インタビューページ『いったい どうなっているんだぃ?』|上製本(ハードカバー仕上げ)のオリジナル絵本が50冊からつくれる

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オリジナル絵本 インタビュー
『いったい どうなっているんだぃ?』

群馬医療福祉大学 村山明彦様 山口智晴様製作のオリジナル絵本『いったい どうなっているんだぃ?』

/ 子どものうちから正しい知識を持ってほしいと作られた、 /
認知症への理解を啓発する絵本。

群馬医療福祉大学の本町キャンパスにうかがい、「ガップリ!の絵本」で認知症への理解を啓発する絵本『いったい どうなっているんだぃ?』を作られた、村山明彦先生と山口智晴先生にインタビュー。絵本製作と、「ガップリ!」にご注文いただいたフレイル(健康状態と要介護状態の間のこと)予防のパンフレット作りについて、お話をうかがいました。

さまざま視点ユニバーサル取れるのは
論文よりも絵本なのではないかと思ったのがきっかけです。

絵本を作ろうと思ったきっかけや目的は何ですか。

村山先生

私と山口先生、とくに山口先生は認知症専門の先生でいらっしゃいまして、助成金をいただき、無料で配布する前提で認知症の絵本を作る企画を立てました。なぜかというと、子どものうちから認知症の誤りのない知識を身近に感じてもらいたいというのがありまして。とくに子ども向けの認知症教育の内容は少し難しかったり、物忘れしてしまう病気ということに焦点をあてているものが多いので、それ以外の認知症の症状やお困りごとを体験型で学んでいただくには絵本がいいのではないかと考えたのが最初ですね。

山口先生

村山先生とは、ずっと介護予防とかお仕事を一緒にさせていただいているのですが、私はどちらかというと認知症どっぷりで、このお話をいただいた時に、やはり大人よりは子どもかなと。子どもが自分ごととして捉えられるようなものがいいですよねというところから、絵本になったというかたちです。

インタビューに応じてくださった、群馬医療福祉大学の山口先生(左)と村山先生(右)

▲インタビューに応じてくださった、群馬医療福祉大学の山口先生(左)と村山先生(右)

さまざまな媒体、ツールがある中で絵本にしようと思ったのはなぜですか。

村山先生

私には3人の子どもがいるのですが、絵本の企画を考えるヒントになったのは子育てをした経験が非常に大きかったですね。例えば、夜おしっこを失敗したり、靴を左右逆に履いてしまったり、子どものころの出来事と認知症になってからの出来事には関連することが多くあります。それで、絵本のいいところは、子どもは子どもの目線で楽しめる、大人は大人の目線で読める、そして親の目線だったり、研究者の目線、さまざまな視点でユニバーサルに手に取れるのは論文よりも絵本なのではないかと思ったのがきっかけです。

ご利用になった助成金とはどういうものでしょうか。

山口先生

「公益財団法人上毛新聞厚生福祉事業団」が「愛の募金」といって社会貢献のために集めた浄財を、エントリー制なのですが、これだったら社会課題を解決してくれるだろうというところに助成してくださる事業をされておりまして。その「愛の募金」の中の認知症助成というところで助成をしてくださるということになり、助成金を絵本製作に活用させていただきました。

「ガップリ!の絵本」を探した経緯や選んだ決め手は何だったのでしょうか。

村山先生

最終的に決定する前には山口先生にご相談したのですが、「絵本」で検索した時に他社のホームページと比較して、作ってから完成までのプロセスが個人的に一番わかりやすかったのが「ガップリ!の絵本」さんでした。それと、料金シミュレーションがあったので、ネット上で一番明確に概算が見られたのも「ガップリ!の絵本」さんで、製作実績のページなどを見ても充実していたことから、いまに至ったというかたちです。

こちらからもいろいろご提案させていただき、最終的にこの形になりましたが。

山口先生

村山先生からレイアウトも慣れていないとのお話があったので、まずは相談しようと思って、形もすべてゼロベースにしてお電話をさせていただいた経緯があります。子ども何人かに読んでもらったり、読み聞かせをした時の反応で言い回しなどもブラッシュアップしていき、使う時のことを前提に考えて最終的にこの内容、この形になりました。絵本の構成でうるさいことを言ったり、入稿してから文字を変えてもらったり、こっちの方がいいとか言って申し訳なかったのですが、すごく早くリアクションしていただけたのがありがたかったですね。

村山先生

論文を書くことは慣れているのですが、絵本に関しては門外漢なので、紙の質であるとか種類や綴じ方はまったくわからず、それらに関してはすべてお任せしたいとお話した上で作っていただきました。納品されたものは想像以上のもので、同業の方にもお渡しすると、まずびっくりされます。やはり研究者であると論文は受け取り慣れていますが、絵本をもらうというのはかなり記憶にも残るようですね。

