オリジナル絵本 インタビュー
『イトウってなーんだ?』
/ 実物大「イトウ」のイラストの迫力にビックリ! /
幻の魚「イトウ」の生態をわかりやすく描いた絵本。
イトウの保護活動を長く続けていくためにも、子どもたちにもっとイトウのことを知ってもらいたいという思いから、「猿払イトウの会」様が製作した絵本です。イトウの一生をわかりやすく描いたストーリーに加えて、巻末についているイトウの実物大イラストが目を引きます。「イトウの会」の会員とともにストーリーや構成を考え、作画を担当したコト屋Productの川口峻さんに、製作したきっかけや製作中のエピソードなどをうかがいました。
誰に伝えれば効果的かと考えた時に、子どもに小さなころから
知ってもらうのがいいということで、絵本を作ることになりました。
この絵本を作ろうと思ったきっかけや理由は何ですか。
「猿払イトウの会」から、子どもたちに「イトウ」を知ってもらうきっかけとして、絵本づくりをしたいというお話があり、一緒に作ろうということになりました。私はその会の会員ではありませんでしたが、ボランティアのようなかたちで活動に関わっていたんです。私の本業は設計士で、絵本づくりははじめての試みですが、デザイン関係の仕事の経験も多少あったので、お引き受けすることにしました。猿払イトウの会は、北海道北部の猿払村というところで、絶滅危惧種の魚「イトウ」の保護活動を進めています。ですが、イトウが猿払付近にいることを知らない人もいて、いまひとつ認知度が低いようなのです。そのため、前々から保護活動だけではなく、イトウを知ってもらう機会を作ろうとしていました。それで、誰に伝えれば効果的かと考えた時に、子どもに小さなころから知ってもらうのがいいということで、絵本を作ることになりました。
「猿払イトウの会」様ではどんな活動をしているのですか。
例えば、イトウは産卵をするために川の上流に上ってくるのですが、その際に、自然の滞留物の木などが川をせき止めていると、上れなくなってしまうことがあります。猿払イトウの会では、そういったものを撤去する活動を行っています。また、河川工作物があってイトウが遡上しにくい場合は、なだらかな流れになるような工作物の増設をお願いするなど、行政に働きかけています。その一方で、地元の小学校の児童に、実際にイトウのいる川に来てもらって、自然の中には、イトウをはじめとしてどんな生き物がいるのかを知ってもらうために、自然観察活動を行っています。
自然観察などの教育的活動は、小学生を中心に行っているのですか。
そうですね。加えて、北海道内の大学生の環境学習にも関わるなどして、小学生から大学生までの関係をつないでいます。さらに保育所にいる幼い子どもたちにも広げようとしましたが、説明するのが難しいことから、なかなか踏み出せませんでした。それを、この絵本によって実現したいと思いました。
小さなお子さんに知識を与えるツールとして絵本を選ばれたのは、なぜですか。
「猿払イトウの会」としては、イトウという魚がいることを知るだけではなく、どういう場所にいて、どういうものを食べて、どんな育ち方をして、といったいろいろなことを、断片ではなく、つながりをもって知ってもらいたいんです。その点で、成長の過程や、大きくなったり、色が変わったりといった体の変化を、ひとつながりのストーリーで見せられて、イトウと自然との関わりを説明できるツールとして、絵本が適しているのではないかと考えました。ほかにも図鑑やカルタなどが候補に挙がりましたが、保育所の子どもたちには図鑑はまだ難しく、ストーリーを見せるうえでカルタなどの遊び道具も適さず、誰でもわかる言葉で表現できる絵本になりました。
絵本を作ろうという計画はいつごろから始まったのですか。
2021年の2月ごろからです。そのころ猿払村役場から「猿払イトウの会」に、ふるさと納税の基金で環境活動に使える予算があり、その用途で悩んでいるといったご相談を受けました。イトウの会では、これはいままで実現できていなかったことに挑戦するいいタイミングではないかということで、村から補助金をいただいて、絵本を作ることに決まりました。その製作を私が委託されたというかたちになります。
「猿払イトウの会」様から依頼が来た際にはどう思われましたか。
