オリジナル絵本 インタビュー
『とのととどまる。~殿 ニューヨークへ行く~』
/ 江戸時代からタイムスリップしてきた「殿」が、 /
現代日本やアメリカの文化にビックリ!
長年ニューヨークで暮らしてきた「とどまる」さんが作者となり、絵本作家や画家として活躍している「あきばたまみ」さんと、イラストレーターの「かんのあき」さんが作画を担当して作られた絵本です。江戸で生活していた「殿」とお供の「とどまる」が、現代日本の東京やアメリカのニューヨークに現れ、生活様式の違いに驚くというストーリーで、日米の文化の違いを子どもたちに伝えたいという思いから企画されたそうです。あきばさんにいろいろなお話をうかがいました。
世界の文化がどういうふうになっているのか、
子どもたちには、まず興味を持ってほしい、
そしてグローバルな目を養ってほしいと、
とどまるさんはおっしゃっていました。
あきばさんは今回の絵本で作画と監修を担当されていますが、ふだんはどのような活動をされていらっしゃるのでしょうか。
2007年に経済界(出版社)から『インコの手紙』という絵本で作家デビューをして、今までに全国出版を 6 冊してきています。あとは画家として海外などで個展を開いたり、龍の絵を描いて神社に奉納したり、ライブペインティングやワークショップの講師といった活動もしています。
今回、絵本を共に作られ、物語の登場人物にもなっている「とどまる」さんとは、どのようなご関係なのですか。
とどまるさんは長年アメリカのニューヨークにお住まいだった方で、アメリカ滞在当時、日本文化をアメリカに広めたいという思いから「ジャパンブロックフェア」というストリートフェスティバルを主催されていました。私は福島県の出身で、東日本大震災が起きたあと、何か福島のためにできないかなと考えていた時にネットでジャパンブロックフェアを知り、それで、とどまるさんにメールをし、2012年にフェスに出展したところからのお付き合いになります。
ニューヨークに住んでいらっしゃる「とどまる」さんから、どのような経緯でこの絵本制作のお話がきたのでしょうか。
2021年の11月ごろ、上野のアメ横で偶然、とどまるさんと再会したんです! もう、びっくりしました。とどまるさんは、すでにご帰国されていたそうです。それで、その勢いで食事に行って、いろいろな話をしたのですが、とどまるさんは何十年もアメリカの文化を見てきて、「日本」と「アメリカ」という国が違うだけで、こんなにも文化が違うのか! と切実に感じていらっしゃったようです。それを日本の子どもたちに伝えたいと思っていらして、子どもたちに伝えるのに一番いい形が絵本ではないかと考えていたところに私が現れたものですから、「これは運命だね」ということで私と絵本を一緒に作ることになりました。
それは運命的ですね! 絵本では「殿」と「とどまる」が二人で冒険しますが、「殿」にもモデルの方がいらっしゃるんですよね。
「殿」のモデルは渡辺Yoshiさんという世界でパフォーマンスをされている方で、やはり長年ニューヨークに住んでいて、ふだんから月代(さかやき)を剃り、ちょんまげを結って、本当に殿様の恰好をしているんです。殿もジャパンブロックフェアに参加したことでとどまるさんの知り合いになり、とどまるさんと同じころに帰国していました。私はこれまで直接、殿と交流はなかったのですが、ニューヨークでお見かけしたことはあって、そのちょんまげの人が上野のアメ横にいたので、思い切ってお声かけしたら、となりに私がよく知るとどまるさんがいらっしゃったのです。そんなこともあり、「殿」が江戸時代から現代日本にタイムスリップする話はどうだということで、ストーリーがまとまっていきました。
ユニークなストーリーですが、多様性を描かれたということなのでしょうか。
そうですね、これが絵本の結構大きなテーマなのですけれども、今の日本の常識が世界の常識ではないし、世界ではこの生活が当たり前ではないんですね。どこの時代の、どこの町がいいとか悪いとかじゃなくて、世界の文化がどういうふうになっているのか、子どもたちには、まずそこに興味を持ってほしい、そしてグローバルな目を養ってほしいと、とどまるさんはおっしゃっていました。そして、私と殿のプロフィールがあとがきに掲載されていますが、とどまるさんは、とどまるさんの視点からだけでなく、世界中を旅してきた、私や殿の視点からも、この世界はどう見えているのかを表現したかったようです。