オリジナル絵本の本文見開きページ

▲本文レイアウトは弊社のデータ編集サービスを活用

絵本で、とくにこだわった点はありましたか。

村山先生

こだわりという点では、子どもも大人もというところで、大人向けの解説を山口先生に監修していただいて、「大人向けの読み解くヒント」を入れました。大人の方にはすごく好評で、同業だけれど認知症は専門外の先生方に差し上げると、ここはわかりやすかったと。絵本というのは子育てをしていないと、なかなか手に取る機会がないものですが、プロフィールやあとがきまで読んでくださる方が多く、「ガップリ!の絵本」さんにはそういったプラスアルファのところもキレイにまとめていただきました。時間をかけて考えたものを形にしていただき、こだわりをわかっていただけたことは大変うれしかったです。

山口先生

私は専門職向けの本ばかりで絵本は作ったことがなく、つまらないことを書くのは得意なのですが(笑)。子どもたちや妻に読んでもらったり、ダメ出しをしてもらって、それを反映できたのが一番のこだわりというか。「ガップリ!の絵本」さんには、そこのところを汲み取って作っていただき、本当にありがたかったです。

オリジナル絵本の解説ページ

▲「大人向けの読み解くヒント」で大人にもアプローチ

認知症の絵本ということで、とくに気をつけたことはありますか。

山口先生

やっと日本の中でも認知症本人ミーティングや認知症の人たちが希望を持って生活している姿を当事者から発信していこうという動きがあるのですが、80代以上の方を訪問していると、本人も家族もそうですし、周りもそうなのですが、みんなが認知症に対して偏見を持っているんですね。地方なので尚更その傾向が強くて。もう認知症は80歳後半になればならない方がむしろ少数派なので、「大変だよね」とか「よくしてあげましょう」といったことは入れないようにしようというのは、絵本を作る上で一番気をつけました。

想像以上ものいただいたというのが大きかったです。
絵本慣れしている子どもたちでもすごくリアクションよかったですね。

完成した絵本を手にされた時のお気持ちはいかがでしたか。

村山先生

想像以上のものをいただいたというのが大きかったです。絵本慣れしている子どもたちでもすごくリアクションがよかったですね。縦型のA4サイズも、私の家に『絵のない絵本』という読み聞かせの文字だけの絵本があるのですが、それと似たような読みやすく手に取りやすいサイズですし、研究者にも馴染みのあるサイズなのでよかったなと。

山口先生

予算内で頑張っていただいた上に、とても素敵なものが出来上がり、届いた時は申し訳ないな、ありがたいなと(笑)。周りに配ったところリアクションもよく、もっと送ってくれと言われて、あっという間に在庫がなくなってしまいました。県立図書館や県外の自治体の図書館、市町村学校の図書室にも置かせてほしいと言われて、かなり反応はよかったですね。

村山先生が絵本を手に取りながらインタビューを受けている様子

絵本はどのように活用されていますか。

山口先生

自治体や学校関係などつながりのある市町村の包括支援センターにお配りしました。知り合いにも送ったところ、購入させてくださいとご連絡を受けたり、リハビリ室に置いておくと患者さんが「これ面白いね」とか、「認知症の人が家族と読んでいたよ」と教えてくれたりします。認知症の本は、どうしても「物忘れが気になったら」というような視点が多いのですが、この絵本はそうではないので逆にどこと考えずにお配りすることができ、そうしたら各方面から急に連絡が来て。そんな感じで全国にばらけています(笑)。

群馬医療福祉大学の図書館に絵本が展示されている様子

▲群馬医療福祉大学の図書館にも絵本を展示

何か賞をいただいたとお聞きしましたが。

村山先生

日本認知症ケア学会でこの絵本の紹介をしまして、22回大会で石﨑賞という優秀演題賞を山口先生と共同研究のかたちでいただきました。研究者のための研究ではなく、絵本というどなたでも手に取れる媒体で啓発できたことが評価されたようです。うれしいことに、そういった意図を酌んでくださる方がいらして、営利目的ではなく純粋に誰々に見せたい、こういう公共の場に置きたい、銀行に置かせてほしいというお電話も多くあります。群馬の中でも高齢化が進んでいる役場の方からは、村の学校や診療所などに置きたいとご連絡をいただいていて、そういうところでは学会のサイトを見て訪ねてくださる、また同業の方々もよく見てくださっていると話に聞いています。

オリジナル絵本が掲載された日本作業療法士協会のWEBページ

▲日本作業療法士協会のWEBページでも絵本を紹介

情報ツール苦手にもアプローチできる、
紙ベース取れるものをとこのパンフレット製作しました。

「フレイル」予防のパンフレットもご注文いただき、ありがとうございます。

村山先生

これも山口先生との共同研究で、3年間でDVDを3枚制作して、4年目にパンフレットを作るという案で別の団体から助成金をいただいた経緯があります。地域の公民館や、コロナが流行してからはおうちで、専門職が行かなくてもそのDVDを再生すれば体操ができるという内容で進めてきたのですが、DVDとかインターネットにアクセスできる方はそもそも機能が高いんです。それで、そういった情報ツールが苦手な人にもアプローチできる、紙ベースで手に取れるものをとこのパンフレットを製作しました。絵本を作った後で、丁寧にやっていただけるとの信頼があったので、パンフレットも「ガップリ!」さんにお願いしたという流れです。

「フレイル」というのは、どういったことですか?

