形になったものはやはり違うと思いました。パソコン上で文字を打って作った完成品を見るよりも、本という形になったものを手に取って、ページをめくったほうが、「ああ、できたんだな」という実感がわくので、とてもうれしかったです。
完成後の絵本は、どのように活用されているのでしょうか。
喫茶店などに置いていただいたりしています。この絵本はランタンが出てくるので、ランタンを置くような感じで小さなイーゼルに絵本をのせ、お店に展示しました。喫茶店に来たお客さまが、コーヒーを飲みながら絵本を読んでホッ一息ついてくれればいいなと思っています。喫茶店では、原画展や個展を開いて、そこで絵本を販売したりもしています。
もちろん、保育のお仕事のほうでも、この絵本を読み聞かせしているんですよね?
完成した絵本も読み聞かせしていますが、いつも子どもたちには、作っている途中の段階で手作り製本したものを読み聞かせ、その反応を見て書き直したりしています。
子どもたちはアドバイザーですね。ほかに絵本を読んだ方々からの反響はいかがですか。
原画展を開いた時に、「絵本としても楽しめるし、絵画としても楽しめる」と言っていただいたことがありました。絵本を読んだ感想としては、「大人向けだね」と言われたり、逆に「絵だけ見て子どもが楽しんでいる」と言う方もいたりして、一概に大人向けとして受け止められているわけではないんだなと感じました。
チャイコフスキーの『くるみ割り人形』を聴いた時に、
いろいろな音が絵本のように表現されている印象を受けました。
続いて『アゴのはずれた くるみわりにんぎょう』についてですが、この作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
チャイコフスキーの『くるみ割り人形』を聴いた時に、いろいろな音が絵本のように表現されている印象を受けました。そのなかで、軽い感じの音を聴いて、なんとなくトイピアノ(子ども向け玩具の小さいピアノ)を思い浮かべたんです。単純におもしろいとか、パッとひらめいたものを絵本にしようとしていた時期で、くるみ割り人形がトイピアノを弾いたらおもしろいだろうなと思って、それを絵本にしてみようと思ったのがきっかけでした。
単純におもしろいと思ったことを絵本にされたということですが、メッセージは何かあるのでしょうか。
強いて言うなら「気にしない」ということですかね。たとえば、その人が深刻に捉えていることを、他人が直接的に「気にしすぎだよ」と伝えると、本人は少し嫌な気持ちになると思うんです。反対に本人が気にしていないことでも、周りの人から同情されることもあって、それも嫌だなと思うんです。その辺りをユーモアを交えて物語で伝えられればいいかなと思っています。
ストーリーと絵のタッチが合っていると思うのですが、どうして色鉛筆で描かれたのですか。
保育の仕事をしている時に紙芝居を作ったのですが、色鉛筆を使ってみたら周りの評判がけっこう良かったんです。また、色鉛筆で描いた絵を見た方から、「柔らかいタッチだね」「優しい雰囲気だね」と言われたので、それで一回作ってみようと思い、物語より先に画材(色鉛筆)を決めてしまいました。漫画を描いていたこともあり、絵の具よりもペンや鉛筆で描くほうが慣れているので、とても描きやすくて楽でした。
画材のほかに、この絵本を作る時に、こだわった点はありますか。
こだわったのは、とにかく「楽しい絵本にしよう」と思ったのと、「余分な絵」を取り入れたことです。「余分な絵」というのは、この絵本だと、くるみ割り人形とリスがやりとりする後ろで、ちょこちょこ動いているキャラクターのことです。子どもにいろいろな絵本の読み聞かせをしていて、子どもがこういった「余分な絵」に反応することに気づきました。この要素が多ければ多いほど、子どもはそこに目がいって、何回読んでも子どもによっても印象に残るところが毎回違ってくるんです。この絵本ではその「余分な絵」を取り入れました。
絵本を作って、広めてといった活動をしながら、
「アンティーク絵本」という新しいジャンルも定着させていければいいなと思っています。
読み聞かせをしている方ならではのアイデアですね。この絵本が完成した時の感想はいかがでしたか。
今回は色鉛筆で描いていたので、きちんと発色するかどうか心配だったのですが、いい感じに仕上がってきたのでよかったです。喫茶店で絵本を読んだお客さまからも、「いいね」と言っていただきました。
好評なのですね! ほかにも、この絵本を読んだ方からの声は届いていらっしゃいますか。
いろいろな意味で「おもしろいね」と言われます。絵本の内容のおもしろい部分を捉えて言う方もいれば、メッセージの部分を捉えて言う方もいます。また、絵本の内容以外にも、インテリアとして飾れるように絵本を作っているのが「おもしろい」と言う方もいました。喫茶店で、絵本を購入されたお客さまにたまたま会った際に、「家に飾っているよ」と言われたのも、とてもうれしかったです。
「ガップリ!の絵本」は、どうやって探しましたか?また、利用した感想はいかがでしたか?
インターネットで、少ない冊数から印刷できるところを探していて見つけました。ハードカバーで少部数でもできるというのが決め手でしたね。出来栄えに関しては、非常に満足しています。一冊目の時の紙がとても良くて、勧めていただいてありがたかったです。
今後はどのような活動をされていかれるのでしょうか。
活動の中心軸は絵本でいこうと思っています。ぼくは絵本を作るために、架空の街を作っているんです。街の地図を作って、風景を一枚一枚絵に起こして、住人のキャラクターも考えています。だから、今回の2作品もそうなのですが、これから作る絵本も全部その同じ街で起こる物語というように考えていて、その世界観を好きになってくれる人を増やしたいなと思っています。それで、絵本を作って、広めてといった活動をしながら、「アンティーク絵本」という新しいジャンルも定着させていければいいなと思っています。
架空の街の住人が増えていって、新しい絵本がつぎつぎに生まれることを楽しみにしています。
お話、ありがとうございました。
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