背景画はあきばさんではなく、「かんのあき」さんが担当されたのはどうしてでしょうか。
一つは技術的な問題で、私はキャラクターや動物をバーンと描くのは得意なのですが、細かい背景の描写というのはちょっと苦手なんですね。もう一つは、私は2014年から8年間、福島を拠点に活動していて、福島の若いアーティストを指導する立場にもなり、そのなかで、20代のイラストレーターのかんのさんに出会いました。彼女の絵はとても繊細で美しく、デジタル画にも対応できるので、さまざまな要望にも的確に応えられるセンスを持っていて、今後は福島のアートシーンを担えるのではないかと思いました。ただ、彼女はまだ絵本を制作した経験はないとのことでしたので、私が教えるというのはおこがましいですが、今回の制作で、絵本の作り方の流れを学んで、今後に生かしてほしいなと思い、依頼をしました。結果、かなり彼女に助けられましたけどね。
絵に関しては、細かい描写ですがアメリカにも持っていく絵本なので、
アメリカ人が見た時に「何これ?」と言われないよう気をつけました。
絵本を作るにあたり、「ガップリ!の絵本」を選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか。
この絵本のデザイン制作を、福島でデザイナーをやっているNEXT ONEの「まつおたかひろ」さんにお願いしたのですが、そのまつおさんと一緒にいろいろな印刷所を調べました。それで、どこの会社がいいか比較をした時に、「ガップリ!の絵本」さんがまず一番良心的なコストだったんです。また、打ち合わせで担当者の方とお話をした時に、質問に対して理路整然とお答えいただいたこと。そして、絵本の印刷・製本に対しての知識もたくさん持っていたというところで決めました。
絵本を作るうえで、とくにこだわった点はありますか。
帯は絶対つけたいと、とどまるさんと話していました。また、とどまるさんは、自分のお孫さんに向けて書いているところもあったので、お孫さんが見た時にわかりやすいよう、ちょっと大きめのA4サイズで作っています。フォントの大きさも、デザイナーのまつおさんが、小学校低学年の子どもたちが見る絵本のフォントのサイズを徹底的に調べてくれて、それに合わせて作りました。小学校低学年では習わない漢字はなるべく省いて平仮名にし、難しい漢字にはルビを振って、そのあたりにも注意を払っています。絵に関しては、アメリカの警察官はタトゥーが入っていたり、サングラスをかけていたり、通行人もいろんな人種の人があちこち自由に歩いていて、そういう細かい描写ですがアメリカにも持っていく絵本なので、アメリカ人が見た時に「何これ?」と言われないよう気をつけました。それとノンブル(ページ数)も江戸時代の貨幣や日本の国旗、アメリカの国旗にデザインし、シーンをわかりやすくしました。
カバーや見返しなどもついていて本格的な絵本になっていますが、どうしてつけようと思われたのですか。
とどまるさんのなかに、たぶん「作るんだったら徹底的によい絵本にしたい」という気持ちがあったと思います。本屋さんに並んだ時に、人気の絵本と比べても見劣りしないような作品に。私も自分の名前を載せて作るかぎりは、クオリティは守りたいし、とどまるさんもそこはこだわっていきたいというところで相談していくうちに、一番しっかりした絵本の仕様になりました。
良心的なコストで、ちゃんとプロのレベルで作っていただけたことは、
とてもよかったなと思います。
絵本が完成したときの感想はいかがでしたか。
私は、「やっとできた! うれしい!」と純粋に思いました。とどまるさんは「すごく感動した」「やっと本当に形になった」とおっしゃっていました。かんのさんも、とても感動していましたね。殿はやはりとてもうれしかったみたいで、今は長野に住んでいるのですが、いろんなイベントに出演して、そこでこの絵本を売ってくださっています。想いを伝えることに対しての気持ちが非常に強い方なので、想いを形にしてくれたとどまるさんに感謝しているようでした。
絵本は、ほかにはどのような方法で販売されたり、活用されたりしているのでしょうか。