そもそも絵本づくりが決まってから依頼が来たのではなく、もともと私は村役場との話し合いにも出席し、絵本にしようと決める段階の協議にも参加していました。会のみなさんは、活動を広めるためにどうしたらいいかということに悩んでいました。ただ保護活動を続けるだけでは、今の会員がいなくなってしまったら、イトウのことを知る人たちがいなくなってしまうと心配していたのです。私もそれに共感し、会に協力したいという思いがあったので、みなさんと一緒に考えて、絵本製作にたどり着きました。
長いストーリーをどのように縮めて、伝えたいことを最小限度に抑えるか、
かつ、どうやっておもしろくしていくかというところに、絵本づくりの難しさがありました。
「ガップリ!の絵本」はどうやって探しましたか。また、選んだ決め手は何ですか。
インターネットで「絵本 印刷」の検索ワードで探して、そこからいくつかの印刷会社のサイトを見て検討しました。私は絵本を作ったことがなかったので、わからないことが多かったのですが、「ガップリ!の絵本」さんを選んだのは、いくつかあったサイトの中で、絵本づくりの過程が最もわかりやすく説明されていたからです。それと、ほかの会社と比べて納期が早いのもメリットで、その2点の理由から「ガップリ!の絵本」さんを選びました。
今回の絵本制作で難しかった点、こだわりの点はありますか。
「猿払イトウの会」として伝えたいことはたくさんあります。ただ、それをそのまま伝えるのはあまりにも難しく、ストーリーも非常に長くなってしまいます。それより第一に、子どもたちが飽きないように、そして興味を持って見てくれるようにしなければなりません。ですから、長いストーリーをどのように縮めて、伝えたいことを最小限度に抑えるか、かつ、どうやっておもしろくしていくかというところに、絵本づくりの難しさがありました。
イラストやストーリーづくりは、どうやって進めたのですか。
最初は「猿払イトウの会」の会員3名の方々と毎週話し合いを重ねて、ストーリーの原稿や原画の構成を決めていきました。また、その過程で、保育所のお子さんにも読んでもらえるように、保育所の先生にもご協力いただいています。ストーリーや絵が自分たちのイメージしていたものに近い絵本を先生方に読んでもらって、アンケートをとりました。その絵本がどういう印象だったか、ストーリーの長さはどうか、文章が難しくないかなどについてご意見をいただき、それを自分たちの絵本づくりに取り入れて、ストーリーや構成を改めて考え直しました。
絵は川口さんが描かれたのですか。
絵を描くのは私が担当しました。イトウの絵を描いたのはイトウのチャリティーグッズを作った時に原画を描いたのがはじめてで、2020年に缶バッジ、2021年にステッカーを作っています。「猿払イトウの会」ではチャリティーイベントを行っていて、その売上金を、先ほどお話した保護活動や魚道整備に使用しています。その際にグッズの制作依頼を受けて、はじめてイトウを描きました。この時には、イトウの会の方々から細かいところまで指示を受け、いろいろ確認しながら作りました。
長尺用紙を使った折り加工(注1)でイトウの実物大のイラストを入れる案は、どなたが考えたのですか。
「猿払イトウの会」の方から、イトウの成長の過程で、最後にこのくらいの大きさになることがわかればおもしろいのではないか、というお話をいただきました。そこで、できるかどうかはわからないけれど、一回相談してみようということで、「ガップリ!の絵本」さんにお願いしたら、そのとおりに作ってくれました。これは本当にびっくりしましたね。
(注1)見開きページの2倍の長さの用紙に印刷し、折り加工を加えることで、実物大のイラストを絵本に綴じ込みました。
実物大のイトウのイラストもこうなったらいいなと思っていたものが本当にそのとおりになり、
「猿払イトウの会」の方々も感動していました。
完成した絵本を手にした時の感想はいかがでしたか。
「ガップリ!の絵本」さんにお願いする前に、こちらでも普通のプリンターで印刷して、完成物と同じ大きさのサンプルを作っていました。ですが、やはり実際に完成した絵本を手にすると、質感が全く違いますね。サンプル以上のものが完成品としてでき上がってきて、自分たちでもこういったものが作れるのだと、単純に感動しました。実物大のイトウのイラストもこうなったらいいなと思っていたものが本当にそのとおりになり、「猿払イトウの会」の方々も感動していました。保育所にもお見せしたところ、子どもたちもそのページに興味を持ってくれたようで、よかったなと思いました。