山口先生

健康状態と要介護状態の間のことをいいます。要介護に至る前のハイリスク状態の方ですね。

村山先生

ただし、パンフレットの内容は幼稚園児から100歳過ぎの認知症の方までできるようになっています。子どもからお年寄りまでを対象とすることで結果として介護予防になるし、認知症予防にもフレイル予防にもなるという考え方で作りました。童謡に合わせて体を動かしたり、幼稚園の年中さんくらいの子が頑張ってやらないと間違えてしまうくらいの難易度です。

山口先生

大学生がやってもたまに間違ってしまう(笑)。これは、手に取ってやってもらわないと意味がないので、パッと見てこれだったら家でできそうかな、ちょっとやってみようかなと思う気持ちを起こさせるのが大事だと思って。そういうものが作れたので、よかったなと思います。

フレイル予防のパンフレット

▲大人も子どもも体を動かしてフレイル予防ができるパンフレット

パンフレットの評判はいかがですか。

山口先生

リアクションを聞く限りだと、みなさん意外と興味があるようです。ご高齢の方にはかなり好評で、あっという間に配布が終了してしまいました。

村山先生

スーパーに先行で送ったら、すぐになくなってしまって、追加でお届けしたほど好評をいただいています。同業の方の評価もとてもいいです。紙質は「ガップリ!」さんにお任せしたのですが、使う人を考慮して丈夫で水に負けない加工をしていただけたのが評価のよさの一つで、あとは開いて置いた時にそのページがキープできること、難易度的に幼稚園児ができることも好評でした。

スーパーの他には、どんなところに配布されたのですか。

村山先生

群馬県では前橋市か高崎市が人口の多い大きな市になるのですが、そういったところの公民館や介護予防事業に配布したいというお話をいただいています。高崎市さんにはDVDの第1弾から第3弾まで興味を持っていただいて、配っていただいているということもあって、お送りしました。前橋市さんは「CCRC」という「生涯活躍のまち」というところで、主に使っていただく予定でいます。

「CCRC」ココルンサークルに置かれたパンフレット

▲「CCRC」ココルンサークルに置かれたパンフレット

今後、何か作ってみたいものはありますか?

山口先生

絵のようなもので認知症の方がどんなことで困っているのかを伝える『認知症世界の歩き方』という本がありまして、まあ、先を越されたといいますか(笑)。まだ、漠然としていてアナログかデジタルかはわからないのですが、異分野の人たちと組んでその本のようなことをやりたいなと思っています。あと群馬県の認知症アンバサダーで「あかぎ団」というご当地アイドルがいるのですが、そこが絵本の朗読コンテンツを作成してくれました。群馬県のYouTubeチャンネル「tsulunos」でその動画が公開されいます。前橋市の小学生にはタブレットが配布されているので、多分もっともっと子どもたちに知ってもらえるようになるのかなと思っています。

村山先生

認知症の方は転びやすいのですが、認知症の方の転倒予防はなかなかマニュアルがなくて予防が難しいというのがありまして。やはり転倒予防や安全管理はニーズがあるところですので、助成金があればまた絵本やパンフレットなどを作りたいなと思っています。それと、群馬県には「上毛かるた」という有名なかるたがあるのですが、あんな形で教育啓発の「認知症かるた」が作れると、子どもから大人まですごく汎用性があっていいのかなと考えています。

山口先生

高齢の方のお宅に上がると、やはりアナログなものが一番なんです。紙と印刷が結構一番という中で、服薬の管理はデジタルからカレンダーなどのアナログに帰ってきている傾向がありますので、そういったものを上手く組み合わせられたらとも思っています。

絵本の朗読を見せながらインタビューに答える山口先生

「ガップリ!の絵本」「ガップリ!」をご利用いただいた感想はいかがですか。

山口先生

研究は商売ではないので、そこを汲み取ってご協力いただけるところが私としてははじめてで、とてもありがたく得難いなと思いました。

村山先生

こちらは素人なので、そこをわかってくださって。絵本にしてもパンフレットにしても、使うターゲット層を伝えたらそれを形にしていただけたというのと、助成金の予算をお話したら、予算に収まる数で部数まで配慮していただけたのが非常にありがたかったです。

認知症についてとても勉強になりました。これからの研究にも期待しています。

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