関係のある書店さんと直に取引して置いてもらっています。また、福島では新聞にも載せていただいたので、書店さんから新聞を見たと言って注文が入ることもあります。とどまるさんも、いろいろ知り合いの本屋さんに声をかけたり、地元の小学校や学童保育施設に声をかけて置いてもらったりしているそうです。東京の足立区の小学校すべてにも寄贈されたそうで、足立区教育委員会からとどまるさんに感謝状が授与されました。絵本に登場するキャラクターのなかには、「だんご屋のまさ」さんなど実在するモデルもいらっしゃるので、そういった方々に連絡してアメリカ、ニューヨークでも広めてもらっているようです。
絵本を読まれた方からは、どのような声が届いていらっしゃいますか。
まず「おもしろい」という感想を多くいただいています。こんなに文化が違うっていうことにも、びっくりされますね。アメリカはゴミは多いけど、自由だし、楽しそうなところなので行ってみたいという声もありました。それから、絵本のなかの英語は短い一言ですが、わりとネイティブな言い方をしているんですね。それで、これは本当に英語を知っている人じゃないとわからないから、勉強になったと言っていただきました。
あきばさんの今後の活動予定や、絵本の次回作の構想があればお聞かせください。
次回作は、まだわかりませんが、この絵本には伏線があるんです。アメリカの子どもたちのなかにサリーを着ている子がいますよね。サリーを着ているのには意味があって、それが次回作への伏線になっています。私のほうは、今は龍画に力を入れています。実は絵本の最後、殿ととどまるが江戸に戻ってきたページにも、白い龍が空を泳いでいるんですよ。新規店舗の守り龍を描くご依頼や、ライブペインティングといったお仕事を結構いただいていまして、龍画のお財布と名刺入れもECサイトのほうで販売しています。神社の龍守りの製作もはじまりました。
最後に、「ガップリ!の絵本」をご利用いただいた感想を一言お願いできますでしょうか。
最後までていねいに作っていただけたので、本当に感謝申し上げます。やはり作家として、自分のブランドのクオリティは下げたくなかったので、良心的なコストで、ちゃんとプロのレベルで作っていただけたことは、とてもよかったなと思います。
実物の殿と、とどまるさんにもお会いしたくなりました!
2作目も実現するといいですね。
お話、ありがとうございました。
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絵/sea-no様
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絵/ハセガワ直子様
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現代日本やアメリカの文化にビックリ!
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世界の文化がどういうふうになっているのか、
子どもたちには、まず興味を持ってほしい、
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とどまるさんはおっしゃっていました。
あきばさんは今回の絵本で作画と監修を担当されていますが、ふだんはどのような活動をされていらっしゃるのでしょうか。
2007年に経済界(出版社)から『インコの手紙』という絵本で作家デビューをして、今までに全国出版を 6 冊してきています。あとは画家として海外などで個展を開いたり、龍の絵を描いて神社に奉納したり、ライブペインティングやワークショップの講師といった活動もしています。
今回、絵本を共に作られ、物語の登場人物にもなっている「とどまる」さんとは、どのようなご関係なのですか。
とどまるさんは長年アメリカのニューヨークにお住まいだった方で、アメリカ滞在当時、日本文化をアメリカに広めたいという思いから「ジャパンブロックフェア」というストリートフェスティバルを主催されていました。私は福島県の出身で、東日本大震災が起きたあと、何か福島のためにできないかなと考えていた時にネットでジャパンブロックフェアを知り、それで、とどまるさんにメールをし、2012年にフェスに出展したところからのお付き合いになります。
ニューヨークに住んでいらっしゃる「とどまる」さんから、どのような経緯でこの絵本制作のお話がきたのでしょうか。