絵本はどのように活用されていますか。
猿払村役場から補助金をいただいて作ったので、役場にお渡しして活用していただくというかたちになりました。役場の発表では、保育所や小学校に配布される予定になっています。また、それとは別に、絵本づくりにご協力いただいた保育所へ、「猿払イトウの会」から直接絵本をお渡ししています。それを読み聞かせなどに使っていただき、もう少しこうしたらいいなどの意見もお聞きしました。さらに、これから絵本を使って何ができるかということで、保育所の先生方ともお話しながら検討しています。
保育所の先生方からは、具体的にどういった声がありましたか。
先生方からはいろいろな感想や意見をいただきました。例えば「表紙がかわいいので、子どもたちが見たくなるようなものだった」という一方で、「見開きが見にくいことがありました」など、いい面と悪い面の両方を書いていただいた方も多くいます。ほかにも、「イトウというものが何か、子どもたちにも伝わりやすく、読み手のこちらも伝えやすい絵本でした。裏表紙などに本物の写真があると、さらにうれしいです」や、「とてもわかりやすく、色合いもきれいで子どもたちも興味が持てる本でした」というご意見、もっと具体的に「イトウの実物大のイラストが人気でした」「オスとメスの違いを、照れて赤くなったほうがオスと書いてあり、わかりやすかったです」などといった感想もいただいています。こういったご意見を聞いて、絵本を作って終わりではなく、その後もきちんと活用される流れを作れたらと考えています。
今後、イトウ関連で何か作ってみたいや印刷物などはありますか。
イトウ関連でいうと、また絵本というかたちにしてもいいのですが、たくさんの子どもたちに読み聞かせをするなら、紙芝居を作って子どもたちに見せるとおもしろいのではないかと思っています。また、「猿払イトウの会」には、イトウの姿や活動のようすを撮影した写真が蓄積されているそうなので、それらを使って写真集的なものや、イトウを知るための冊子などを作っていけたらいいなと思っています。
「ガップリ!の絵本」をご利用いただいた感想をお聞かせください。
担当の方と直接顔を合わせる機会がなかったので、少し不安な面もありましたが、親身になって話を聞いてくれました。長尺用紙の折り加工ページも、一回試作して、よりよい印刷のやり方がないかと、じっくり検討してもらったと聞いています。こちらがやりたいと思っていることに対して、そこまで懸命になって応えてくれて、とてもありがたかったです。しかも、それが思っていた以上のものに仕上がって返ってきたので、本当によかったと思いました。また絵本を作る機会があれば、お願いすると思います。
イトウの実物大のイラストにはビックリしました。保護活動が長く続き、ますます盛んになるといいですね。
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お客さまが上製本(ハードカバー仕上げ)で製作したオリジナル絵本を一部ご紹介しています。
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例えば、イトウは産卵をするために川の上流に上ってくるのですが、その際に、自然の滞留物の木などが川をせき止めていると、上れなくなってしまうことがあります。猿払イトウの会では、そういったものを撤去する活動を行っています。また、河川工作物があってイトウが遡上しにくい場合は、なだらかな流れになるような工作物の増設をお願いするなど、行政に働きかけています。その一方で、地元の小学校の児童に、実際にイトウのいる川に来てもらって、自然の中には、イトウをはじめとしてどんな生き物がいるのかを知ってもらうために、自然観察活動を行っています。
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そうですね。加えて、北海道内の大学生の環境学習にも関わるなどして、小学生から大学生までの関係をつないでいます。さらに保育所にいる幼い子どもたちにも広げようとしましたが、説明するのが難しいことから、なかなか踏み出せませんでした。それを、この絵本によって実現したいと思いました。
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絵本を作ろうという計画はいつごろから始まったのですか。