2021年の11月ごろ、上野のアメ横で偶然、とどまるさんと再会したんです! もう、びっくりしました。とどまるさんは、すでにご帰国されていたそうです。それで、その勢いで食事に行って、いろいろな話をしたのですが、とどまるさんは何十年もアメリカの文化を見てきて、「日本」と「アメリカ」という国が違うだけで、こんなにも文化が違うのか! と切実に感じていらっしゃったようです。それを日本の子どもたちに伝えたいと思っていらして、子どもたちに伝えるのに一番いい形が絵本ではないかと考えていたところに私が現れたものですから、「これは運命だね」ということで私と絵本を一緒に作ることになりました。
それは運命的ですね! 絵本では「殿」と「とどまる」が二人で冒険しますが、「殿」にもモデルの方がいらっしゃるんですよね。
「殿」のモデルは渡辺Yoshiさんという世界でパフォーマンスをされている方で、やはり長年ニューヨークに住んでいて、ふだんから月代(さかやき)を剃り、ちょんまげを結って、本当に殿様の恰好をしているんです。殿もジャパンブロックフェアに参加したことでとどまるさんの知り合いになり、とどまるさんと同じころに帰国していました。私はこれまで直接、殿と交流はなかったのですが、ニューヨークでお見かけしたことはあって、そのちょんまげの人が上野のアメ横にいたので、思い切ってお声かけしたら、となりに私がよく知るとどまるさんがいらっしゃったのです。そんなこともあり、「殿」が江戸時代から現代日本にタイムスリップする話はどうだということで、ストーリーがまとまっていきました。
ユニークなストーリーですが、多様性を描かれたということなのでしょうか。
そうですね、これが絵本の結構大きなテーマなのですけれども、今の日本の常識が世界の常識ではないし、世界ではこの生活が当たり前ではないんですね。どこの時代の、どこの町がいいとか悪いとかじゃなくて、世界の文化がどういうふうになっているのか、子どもたちには、まずそこに興味を持ってほしい、そしてグローバルな目を養ってほしいと、とどまるさんはおっしゃっていました。そして、私と殿のプロフィールがあとがきに掲載されていますが、とどまるさんは、とどまるさんの視点からだけでなく、世界中を旅してきた、私や殿の視点からも、この世界はどう見えているのかを表現したかったようです。
背景画はあきばさんではなく、「かんのあき」さんが担当されたのはどうしてでしょうか。
一つは技術的な問題で、私はキャラクターや動物をバーンと描くのは得意なのですが、細かい背景の描写というのはちょっと苦手なんですね。もう一つは、私は2014年から8年間、福島を拠点に活動していて、福島の若いアーティストを指導する立場にもなり、そのなかで、20代のイラストレーターのかんのさんに出会いました。彼女の絵はとても繊細で美しく、デジタル画にも対応できるので、さまざまな要望にも的確に応えられるセンスを持っていて、今後は福島のアートシーンを担えるのではないかと思いました。ただ、彼女はまだ絵本を制作した経験はないとのことでしたので、私が教えるというのはおこがましいですが、今回の制作で、絵本の作り方の流れを学んで、今後に生かしてほしいなと思い、依頼をしました。結果、かなり彼女に助けられましたけどね。
絵に関しては、細かい描写ですがアメリカにも持っていく絵本なので、
アメリカ人が見た時に「何これ?」と言われないよう気をつけました。
絵本を作るにあたり、「ガップリ!の絵本」を選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか。
この絵本のデザイン制作を、福島でデザイナーをやっているNEXT ONEの「まつおたかひろ」さんにお願いしたのですが、そのまつおさんと一緒にいろいろな印刷所を調べました。それで、どこの会社がいいか比較をした時に、「ガップリ!の絵本」さんがまず一番良心的なコストだったんです。また、打ち合わせで担当者の方とお話をした時に、質問に対して理路整然とお答えいただいたこと。そして、絵本の印刷・製本に対しての知識もたくさん持っていたというところで決めました。
絵本を作るうえで、とくにこだわった点はありますか。