2021年の2月ごろからです。そのころ猿払村役場から「猿払イトウの会」に、ふるさと納税の基金で環境活動に使える予算があり、その用途で悩んでいるといったご相談を受けました。イトウの会では、これはいままで実現できていなかったことに挑戦するいいタイミングではないかということで、村から補助金をいただいて、絵本を作ることに決まりました。その製作を私が委託されたというかたちになります。
「猿払イトウの会」様から依頼が来た際にはどう思われましたか。
そもそも絵本づくりが決まってから依頼が来たのではなく、もともと私は村役場との話し合いにも出席し、絵本にしようと決める段階の協議にも参加していました。会のみなさんは、活動を広めるためにどうしたらいいかということに悩んでいました。ただ保護活動を続けるだけでは、今の会員がいなくなってしまったら、イトウのことを知る人たちがいなくなってしまうと心配していたのです。私もそれに共感し、会に協力したいという思いがあったので、みなさんと一緒に考えて、絵本製作にたどり着きました。
長いストーリーをどのように縮めて、伝えたいことを最小限度に抑えるか、
かつ、どうやっておもしろくしていくかというところに、絵本づくりの難しさがありました。
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今回の絵本制作で難しかった点、こだわりの点はありますか。
「猿払イトウの会」として伝えたいことはたくさんあります。ただ、それをそのまま伝えるのはあまりにも難しく、ストーリーも非常に長くなってしまいます。それより第一に、子どもたちが飽きないように、そして興味を持って見てくれるようにしなければなりません。ですから、長いストーリーをどのように縮めて、伝えたいことを最小限度に抑えるか、かつ、どうやっておもしろくしていくかというところに、絵本づくりの難しさがありました。
イラストやストーリーづくりは、どうやって進めたのですか。
最初は「猿払イトウの会」の会員3名の方々と毎週話し合いを重ねて、ストーリーの原稿や原画の構成を決めていきました。また、その過程で、保育所のお子さんにも読んでもらえるように、保育所の先生にもご協力いただいています。ストーリーや絵が自分たちのイメージしていたものに近い絵本を先生方に読んでもらって、アンケートをとりました。その絵本がどういう印象だったか、ストーリーの長さはどうか、文章が難しくないかなどについてご意見をいただき、それを自分たちの絵本づくりに取り入れて、ストーリーや構成を改めて考え直しました。
絵は川口さんが描かれたのですか。
絵を描くのは私が担当しました。イトウの絵を描いたのはイトウのチャリティーグッズを作った時に原画を描いたのがはじめてで、2020年に缶バッジ、2021年にステッカーを作っています。「猿払イトウの会」ではチャリティーイベントを行っていて、その売上金を、先ほどお話した保護活動や魚道整備に使用しています。その際にグッズの制作依頼を受けて、はじめてイトウを描きました。この時には、イトウの会の方々から細かいところまで指示を受け、いろいろ確認しながら作りました。
長尺用紙を使った折り加工(注1)でイトウの実物大のイラストを入れる案は、どなたが考えたのですか。
「猿払イトウの会」の方から、イトウの成長の過程で、最後にこのくらいの大きさになることがわかればおもしろいのではないか、というお話をいただきました。そこで、できるかどうかはわからないけれど、一回相談してみようということで、「ガップリ!の絵本」さんにお願いしたら、そのとおりに作ってくれました。これは本当にびっくりしましたね。
(注1)見開きページの2倍の長さの用紙に印刷し、折り加工を加えることで、実物大のイラストを絵本に綴じ込みました。
実物大のイトウのイラストもこうなったらいいなと思っていたものが本当にそのとおりになり、
「猿払イトウの会」の方々も感動していました。
完成した絵本を手にした時の感想はいかがでしたか。
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絵本はどのように活用されていますか。
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