帯は絶対つけたいと、とどまるさんと話していました。また、とどまるさんは、自分のお孫さんに向けて書いているところもあったので、お孫さんが見た時にわかりやすいよう、ちょっと大きめのA4サイズで作っています。フォントの大きさも、デザイナーのまつおさんが、小学校低学年の子どもたちが見る絵本のフォントのサイズを徹底的に調べてくれて、それに合わせて作りました。小学校低学年では習わない漢字はなるべく省いて平仮名にし、難しい漢字にはルビを振って、そのあたりにも注意を払っています。絵に関しては、アメリカの警察官はタトゥーが入っていたり、サングラスをかけていたり、通行人もいろんな人種の人があちこち自由に歩いていて、そういう細かい描写ですがアメリカにも持っていく絵本なので、アメリカ人が見た時に「何これ?」と言われないよう気をつけました。それとノンブル(ページ数)も江戸時代の貨幣や日本の国旗、アメリカの国旗にデザインし、シーンをわかりやすくしました。
カバーや見返しなどもついていて本格的な絵本になっていますが、どうしてつけようと思われたのですか。
とどまるさんのなかに、たぶん「作るんだったら徹底的によい絵本にしたい」という気持ちがあったと思います。本屋さんに並んだ時に、人気の絵本と比べても見劣りしないような作品に。私も自分の名前を載せて作るかぎりは、クオリティは守りたいし、とどまるさんもそこはこだわっていきたいというところで相談していくうちに、一番しっかりした絵本の仕様になりました。
良心的なコストで、ちゃんとプロのレベルで作っていただけたことは、
とてもよかったなと思います。
絵本が完成したときの感想はいかがでしたか。
私は、「やっとできた! うれしい!」と純粋に思いました。とどまるさんは「すごく感動した」「やっと本当に形になった」とおっしゃっていました。かんのさんも、とても感動していましたね。殿はやはりとてもうれしかったみたいで、今は長野に住んでいるのですが、いろんなイベントに出演して、そこでこの絵本を売ってくださっています。想いを伝えることに対しての気持ちが非常に強い方なので、想いを形にしてくれたとどまるさんに感謝しているようでした。
絵本は、ほかにはどのような方法で販売されたり、活用されたりしているのでしょうか。
関係のある書店さんと直に取引して置いてもらっています。また、福島では新聞にも載せていただいたので、書店さんから新聞を見たと言って注文が入ることもあります。とどまるさんも、いろいろ知り合いの本屋さんに声をかけたり、地元の小学校や学童保育施設に声をかけて置いてもらったりしているそうです。東京の足立区の小学校すべてにも寄贈されたそうで、足立区教育委員会からとどまるさんに感謝状が授与されました。絵本に登場するキャラクターのなかには、「だんご屋のまさ」さんなど実在するモデルもいらっしゃるので、そういった方々に連絡してアメリカ、ニューヨークでも広めてもらっているようです。
絵本を読まれた方からは、どのような声が届いていらっしゃいますか。
まず「おもしろい」という感想を多くいただいています。こんなに文化が違うっていうことにも、びっくりされますね。アメリカはゴミは多いけど、自由だし、楽しそうなところなので行ってみたいという声もありました。それから、絵本のなかの英語は短い一言ですが、わりとネイティブな言い方をしているんですね。それで、これは本当に英語を知っている人じゃないとわからないから、勉強になったと言っていただきました。
あきばさんの今後の活動予定や、絵本の次回作の構想があればお聞かせください。
次回作は、まだわかりませんが、この絵本には伏線があるんです。アメリカの子どもたちのなかにサリーを着ている子がいますよね。サリーを着ているのには意味があって、それが次回作への伏線になっています。私のほうは、今は龍画に力を入れています。実は絵本の最後、殿ととどまるが江戸に戻ってきたページにも、白い龍が空を泳いでいるんですよ。新規店舗の守り龍を描くご依頼や、ライブペインティングといったお仕事を結構いただいていまして、龍画のお財布と名刺入れもECサイトのほうで販売しています。神社の龍守りの製作もはじまりました。
最後に、「ガップリ!の絵本」をご利用いただいた感想を一言お願いできますでしょうか。
最後までていねいに作っていただけたので、本当に感謝申し上げます。やはり作家として、自分のブランドのクオリティは下げたくなかったので、良心的なコストで、ちゃんとプロのレベルで作っていただけたことは、とてもよかったなと思います。
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お話、ありがとうございました。
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